都会のオアシス「新宿御苑」の魅力を5つのポイントで解説!自然観賞からミュージアム、歴史散歩にグルメまで紹介

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高層ビル群が立ち並ぶ大都会東京のど真ん中に位置する「新宿御苑」。東京ドーム約12個分もの広い敷地に広がる、自然豊かで美しいこの庭園は、喧騒から抜け出してホッとひと息つける「都会のオアシス」として、多くの方々から愛される癒しスポットです。今回はそんな新宿御苑の魅力を徹底解明!実際に園内を歩き回りながら、自然の見どころや歴史ミュージアム、グルメ・お土産まで余すところなく紹介します。

 

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都会のオアシス「新宿御苑」とは?

高層ビル群に囲まれ、緑が生い茂る美しい風景が広がる新宿御苑。周囲約3.5km、東京ドーム約12個分にあたる約58.3haもの広大な敷地には、さまざまな動植物が暮らす森や巨樹、そして3つの異なる様式美の庭園があります。都会のど真ん中にありながら、喧騒とは無縁の「都会のオアシス」として、多くの観光客から愛されるスポットです。

現在は誰もが自由にくつろげる"憩いの場”として人気の新宿御苑ですが、そのルーツは江戸幕府初代将軍・徳川家康の家臣・内藤氏の屋敷地にさかのぼります。

明治期に入り、政府は近代農業の発展を目的として内藤新宿試験場を設置。やがて皇室の御料地・農園として引き継がれ、1906(明治39)年に皇室庭園として「新宿御苑」が誕生しました。

戦前までは国際外交向けパレスガーデンとして運用されていましたが、戦後の1949(昭和24)年、国民が共有する財産として国民公園に生まれ変わりました。

 

・新宿御苑のエリアマップ

園内マップ|新宿御苑|国民公園|環境省

新宿御苑への入口は3つ。1つ目は、北東寄りで地下鉄新宿御苑前駅に近い「大木戸門(おおきどもん)」、2つ目は北西寄りで地下鉄新宿三丁目駅に近い「新宿門」、3つ目が南側のJR千駄ヶ谷駅に近い「千駄ヶ谷門」です。

園内は東西南北で4つのエリアに分かれ、それぞれの特徴は以下の通りです。

【北エリア】
入口:大木戸門、新宿門
主な見どころ:温室、旧洋館御休所、母と子の森、森の家(西休憩所)など

【東エリア】
入口:大木戸門
主な見どころ:玉藻池(たまもいけ)、新宿御苑ミュージアム、風景式庭園、整形式庭園、シンボルツリー「ユリノキ」など

【西エリア】
入口:千駄ヶ谷門
主な見どころ:日本庭園、旧御凉亭など

【南エリア】
入口:千駄ヶ谷門
主な見どころ:桜園地、モミジ山、ツツジ山、擬木橋(ぎぼくばし)など

 

・ガイドアプリ「Smart Town Walkerサービス」が便利!

新宿御苑では、専用アバター(仮想案内キャラクター)が園内の見どころや歴史を紹介する「Smart Town Walkerサービス®」を実施中。現在はiPhone対応のアプリのみですが、ぜひiPhoneをお持ちの方は試してみてはいかがでしょうか?

また、パークボランティアが園内の見どころや四季の魅力などを案内する「ガイドウォーク」を実施しています。

不定期開催ではありますが、予約不要で参加も無料。興味のある方は環境省HPより、「新宿御苑ガイドウォーク」の開催スケジュールをご参照ください。

 

新宿御苑の魅力その1:3つの異なる庭園様式

それではさっそく、新宿御苑の魅力を探ってみましょう。まずは園内に存在する3つの庭園様式。明治を代表する近代西洋庭園ともいわれる、新宿御苑が誇る3つの庭園を紹介します。

 

・巨大なシンボルツリーが見どころ!「風景式庭園」

園内のほぼ中央に位置し、広々とした緑の芝にシンボルツリーのユリノキや巨樹が映える「風景式庭園」。自然な植栽と景観が特徴的な庭園様式です。

ふと見上げれば、木々の隙間から新宿高層ビル群が顔をのぞかせ、都会とのコントラストが際立ちます。まさに「都会のオアシス」を実感させるひとときを過ごせます。

 

・パレスガーデンのような美しさ「整形式庭園」

風景式庭園とは対照的に、左右対称や幾何学模様を基調とした庭園様式を「整形式庭園」と呼んでいます。場所は風景式庭園の東側に隣接し、正門(※現在は公式行事や国賓の来園時のみ使用)の正面に設計されました。

約100種約500株もの花々が咲き誇るバラ花壇を中央に、左右には全長約200mほどの2組ずつ4列のプラタナス並木をデザインしています。まるで外国のパレスガーデンを訪れたような優雅な気分に浸れますよ。

 

・四季折々の風情溢れる「日本庭園」

南エリアに位置する「日本庭園」は、西の「上の池」から「旧御凉亭」にかけて池に沿って作られた日本の古来の池泉回遊式庭園です。古くは鴨場(鴨猟をするための場所)として使用され、その後日本庭園として造成されました。

