ウイーンべルリン さま

ウイーンべルリンさまの口コミ

4 / 5とても良い

いわゆる印象派のモネ展という枠を越えた展覧会でした。初期の絶頂期の作品は少なめで中後期から晩年の作品に特にこだわった構成と感じた。
晩年は白内障の影響で観るのも辛い作品も多々あるものの、抽象画に近い作品も含めて概観すると、生涯通してモネの優れた画力(光と影への感性、構成美、色彩感覚)を強く感じさせてくれた。

#6ジヴェルニー近くのセーヌ川支流、日の出では、川辺のモヤ感が巧みに構成され、#11チャーリング•クロス橋では、水墨画に通じるぼかしの妙を感じた。#18睡蓮では、影や断片により全体を暗示的に示すという日本的美学に通じる手法を駆使しているが、色彩も含めた構成美を感じさせてくれた。

特に素晴らしかったのは、第3章の大装飾画への道。睡蓮と池に対するモネの鋭敏な感性と多才な表現力を大画面でたっぷりと味わえた。
#42睡蓮、柳の反映では、抽象画に近い印象はあるものの、水面の花や写り込みなど見事な色彩感覚で再構成した傑作と強く感じた。

第4章は白内障の影響を感じさせる作品が多くあったが、#63ばらの庭から見た家では、画面構成と色彩が見事に調和した美が感じられた。特に画面中央上側の薄黄色に彩色された空間によって家の凛とした存在感が美しくて印象的だった。