イラストや漫画は、原画の方がより美しいものだと思っていました。
劇場版「アリオン」の頃、アニメ雑誌で安彦さんが印刷されたご自身の絵のことを原画よりも綺麗に見えると仰っていたのを記憶しています。
私は「ガンダム」から「アリオン」や「ゴーグ」の頃までの安彦さんの絵が大好きで、今回原画を拝見するのを楽しみにしていました。
そして、油絵のように重厚な絵の原画を間近で拝見してみて、なんとも言えない不思議な気持ちになりました。
雑誌やポスターで見た印象とまるで変わりなく見えたからです。
重ね塗りのできるガッシュを使用しているのに、凹凸がほとんど見られません。
透明水彩の淡い着色同様、ガッシュでも筆さばきに迷いがないことが見て取れました。
「描く人」、はじめは安彦さんを表現するのにぴったりなタイトルだと思っていましたが、原画を目にして、本当に人が描いたのだろうか？と不思議な気持ちになりました。
子どもの頃から神のような存在の安彦さんは、本当に雲の上よりももっと遠いところに居られる方なんだなと思いました。