Tosh さま

Toshさまの口コミ

3 / 5良い

ゴッホ作品メインかと思ったら、半分以上は他の画家の作品だった。しかし、それはそれで楽しめた。
欲を言えば、それらの画家の作品とゴッホ作品との関係(影響された部分と独自で発展させた部分)の説明がなされると良かった。
単純に並べて、似ているでしょう!違うでしょう!までだと勿体ないということ。
もっとも、そこまで言及する展覧会は稀とも言えるが。結局自分の知識の範囲内で自己完結させることになった。

ゴッホについて、静物画にフォーカスした展示は興味深かった。
ゴッホ自身あまり関心を示していなかったことが面白いところ。その割りには結構しっかり描くのだからこれまた面白い。ただ技術面もさることながら売れる作品を!という想いゆえの真剣さもあったらしく、この生々しさが不本意なテーマでも真面目に描いた由縁だったのであろう。
人づきあいが上手くなく、モデル調達もままならなかった人生において、静物画に真摯に向き合わねばならなかった事情も察せられた。

画風の変化も時系列に示されたため楽しめた。
暗い色調ながら工夫ある構図の作品だった前期から、黄色を中心にした明るい色調と神経質な筆触分割で奇怪な筆致を駆使する後期まで、ゴッホが画風を模索したプロセスが感じられた。

往時のゴッホと直接会話してみたい!と思わせる展覧会だった。