春には梅や桜、秋には皇室ゆかりの菊花壇展と紅葉、冬は雪化粧で彩られ、四季折々の風情あふれる日本庭園が楽しめます。

江戸時代の大名屋敷跡の面影を残すもうひとつの日本庭園が、大木戸門からほど近い園の東端に位置する「玉藻池(たまもいけ)」です。

新宿御苑のルーツである高遠藩主内藤家の下屋敷に作られた「玉川園」の面影を残す庭園で、玉川上水の余水によって池が作られたとされています。

大木戸休憩所から眺める庭園風景と池を泳ぐ鴨たちの姿にほっこり癒されます。

 

新宿御苑の魅力その2:新宿御苑ミュージアムで歴史を学ぼう

新宿御苑の新名所ともいえるスポットが、2022年12月3日にオープンした「新宿御苑ミュージアム」。当ミュージアムは、自然に溶け込むような洗練されたデザインと国産木材をふんだんに使用した木造基調の展示施設です。

館内は、映像や音声で新宿御苑の歴史・文化を学ぶ「シアター展示室」、四季折々の植物標本や写真の展示コーナー、庭園のあゆみを解説したパネル展示、インタラクティブな映像技術を五感で学ぶ「御苑今昔マップ」、明治末期に計画されたが実現できなかった「幻の宮殿想定CG」、新宿御苑が所蔵する各種資料をデジタルアーカイブ化した「デジタル史料集」などが無料で見学できます。

関東屈指の桜の名所として知られる新宿御苑。園内の桜は現在約70種類にのぼるとか。

そんな新宿御苑を彩る桜の紹介コーナーでは、大正期に描かれたとされる桜の精密画のほか、現存する桜の品種のアクリル標本が展示されています。桜にこんなにたくさんの品種があったとは、とても驚きました。開館時間は新宿御苑の開園時間と同じなので、ぜひ一度足を運んでみては?

 

新宿御苑の魅力その3:往時をしのぶ歴史散歩

明治期に誕生した新宿御苑。空襲では壊滅的な被害を受けながらも、園内には奇跡的に戦禍を逃れた貴重な歴史的遺構が点在しています。ぜひ、往時をしのぶ歴史散歩に出かけてみませんか。

 

・和洋折衷の美しい建築様式「旧洋館御休所」

大木戸門から温室を抜けた先にあるのが「旧洋館御休所(きゅうようかんごきゅうしょ)」です。

1896(明治29)年、天皇や皇族が温室などを観賞するために建てられた休憩所で、1924(大正13)年までに増改築を重ね、かつて御休所前に作られたゴルフ場のクラブハウスとして活用されました。

19世紀後半に米国で流行したスティック・スタイルという建築様式を基調としつつ、日本の美も取り入れた木造建築で、2001(平成13)年、国の重要文化財に指定されています。

※旧洋館御休所は改修工事のため、2023(令和5)年8月1日より一般公開を休止。再開日は公式サイト等で確認してください。

 

・水辺に浮かぶ非日常の空間「旧御凉亭(台湾閣)」

日本庭園の一角にたたずむ「旧御凉亭(きゅうごりょうてい)」は、別名「台湾閣」とも呼ばれる落ち着いた雰囲気の遺構。裕仁親王(のちの昭和天皇)の御成婚を記念し、1927(昭和2)年に台湾在住の日本人から献上されました。

中国南部の福建省を由来とする「ビン南式」と呼ばれる中国建築様式を採用し、水辺の涼を楽しむ御休息所として利用された旧御凉亭。日本では数少ない本格的な中国風建築として、2003(平成15)年度の東京都選定歴史的建造物に指定されています。

旧御凉亭の内部から見られる日本庭園の様子。濡れ縁の手すりや折り戸、欄間のシルエットが額縁効果となっていて、実に美しいですね。

 

・フォトスポットとしても人気の歴史遺構「旧門衛所」

新宿門からほど近い「旧新宿門衛所」と、大木戸門に隣接した「旧大木戸門衛所」は、1927(昭和2)年に創建された遺構。独特のデザイン性と初期の鉄筋コンクリート造りであることから、歴史的・景観的価値が高いとされています。

なお、かつては門衛の詰所とともに休憩処や宿直施設も兼ねていたようですが、現在は使用されていません。レトロな建物の外観は周囲の自然景観と相まって、過去にタイムスリップしたような気分にさせてくれます。

 

・日本初といわれる本物の木そっくりの橋「擬木橋」

南エリアの「下の池」にかかるこの橋は「擬木橋(ぎぼくばし)」と呼ばれ、樹木そっくりに造られた人工的な橋です。

1905(明治38)年にフランスから擬木の材料を譲り受け、3人の外国人技師が来日し、日本で初めて擬木橋を架けたといわれています。

新宿御苑の魅力その4:四季折々の自然鑑賞

新宿御苑といえば春のお花見スポットとして有名ですが、実は桜以外にも、さまざまな植物による四季折々の自然観賞が楽しめます。

 

