40年以上の間、そのサイクルを見守ってきた鹿児島県の平川動物公園は、7年間の段階的なリニューアル期間を経て、2016年にすべてのリニューアルが完了しました。この記事では、平川動物公園の「むかしながら」と「あたらしさ」が融合した魅力あふれるおすすめのポイントについて解説しています。さらに、平川動物公園の営業時間や、割引の有無、アクセス情報、駐車場情報についてもまとめていますので、訪問の際はぜひ参考にしてみましょう。
平川動物公園とは?
平川動物公園は正式名称を鹿児島市平川動物公園と言い、その名の通り鹿児島市が管理する動物公園です。もともとは鹿児島市の中心地・鴨池に前身となる鴨池動物園がありました。鴨池動物園は全国で4番目の動物園でした。2018年現在、跡地はイオン鴨池店となっています。鹿児島電気軌道という会社の私設動物園であったものを市が買い取り、市営となりました。1975年に平川に移転。目の前に鹿児島のシンボル・桜島と錦江湾が広がり、もともとの丘陵や河川を利用するなど、自然を生かしたつくりが特徴です。「人と動物が共存し、環境にやさしい動物公園」を基本方針としています。
園内には遊園地も設置されており、駐車場も含めた敷地の総面積は314,000平方メートル、飼育動物は2015年時点で141種です。主な実績としては、1974年に国内で初めてセイケイの繁殖に成功しました。ほかにも、ヘラサギの繁殖、カピバラの繁殖、ナベヅル、ルリカケス、エラブオオコウモリ、ヨツユビハリネズミの繁殖について国内初の記録を持っています。
今も昔も大迫力!「アフリカの草原ゾーン」
平川動物公園に入場してまず飛び込んでくるのが「アフリカの草原ゾーン」です。その名の通りアフリカの1部をそっくりそのまま切り取ったような空間が視界いっぱいに広がります。背後の桜島をキリマンジャロに見立てた草原にはキリン、フラミンゴ、ダチョウ、シマウマ、サイ、ヒトコブラクダなどがのっしのっしとわが物顔で歩き回り、正しく目の抜けるような絶景です。腰の高さ程度の柵以外には檻も何もなく、同じ空間を彼らと共有している様は大迫力。
入って早々、平川動物公園を訪れた人々を非日常の世界へと導いてくれる最高のオープニングを演出してくれます。あくまで動物たちのすみかへお邪魔している気持ちになるかもしれません。動物はそれぞれの都合で行動しており、1日たりとも同じ光景が見られることはないでしょう。まるで、アフリカの箱庭のようなこの1大パノラマは終日見ていても飽きることはありません。もちろん、この先にもたくさんの見どころが控えていますから、後ろ髪引かれながらもどこかで区切りをつけることが大切です。順路を通れば最後にもう1度通りますから、入ったときとの違いを確認してみるのも平川動物公園を楽しむうえで欠かせないポイントになります。昔からあるこのゾーンはまさに平川動物公園の代名詞といってもよいでしょう。この景色の雄大さと、そこで自らを貫いて生きている動物たちの躍動感は必見です。
動物「公園」の本領発揮!「休養広場」と「どうぶつ学習館」そして「ふれあいランド」
平川動物「公園」とあるように、平川動物公園はただ動物たちが飼育されているだけではありません。アフリカの草原ゾーンを抜けた向こうには、「休養広場」という芝生のこれまた広い公園のような空間が広がっています。白雪姫と7人のこびとをかたどったからくり時計も健在です。先程広いと書きましたが、ひょっとすると子どものころのイメージよりはだいぶ小さく感じて面食らうことがあってもおかしくはありません。大人になって世界の広さを知った今だからこそ、改めて休養広場で寝転がり、ゆっくりと時間を過ごすのもいいですね。また、子どもと一緒にここへきて、お弁当を広げたとき改めて自分が大人になったと実感するのかもしれません。お昼時になると、白雪姫やこびとたちの変わらない懐かしい演出がにぎやかさを繰り広げてくれます。
