貴重な美術工芸品に触れる!石川県立美術館の楽しみ方

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気の知れた友達と思いっきり遊んだり家族でレジャーを楽しんだりするのもいいけれど、たまには美術館でゆったりと過ごすのはいかがでしょうか。石川県立美術館では、地元石川県にゆかりのある作品がたくさん展示されています。美しい作品を鑑賞することはもちろん、石川県の歴史や工芸美術品についても学ぶことができるでしょう。今回の記事では、石川県立美術館の紹介やぜひチェックしておくべきオススメのポイント、料金などをお伝えしていきます。

「石川県立美術館」とは

石川県立美術館は、もともとは1959年(昭和34年)10月に、石川県美術館という名称で兼六園に隣接した地に開館しました。それ以来、改装や移転を経て、1983年(昭和58年)に現在の名称である石川県立美術館となっています。展示室は第1から第9まであるほか、10室の展示室を持つ前田育徳会尊経閣文庫分館もあります。たくさんの展示品には国宝や重要文化財も含まれ、美術品や工芸品について学びたい人はもちろん、こういった分野に精通した人でも新たな発見があり楽しめるでしょう。さらに、石川県立美術館の敷地内にはミュージアムショップやカフェ、多目的室やホールなどの施設も充実しています。石川県立美術館を満喫するのであれば、1日かけて満喫するのがよいでしょう。

歴史を持つ石川県立美術館

1959年に兼六園の隣に開館した旧館・石川県美術館は、金沢出身の建築家である谷口吉郎氏によって設計されました。日本芸術院会員というもう一つの顔を持つ谷口氏は、愛知県犬山市にある「博物館明治村」の開館に深くかかわった人物としても有名です。特別名勝に指定されている兼六園の美しい風景と調和するよう綿密に設計され、日本建築の障子や縦格子を彷彿とさせる建築物が完成しました。この石川県美術館は、地方の美術館の中で最も早くに建設されたものの一つでもあり、開館すると同時にその美しい日本建築を一目見ようと多くの人が訪れました。2,190平方メートルもの床面積を持つ広大な美術館であり、本館と別館に合計で5つの展示室を有していたことも大きな話題となりました。

高度経済成長や明治100年記念式典が重なった1960年代から1970年代にかけては、全国各地に博物館や美術館が次々と建設されました。博物館や美術館が新たなレジャーとしての地位が確立されたのです。石川県美術館でも、老朽化や展示品の増加に伴い、たびたび内部の改装を行っていましたが、次第に展覧会が大規模化したことで1983年(昭和58年)に閉館することになります。そして、多くの人を収容できる展覧会へのニーズも大きくなってきたことから、石川県美術館は近隣の土地に移設され、さらに大きな施設に建て替えが行われました。それと同時に名称も現在の石川県立美術館に変更されました。なお、旧館・石川県美術館の所蔵物は、全て新館に引き継がれました。現在、当施設は石川県立伝統産業工芸館の名称で地元の人や観光客の学びの場となっています。

石川県立美術館の建設地はいくつか候補があがり、郊外の北陸自動車道金沢西インター付近が有力候補地であったものの、最終的には旧美術館のすぐ付近に建設されました。他の美術館・博物館の立地や効率性を考慮したためであるといわれています。石川県立美術館の開館式は、県内外からおよそ500名もの関係者が招待され、開催されました。開館式には県内外から約500名が招待され、開館記念展「日本美の心花鳥風月展-古典と現代-」が開催されました。以後、開館10周年には「-五島美術館所蔵-茶道美術名品展」、開館15周年には「墨の表情-近代日本画にみる名作-」といったように、記念展が定期的に開催されています。

貴重な展示品の数々

石川県立美術館の所蔵品で最も注目すべきものの一つが、「色絵雉香炉」ではないでしょうか。これは、国宝にも指定されている貴重なもので、野々村仁清作の香炉です。野々村仁清は江戸時代前期に活躍した陶工で、優れたろくろの技術を有していたことでも知られています。「色絵雉香炉」の背面には、くぼみのようなものがみられ、実際に使用されていたのではないかとの見方もあります。尾を長く伸ばしたキジの形をしており、全体的に鮮やかな色彩で細かな点で模様が描かれた華やかなデザインです。もともとは加賀藩の藩主・前田家が所有していたものですが、前田家の家臣や町人の手に渡ったあと、旧館だったときに石川県に寄贈されたという経緯があります。

