東洋文庫ミュージアムの見どころは?日本一美しい本棚や貴重な国宝、オリエント・カフェのランチまで紹介

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「東洋文庫ミュージアム」は、東京都文京区にある東洋学に関する書物を収集する展示施設。そう聞くとなにやら難しそうですが、ため息が出るほど美しい書庫や貴重な図鑑など、見るだけで楽しめる展示が多数あります。おしゃれなレストラン「オリエント・カフェ」、東洋のさまざまな国の言語が刻まれた「知恵の小径」、ミュージアムショップなど、歴史好きなら誰もが楽しめるスポットが盛りだくさん!今回は東洋文庫ミュージアムの特徴や見どころを一挙に紹介します。

東洋文庫ミュージアムとは?

東洋文庫ミュージアムは、貴重な東洋文庫の蔵書で企画展のテーマに沿った展示を行っているミュージアムです。代表的な常設展示としては、天井まで続く大書庫に「モリソンコレクション」を陳列した「モリソン書庫」が有名です。

そのほかにも、「オリエントホール」「岩崎文庫」「回顧の路」「ディスカバリールーム「知恵の小径」「シーボルトガルテン(庭園)」といった見どころがあり、レストランの「オリエント・カフェ」と、ミュージアムグッズを販売するショップ「マルコ・ポーロ」を併設しています。

 

・東洋文庫&ミュージアムに関する10の疑問

実際に館内を回る前に事前知識を入れておくと、展示をより楽しめるようになります。ここでは東洋文庫ミュージアムについて、気になる&知っておきたい10の疑問をまとめてみました!

1:そもそも「東洋文庫」ってなに?
東洋学の専門図書館であり研究所です。アジア最大の東洋学センターであり、世界5大東洋学研究図書館のひとつ。この東洋文庫に併設されたのが東洋文庫ミュージアムです。

なお、この記事でいう「東洋」とは、トルコ以東を指します。東洋文庫ミュージアムでは東洋の言語・食文化・動植物といった多様な蔵書や資料を展示しています。

2:なぜ東洋学の図書館がミュージアムを作ったの?
小難しい東洋学の世界を、一般の人にも広く知ってもらいたいという趣旨で作られました。

3:東洋文庫で所蔵している文書は何冊?
地図・資料・パンフレットなども含めて総数は100万冊ともいわれていますが、現在でもまだまだ増え続けています。

4:図書館なら貸し出しも行っているの?
ミュージアムではなくライブラリであれば、所定の手続きを踏むことで無料で蔵書の閲覧が可能です。一般の貸し出しは行っていません。また、オンラインで蔵書検索ができます。

5:東洋文庫は誰が設立したの?
創設者は敏腕の経営者として知られた「岩崎久彌(いわさきひさや)」。三菱財閥の第3代当主としての活躍が有名です。

6:モリソン文庫って何?
イギリスのジャーナリスト・旅行家であり、中華民国総統府顧問を務めたジョージ・アーネスト・モリソンが収集した、極東関係文献約24,000冊(モリソンコレクション)のことです。いくつかの条件とともに岩崎久彌に譲渡され、現在の東洋文庫の基礎となりました。

7:モリソン文庫譲渡の条件とは?
「G. E. Morrison Library(モリソン文庫)」の名を残すこと、コレクションを拡充し続けること、学びたいと思う人が閲覧できるようにすることなどが主な条件です。その意志を継いで、東洋文庫および東洋文庫ミュージアムは、一般層にも広く門戸を開いた活動をしています。

8:モリソン書庫に展示されている蔵書はレプリカ?
全て本物です。

9:ミュージアムに年齢制限はある?
年齢制限はありませんが、小さな子どもは少し退屈するかもしれません。小学生くらいからは十分楽しめるように、展示にさまざまな工夫が凝らされています。

10:ミュージアム内の写真撮影は可能?
カメラ、スマホを使っての静止画・動画ともに撮影可能です。ただしフラッシュは使用できません。

稀に撮影禁止の作品もありますが、その場合は展示場所に撮影不可であることが掲示されています。また撮影時には、ほかの人が写り込まないように注意してください。

なお、撮影した画像・動画を商用利用する場合は、事前の撮影許可が必要です(※この記事の写真も許可を取って撮影しています)。

東洋文庫ミュージアムの見どころは?

ここからは、実際に東洋文庫ミュージアムを回って、見どころをスポットごとに詳しく紹介します。

 

・世界最長の展示ケースは必見!「オリエントホール」

受付を済ませて東洋文庫ミュージアムに入館すると、最初に目に入る展示室が「オリエントホール」。吹き抜けの天井が高く明るい印象で、案内表示に「さぁ、時空を超える本の旅へと出発しましょう!」と書いてあるのを読むとワクワクしてきます。

オリエントホールは単なるミュージアムの導入部分ではなく、ホール内には多くの展示品があります。

まずは世界最長の展示ケースに入っている蔵書・資料に注目してみましょう。企画展示とは別ですが、内容は常設ではなく定期的にテーマに沿った入れ替えが行われています。

訪れた日は、東洋文庫の創設者である岩崎久彌とその時代の著名人に関わる蔵書が展示されていました。オリエントホールでは、主に時事に関わる展示を行うことが多いそう。たとえば、サッカーのワールドカップなど親しみやすいテーマが選ばれることもあるんですよ。

常設展示は、壁に巨大な「広開土王碑文拓本」と「江戸大絵図」のレプリカが掛けられています。

また、ホールの奥にはデジタルアーカイブを閲覧できるモニターがあり、タッチパネルを使って自由に蔵書の挿絵や浮世絵の映像を見られます。ぜひ試してみてください。


・美しすぎる本棚「モリソン書庫」

ホールから階段を上がった場所にあるのが、東洋文庫ミュージアムを代表するスポット「モリソン書庫」。あのモリソンコレクションの蔵書の数々を実際に展示している大変贅沢なスポットです。