そばの「どうぶつ学習館」は、動物に関するたくさんの書籍が納められた図書館のような場所です。出会ったばかりの動物のことをもっと知ったり、逆に今から会いに行く予定の動物たちの予備知識をたくさん仕入れたりするにはうってつけの場所といえます。子どもにとって体験と学習がそのまま直結する素晴らしい場所です。以前は少し奥まったところにあり、やや寂しげなようすでしたが、リニューアル後は明るくきれいに生まれ変わりました。動物園主催の動物の鳴き声クイズ大会など楽しい催しもたびたび開催されています。手続きを踏めば一般の方も借りられるようになったので、地域のイベントも行われることも。
さまざまな動物に出会い、終わりが近づいてきたころに現れるのが「ふれあいランド」です。ヒツジ、ロバ、モルモット、ウサギ、トカラウマなど、人になれたかわいい動物たちが入園者を待っています。彼らとの触れ合いは大人になった入園者をひととき、童心へと戻してくれるはずです。また、初めて子どもとふれあいランドに来たのなら、彼らとどのようにして「ふれあわせてあげるか」が親としての力の見せどころになるでしょう。
うまくいけば子どもにとって動物たちとのふれあいは生涯の思い出になるに違いありません。そのためにも「どうぶつ学習館」での予習が重要になってきます。早速の知識の活かしどころというわけです。「お勉強したらそれを試してみよう」というのはどうぶつ学習館での勉強の動機付けにするのも効果があります。まだ、子どもが小さいときはそばに大きめの売店もありますので小休止する場所としても最適です。
レトロでほっとする遊園地
そして平川動物公園の「なつかしさ」の象徴といえばなんといっても遊園地ゾーン。かつて鹿児島市にはジャングルパークなどいくつかの遊園地がありましたが、現在ではこの遊園地ゾーンくらいになってしまいました。遊園地ゾーンでは「のりもの券」を購入して利用するゴーカート、チェーンタワー、ミラーハウスがあります。また、飛行塔、メリーゴーランド、観覧車もおすすめです。現金で利用するパンダの乗り物、メダルゲームなどがある遊具センターで遊ぶことができます。
年配の方であればデパートの屋上の遊園地を思い出されるかもしれません。決してメインストリートではないけど、間違いなくゆるぎない立ち位置を占めている場所という意味で共通しているといえるでしょう。この遊園地ゾーンには絶叫するスペクタルな最新ライドマシーンや、美麗な画面で魅了するハイテクアトラクションなどはありません。決して最先端ではないものの、レトロで味のある遊園地です。子どもの楽しさを引き出すには過剰な演出などいらないことを改めて思い起こさせてくれますし、現代のとげとげしい毎日に疲れた大人が童心にかえるのにもふさわしい場所といえます。
もちろん、レトロとはいえ遊具は定期的にメンテナンスされていますのでご安心ください。平川動物公園自体が標高の高いところにありますので、観覧車からの景色はなかなかの絶景でまさしく必見です。眼下に幸せな家族たちを眺めながら、「次はどの動物に会いに行こうか」など、作戦を練るのも良い試みといえますね。桜島と錦江湾の取り合わせはやはり素晴らしいものがあります。
ワールドワイドな動物園へ!世界の○○ゾーン
反対に「あたらしさ」の象徴といえば世界の○○ゾーンシリーズでしょうか。リニューアルに伴い、動物の飼育ゾーンの再編や施設の改築が行われ、より臨場感を感じられるように生まれ変わりました。世界のイヌ・ネコゾーンでは百獣の王ライオンをはじめとして、ジャガー、ベンガルトラ、ホワイトタイガーなど戦闘力の高そうなネコの仲間たちが多数お出迎えしてくれます。イヌ勢力は劣勢といえるかもしれませんが、小柄なヤブイヌにはおおいに癒されることでしょう。
世界のサルゾーンでは天を衝くチンパンジー舎のデッキタワーが印象的です。チンパンジー得意のダイナミックな木登りがガラス越しに見られるチャンス。また、マンドリルの自然界らしからぬ鮮やかな色には目を奪われますし、ヤクシマザルが見られるのは鹿児島ならではといえます。オランウータンの威厳は、そのあたりの会社の重役さんでは到底太刀打ちできないほどのオーラがありますし、水辺のワオキツネザルもとってもキュートでインスタ映え間違いなしです。世界のツルゾーンではツルが飛来する地・鹿児島の面目躍如といったところでしょうか。5種のツルのうち10種ものツルが集結しており、それぞれの生態の違いなどを比較して見られるようになっています。(別エリアにさらにもう1種のツルが展示されており、すべて含めて11種飼育しているのは日本で最多となります)