同じ野々村仁清の作品では、「色絵雌雉香炉」があります。「色絵雉香炉」とよく似た形をしている香炉ですが、こちらは重要文化財に指定されており、また質素な色彩で模様が描かれていることが大きな違いです。「色絵雌雉香炉」は一般の人が所蔵していましたが、「色絵雉香炉」がここに展示されていることを知り、雄の雉と一緒に展示してほしいということで寄贈しました。こうして雄と雌が並んで展示されることになったのです。

また、石川県というと九谷焼を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。九谷焼は、金沢市、加賀市、小松市、能美市といった石川県の南部の地域で盛んに生産されている色絵の磁器を指します。石川県立美術館には、さまざまな個性を持った九谷焼も展示されており、濃色を使って描かれる華美で斬新な絵柄を鑑賞することができます。京焼や伊万里焼に並ぶ日本の三大色絵である九谷焼のコレクションを心ゆくまで楽しめるでしょう。石川県立美術館では、国宝が1点、重要文化財が6点、さらには石川県の歴史や美術工芸品といったような石川県の文化にかかわりのある作品が数多く展示されているのです。

キッズプログラムも充実

美術館は大人が趣味としてたしなむもの、とのイメージがありますが、石川県立美術館では子どもが興味を持って学べるようなプログラムがたくさんあります。その一つが、学芸員の仕事体験ができる「子ども1日学芸員」です。実際の学芸員に教わりながら仕事を体験することで、美術館の役割や楽しさ、大切な展示品の取り扱い方を学べます。また、当施設が開催する展覧会に興味を持ってもらうための「コラージュを楽しもう」というプログラムもあります。コラージュとは、多種多様な素材を組み合わせて一つの画面に貼り付け、現実にはない世界を自由に表現するというもので、展覧会「写真と幻想」に関連したプログラムです。

石川県は、すでに加賀藩の時代に大野弁吉という人物がカメラを制作しており、また明治時代初期には日本で最も早くに卯辰山養生所中に写真局が設置されていました。写真やカメラに関してはとても進んだ地域だったことが分かります。さらに、「東京写真研究会展」といった有名な写真展には戦前から参加しており、現代でも名が知られている写真家を多く輩出しています。写真やカメラについてさらに理解を深められるよう、この展覧会を鑑賞したあとにコラージュの作製を体験します。

石川県立美術館で開催されるキッズプログラムは、子どもと一緒に保護者も参加することができるものがほとんどです。工作を通して美術品を学んだり、ゲームの要素を取り入れて作品鑑賞の楽しさを知ることができたりといったように、内容にはさまざまな工夫を凝らしています。プログラム美術館に興味がある子どもはもちろん、そうでない子どもでも、親子で一緒に楽しむことができるでしょう。

展覧会や講座が定期的に開催される

石川県立美術館の大きな魅力の一つが、来る人を飽きさせることのないバラエティに富んだ展覧会です。「現代美術展」は、終戦直後の1945年(昭和20年)10月に記念すべき第1回展が開催されてからというもの、70回以上も開催されている人気の高い展覧会です。その間も、人間国宝や文化勲章受章者、日本芸術院会員といった数多くの美術作家を輩出してきました。日本画・洋画・写真・工芸・書・彫刻という6つの分野に分け、石川県文化協会会員の作品から一般の参加者の作品に至るまでを展示しています。

「加賀文化の粋」は、江戸時代、幕藩体制の中で発展してきた美術工芸について学ぶことができる展覧会です。加賀藩主の前田家は「文化による地域の独自性」を表明し、日本各地の名産品の収集や名工の招聘・支援といったさまざまな政策を行いました。また、これによって茶の湯や能楽なども発展し、加賀藩の洗練された美意識が「さらに美術工芸品の技術向上に一役買う」という好循環に乗ることも可能となったのです。美術工芸品の発展を目的としたこれらの政策が、現在の美術が盛んな石川県としての土台となっていることが分かります。

おしゃれなカフェとショップも!

