アソビュー!ASさまの口コミ
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前回の鳥獣戯画修復の際、丙巻には濃墨線画の下に薄墨線画が見られ、濃墨線画は後年の補筆との指摘が発表された。小生、鳥獣戯画丁巻に見られる4人の強装束貴族についても、最奥の振り返った貴族と手前3人の強装束の筆致が異なり、最奥の貴族は後年加筆されたものと考えている。一時期、加筆・補筆による絵画価値の補強が盛んだったのかも知れない。また、以前から小生は国宝親鸞聖人影像(鏡御影)についても、鳥獣戯画丙巻同様に薄墨線画の上に濃墨線画が後年補筆されていると考えていた。今回、やっと現物を間近に拝見することができ、 ・鏡御影には独特の横方向折り目が平行して見られるが、薄墨線画は墨が紙ににじんでいるため折り目におけるスレが軽度にとどまっているにもかかわらず、濃墨線画は折り目にて顔料の剥落のような紙面露出状態が各所にて確認できる。 ・右手指は、濃墨線画により親指以外の指が関節が曲がり得ない方向に不自然に曲がっているが、その下に薄墨線画で斜めにまっすぐに伸びている指の線画が確認できる。 以上により、濃墨線画と薄墨線画には墨種と筆致に互換性が見られず、着物の裾は濃墨線画と薄墨線画が上手く折り合っていることから、薄墨線画は単なる下書きとは思えない。よって、濃墨線画は別人による後年の補筆と小生なりに確信した。鏡御影の顔面にまで加筆・補筆が及ばなかったのは幸いであるが、薄墨線画の衣装では弱々しく見えたため後年濃墨線画により力強く見せるための補筆が行われたのではなかろうか。残念ながら薄墨線画の真上に濃墨線画が多数補筆さているため、補筆前の衣装の構図は小生の能力では想像できない。研究はまだまだ必要だ。