順路も終盤、世界のクマゾーンではマレーグマとホッキョクグマがお出迎え。マレーグマのほっそりとしたスタイルと驚くほど長い舌にはこちらが舌を巻いてしまいます。南国鹿児島の容器を日々けなげに過ごすホッキョクグマの泳ぐところはガラス越しに見ることができ、大迫力です。また、鹿児島といえばかき氷「白くま」が有名ですが、それにちなんで毎年白くまの大手メーカーであるセイカがホッキョクグマに盛夏のおり、氷柱をプレゼントしてあげています。
動物園でも鹿児島を感じて!「かごしまの動物ゾーン」「オーストラリアの自然ゾーン」「コアラ館」
前述したように、平川動物公園の前身は鴨池動物園であり、1916年に開園されました。当時は身近だった県内の動物たちも、土地の開発に従って姿を観なくなりましたが、「かごしまの動物」ゾーンではその懐かしい顔に会うことができます。県の鳥ルリカケスの凛とした姿は必見です。この動物公園で初めて繁殖に成功した希少な固有亜種、エラブオオコウモリはここで出会うことができます。そのゾーンをさらに進むと、「オーストラリアの自然ゾーン」「コアラ館」へと続きます。鹿児島市はオーストラリアのパース市と姉妹都市関係にあり、このルートはまさに鹿児島とその姉妹都市を動物公園で感じられる部分だといえるでしょう。「オーストラリアの自然ゾーン」はウォークイン形式をとっており、より身近にカンガルーたちを感じることができます。
続いてのコアラ館は、平川動物公園にとっても特別な場所といえるでしょう。コアラの飼育は平川動物公園にとって、また鹿児島にとって悲願でした。まずは、1975年5月に「コアラを鹿児島に連れてくる会」が発足しました。これは市民による誘致活動でしたが、当時オーストラリア政府はコアラの輸出を禁止していたため厳しい時代が続きます。1980年9月になり、コアラの輸出が解除。これに合わせ、鹿児島市長が公式にオーストラリア大使館にコアラの輸出を要請することとなります。庁内に「鹿児島市コアラ誘致推進会議」を設置し協議を続けた結果、1984年10月についにコアラが来園したといいますから足掛け10年近くかかっています。
その苦労を知ってか知らずか、2018年現在では11頭いるコアラは夜行性のため、昼間は基本的にすやすやと眠っていることが多いでしょう。彼らの本来の姿を観たいのならば、例年夏休みごろ開催される夜間開館日がおすすめです。
平川動物公園の料金
- 入園料
- 大人(高校生以上):500円
- 小・中学生:100円
- 未就学児:無料
- 70歳以上の鹿児島市民。北九州市民、福岡市民、熊本市民:無料
- 年間パスポート
- 大人(高校生以上):1,000円
- 小・中学生:200円
平川動物公園の割引
平川動物公園には20名以上で訪れた場合、団体割引が適用されます。
・大人:通常500円→400円
・小・中学生:通常100円→80円"
平川動物公園の営業時間
- 通常営業時間
- 9:00~17:00
- 入園は16:30までとなっています。また、夏休みなど不定期に夜間開園することがあります。
- 定休日
- 年末年始(12月29日~1月1日)
平川動物公園のアクセス
公共交通機関を利用する場合
指宿枕崎線「五位野」駅から徒歩約20分
鹿児島駅前、または水族館バス停(桜島フェリーターミナルそば)より、鹿児島交通バス『平川動物園』行きで約60分。
車を利用する場合
指宿スカイライン「谷山IC」から約15分
平川動物公園の駐車場
平川動物公園の駐車場は、敷地内に630台の駐車が可能です。アクセス情報を参照の上平川動物公園に向かうと、入り口手前に駐車場の案内があります。GWなど繁忙期には臨時駐車場が開設されることもありますのでホームページなどで確認してください。
- 名称:平川動物公園駐車場
- 住所:鹿児島市平川町5669-1
- 営業時間:平川動物公園に準ずる
- 駐車台数:630台
- 料金:大型自動車およびバス400円、それ以外200円
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