・我々も絵画の一部となる仕様。ゴッホの筆致のひとつとなるおもしろさ。
美術展というより、どちらかというと映画館。流れるのはゴッホの生い立ち映像でなく例えばドキュメンタリー映画のように構成されている映像。ゴッホの人生と描き続けた絵画の数々、それが部屋全体に投影される。四方八方から映像を浴びる感覚。そして映し出される絵画をイメージした音楽が流れる。ゴッホの描いた絵が動く。渦がぐるぐると動く映像はゴッホの精神世界だと思った。渦の中に吸い込まれそうだった。当時精神を病んでいたというゴッホの脳内に一瞬だけ飛び込んだかもしれないという錯覚。この瞬間が1番印象に残っている。おもしろかった。

・「愛」がすべてだと言い続けたゴッホの愛に突き動かされた人たちが作ったゴッホへの愛を示した展示。ここまでさせるのかという気迫を感じた。

・美術鑑賞が外国ほど進んでいない日本人へ向けて、鑑賞のハードルと美術館への敷居の高さをできるだけ低くしようじゃないか！という美術を愛する人たちの愛すべき気概がそこにあった。美術のよく分からなさにマイナスの印象を持っている人へ向けて、工夫を出せる限り出しましたよ！！と向こう側から訴えかけられた感じ。

・いわゆる絵画の鑑賞はこのゴッホアライブでは味わえない。けど、新たな体験が存在する。今の感覚で表現するとシン・ゴッホ。