njさまの口コミ
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5とても良い
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ピカソ、ブラック、クレー、マティス、ジャコメッティと、以前から敬愛する作家の作品が年代も幅広く展示されていた。やはり私は新興の中之島美術館よりも、国立国際が好きである。美術を眺める空間としての工夫や、ライティング、導線もよく考えられている。久々の来場にそんなことも思いながら過ごしたが、今回のベルクグリューン美術館展、展示数は控えめながら非常に内容の濃い、良質な展示であった。ピカソは二つの世界大戦を経験しているが、二次大戦時、独軍の占領下にあったパリでひたすら創作をしたその作品群にはただただ圧倒されるばかり。人びとの日常を奪う戦争はまた、芸術の自由をも奪う...大きな横たわる女、の普遍性と迫力の前に足がピタッと止まってしまった。ジョルジュ・ブラックやパウル・クレーをはじめ、同時代を過ごした名画家たちもやはりそうした時制の変化に晒されざるを得ない。歴史的背景もなぞりながら、今まで見てきた作品を振り返ることもまた重要なことであるなと、再認識した展示であった。 マイナス点をあげるならば....撮影可になっていることによる良さ(学びとしての記録)はあれど、やはりバシャバシャ鳴り響くシャッター音と、撮影行動による鑑賞の阻害は頂けない。(といいつつ私も消音シャッターで撮影しておりますが)うるさいから撮影を不可にしろ!というものでもなく、まず目で観て、よく咀嚼して、が優先されるべき...だが難しい問題でもある。美術館にはまず居心地の良い空間つくりを心がけて頂ければ幸いである。