モリソンから譲渡された蔵書には、研究書のように難解な本だけでなく、当時の地図、パンフレット、手紙、旅行ガイドブック、料理のレシピ本なども混ざっています。権力者が編纂(へんさん)させた正規の歴史本だけでなく、こうした一般の人々が残した蔵書を併せて照合することにより、初めて読み取れる事実も多いのだそう。

難しいことは抜きにしても、古く美しい本がずらりと並んだ様子はそれだけで圧倒されます。まるで物語の世界に入り込んだような気持ちになれますよ。

書庫は3層になっているので、見上げながら近づいたり離れたりすると立体感を味わえます。古い本のもつ独特な香りも、実際にこの場に立たないと体験できません。本が好きな人にとっては、いつまでも見飽きない特別な展示室です。

なお、モリソン書庫内は自由に撮影できますが、蔵書には決して手を触れないでください。蔵書の内容を読みたい場合は、正規の手続きを取ったうえで、ミュージアムではなくライブラリーを利用してください。

 

・国宝も展示される「岩崎文庫」

次の展示室は「岩崎文庫」。東洋文庫が所蔵する国宝・重要文化財の作品や、浮世絵の名品などを展示している場所です。

司馬遷(しばせん)が編纂した中国の歴史書「史記」の12世紀に書写された書など、貴重な国宝を間近で見られます。古地図など文字が読めなくても楽しめる展示もあるので、子どもと一緒でも楽しめますよ。

そのほか、モニターで閲覧できるデジタルブックも設置。こちらも定期的に入れ替えが行われています。
 

・体験型展示にドキドキ!不思議な通路「回顧の路」

「回顧の路」は展示物を保護するために照明を暗くしている通路。ただの通路ではなく一種の展示スペースとなっており、壁面にも作品が展示されています。

回顧の路でとくに注目したいのは足元!果てしない深淵がいくつも口を開け、通る人を飲み込んでしまうような雰囲気。小石をちりばめた橋が架かっていて、その橋を渡らないと通行できないように見えます。

これは「クレバス・エフェクト(R)」と呼ばれる作品で、実際の深さはたったの10cm!ガラスのカバーがあるので橋の部分を渡らなくても落ちたりしませんが、ちょっとドキドキしますよね。子どもと一緒に来た場合は、息抜きにもぴったりな体験型展示です。

 

・企画展示を楽しめる「ディスカバリールーム」

回顧の路を渡り終えた次の展示室が「ディスカバリールーム」。東洋文庫ミュージアムの企画展示は、主にこのディスカバリールームを中心に行われています。

訪れた日に開催されていた企画展は「フローラとファウナー動植物史の東西交流」(会期:2023年2月1日(水)~2023年5月14日(日))。

ドイツ人医師の「フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト」が来日して200年の節目ということで、東洋文庫の蔵書からシーボルトの代表的な著作を中心に、動植物の図鑑や図譜を数多く展示していました。

動物や植物の図鑑は、年代を問わず楽しめるテーマ。精巧で色鮮やかな作品の美しさはもちろん、添えられた解説文もわかりやすくて、目で追っているうちに東洋学が身近に感じられてきます。

企画展示「フローラとファウナー動植物史の東西交流」より

ちなみに企画展は年に3回テーマが切り替わります。過去には「祝・鉄道開業150周年 本から飛び出せ!のりものたち」「日本語の歴史」「シルクロードの旅」といったテーマが選ばれてきました。

子どもが好きそうなテーマの企画展も多いので、興味のある企画展が開催されていないか定期的にチェックするのも楽しそう。こうしたテーマの題名を見ているだけでも、東洋学は決してとっつきにくい学問ではないことがわかりますよね!

 

・「知恵の小径」は人気の撮影スポット

「知恵の小径」はミュージアムとレストランエリアを繋ぐ通路です。ちょっとした小径なのですが、フォトジェニックな自然の景観は撮影スポットとして人気です。

そしてよく見ると、壁にさまざまな言語の文字が書かれていることが確認できます。

実はこれ、アジア各地の名言をその土地の言葉で書き表したもの。アジアのどの国の人が来ても、自分たちの知っている言語で読めるように工夫されているのです。各言語のすぐ下にうっすらと日本語訳が書かれているので、気になる内容は訪れたときにぜひ確かめてください。

それにしても、アジアにはこれほど多くの文字があるのかと、改めて驚かされます。読めないまでも一度は見たことがある文字もあれば、これまでの人生でまったく見たことがない文字もあるはず。一つひとつ読んでいけば、内容もすんなり頭に入りそうですね。
 

・美しい庭園も見どころのひとつ「シーボルトガルテン」

知恵の小径の横には庭園「シーボルトガルテン」があります。ガルテンとは庭を指しますから、“シーボルトの庭園”という意味ですね。ちょうどミュージアムとレストランに挟まれた中庭になっていて、レストランの窓からもよく見えます。

この庭園にはさまざまな植物が植えられていますが、とくに目を引くのがアジサイ。シーボルトが日本から国外追放されてオランダに帰国したのちに、離れ離れになった日本の妻「おたきさん」を忍んで、アジサイに「Hydrangea otaksa(ハイドランジア オタクサ)」と学名を付けたというエピソードはよく知られています。

シーボルトガルテンにはこのほかにも、「東洋文庫賞」を受賞した東京藝術大学学生の作品である屋外彫刻や、大きなシダレザクラ、小岩井農場の一本桜を植樹した桜の木もあります。

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