伝統のある美術工芸品を鑑賞したら、余韻に浸りながらカフェ「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」で一休みしましょう。石川県七尾市出身のパティシエ、辻口博啓氏がプロデュースした絶品スイーツも味わえます。辻口氏は、史上最年少で「全国洋菓子技術コンクール」で優勝を飾ってからというもの、数々のコンクールで華々しい成績を残しています。フランスの「コンクール・シャルル・プルースト」では銀賞、パティシエ界のワールドカップ「クープ・ド・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」では優勝を飾りました。

「ル ミュゼ ドゥ アッシュKANAZAWA」のスイーツは、北陸地方の食材をふんだんに使用し、その素材にも徹底的にこだわっています。石川県の代名詞ともいえる「兼六園の雪吊り」をイメージしたスイーツ「YUKIZURI」には、能登産の梅をはじめ、地元で作られた米や卵、塩を使用。「金のバウム」「能登金時バウム」など、数種類から選べるバウムクーヘンには、能登のセイアグリー健康卵、金沢産ハチミツ、能登産のハチミツが使われています。もちろん、ゆったりとくつろぎながら店内で食べることもできますが、おみやげとして購入することもできます。

美術館での鑑賞のほかにもう一つの楽しみであるミュージアムショップもぜひ立ち寄ってみましょう。石川県立美術館に展示されている作品に関連した絵はがきや一筆箋など、オーソドックスな商品は気軽に購入することができ、使うたびに楽しい思い出がよみがえります。こういったおみやげにぴったりな商品とともに、古九谷写飾皿や古九谷写飾皿といった本格的な美術工芸品も販売されています。

石川県立美術館の料金

  • 一般入園料金
    • 大人:360円
    • 大学生:290円
    • 高校生以下:無料
    • 65歳以上:290円
  • 団体料金(20名以上)
    • 大人:290円
    • 大学生:230円
    • 高校生以下:無料
    • 65歳以上:290円

※2階のコレクション展示室(第1~第6展示室)と前田育徳会尊經閣文庫分館が鑑賞可能
※毎月第1月曜日、国際博物館の日(5月18日)及びいしかわ文化の日(10月第3日曜日)は、コレクション展示室と前田育徳会尊經閣文庫分館が無料
※65歳以上の方は、年齢を証明できるものを提示した場合、いつでもコレクション展示室と前田育徳会尊經閣文庫分館を団体料金で観賞できます。また、国民の祝日には、コレクション展示室と前田育徳会尊經閣文庫分館が無料です。

石川県立美術館の割引クーポン

金沢市文化施設共通観覧券3日間パスポートは、金沢卯辰山工芸工房や中村記念美術館といった県内16の施設で購入できます。この観覧券を提示すると、石川県立美術館のほか、石川県立歴史博物館、石川県伝統産業工芸館など計5つの文化施設が団体料金で入館できます。複数の文化施設を訪れる際にメリットがあるクーポンです。

  • 大人:360円→290円
  • 大学生:290円→230円
  • 高校生以下:無料→無料
  • 65歳以上:290円→290円
  • ※上記団体料金に加え、観覧券の料金820円がかかります。

石川県立美術館の営業時間

  • コレクション展示室(第1~第6展示室)と前田育徳会尊經閣文庫分館
    • 9:30~18:00
    • ※最終入場は17:30まで
  • カフェ ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA
    • 10:00~19:00
  • 展示室の休館日
    • 展示替え期間、年末年始
    • ※ただし、1階企画展示室と2階コレクション展示室のどちらかが閉室している場合があります。
  • カフェ ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWAの定休日
    • 年中無休

石川県立美術館のアクセス

公共交通機関を利用する場合

JR線「金沢」駅東口(6番のりば)から兼六園シャトルで約15分、「県立美術館・成巽閣」下車、徒歩約2分

車を利用する場合

北陸自動車道「金沢西IC」または「森本IC」から20~30分

石川県立美術館の駐車場詳細

石川県立美術館は、石川県立美術館無料駐車場と石引駐車場という2つの駐車場が利用できます。

  • 名称:石川県立美術館無料駐車場
    • 駐車台数:60台
    • 料金:無料
  • 名称:石引駐車場
    • 住所:金沢市石引4丁目380番
    • 営業時間:24時間、年中無休
    • 料金:最初の1時間まで30分ごと100円、以降超過1時間ごと100円、7:00から10:00までに入庫し、18:00までに出庫した場合最大900円。
    • ※駐車券を当館1階の総合案内にて提示した場合、サービス券(2時間無料)がもらえます。
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