・いつ訪れても楽しい四季折々の花

写真提供:環境省新宿御苑管理事務所

新宿御苑といえば、やはり関東屈指の桜の名所が有名。園内には約70種約900本が植栽されており、2月のカンザクラから晩春の八重桜まで、長期間にわたってお花見が楽しめます。

もちろん桜だけでなく、梅やツバキ、ツツジにバラ、 アジサイなど、四季折々の花が楽しめるのも魅力です。

新宿御苑では年に6回、季節に応じた花の見ごろや咲いているポイントなどを紹介する園内マップを発行。さらに最新情報は、(一財)国民公園協会新宿御苑のTwitter公式アカウント「新宿御苑(自然情報)」や公式ホームページで随時更新されています。来園の際にはぜひ参考にしてくださいね。

訪れた時期は、中央に位置する三角花壇にオニユリが咲き誇っていました。

また、毎年11月1日~15日には、日本庭園にて皇室ゆかりの「菊花壇展」が、11月下旬には温室にて「洋らん展」が開催されます。

四季折々の表情が楽しめる新宿御苑。来るたびに楽しみが増えますね。

 

・里山の自然に触れられる「母と子の森」

新宿御苑北西部に位置する「母と子の森」。都会の子どもたちに、里山の自然とふれあい、豊かな感性を育んでもらう目的で作られた自然観察フィールドです。

一周430mの「かんさつの道」沿いには、「里山の森」「いきものの森」「巨樹の森」「ラクウショウの森」、そして「森の池」の5つのエリアが配置され、普段は出会えないさまざまな植物や生き物たちを観察できます。

こちらは「ラクウショウの森」。小さな葉が鳥の羽のように集まった枝が、秋に紅葉するとそのまま落ちることから「落羽松」と名がついたこの樹木。地面からタケノコのように突起が生えている不思議な光景が特徴的ですが、これらはラクウショウの根の一部である気根(きこん)。木々は樹齢100年を超えるといわれています。

ちなみに「母と子の森」では、子どもと保護者を対象とした自然教室を開催しています(参加費無料、要事前申込、入園料は別途必要)。「くさはらで虫さがし」「木の実とあそぼう」など、子どもが楽しく自然を学べるプログラムが豊富にあるので、親子で自然とふれあえる最高の機会になりそうですね。

 

・希少植物の宝庫!巨大なガラス張りの「温室」

パビリオンのような曲線が美しいガラス張りの建物が、2012(平成24)年11月にリニューアルオープンした「温室」です。もともとあった5つの温室を集約し、新宿御苑の歴史に欠かせない洋ランなどの希少植物や絶滅危惧種の保全・展示もしています。

館内は環境配慮型でバリアフリーにも対応した温室に生まれ変わっており、現在は熱帯・亜熱帯の植物を中心に約2,700種の植物が栽培されています。

館内には、ジャングルや池沼、乾燥地、熱帯の山地などの植物を観察できるコーナーを設置。さらに国内においては、小笠原諸島や南西諸島を取り上げるなど、環境テーマごとに世界各地の特色あふれる熱帯植物を観賞できます。

世界中の珍しい熱帯・亜熱帯の植物がところ狭しと展示され、さながら異国のジャングルに迷い込んだかのような探検気分を味わえますよ。

こちらは、国内では奄美・沖縄地方など南西諸島に生息する「サガリバナ」。初夏に咲く花で、夜に花開き、朝花を落とす、一夜限りの儚くも美しい花として知られています。沖縄や奄美でも珍しいサガリバナが新宿で見られるなんて、すごいですよね。

ちなみに温室では月に1回、担当職員による見どころ紹介のガイドツアー「温室鑑賞教室」(第3水曜日)や、通常は非公開のバックヤード(栽培所)を案内する「バックヤードツアー」(第2水曜日)が開催されています。いずれも当日受付・先着順(定員15名ほど)、13:30スタートで15分前から温室前で受付となっています。気になる方は、新宿御苑公式ホームページのイベント情報や公式Twitterを要チェックです。

【温室開館時間】
(10/1〜3/14)9:30〜15:30
(3/15〜6/30、8/21〜9/30)9:30〜17:00
(7/1〜8/20)9:30〜18:00

 

・園内に生息する歴史的な巨樹

新宿御苑には、珍しい木や樹齢100年を超える巨樹も数多く存在します。

たとえば、新宿御苑のシンボルツリー「ユリノキ」は、高さ約35m、幹回り約2~4m、推定樹齢120年を超える巨樹で、日本で初めて植えられたユリノキとされています。

新宿御苑のユリノキを母樹として、全国各地に広まったとされ、とくに都内にある街路樹のユリノキはこの樹の子孫にあたるそうですよ。

こちらも目を引く、新宿門の近くに立つ「ヒマラヤスギ(ヒマラヤシーダー)」。

ヒマラヤ原産のヒマラヤスギの種子は、明治期に新宿御苑でも植栽され、現在までに約380本が育っているのだとか。

巨大な傘を広げたような円錐形の樹の木陰は、絶好のくつろぎスポットです。

こちらは、整形式庭園の両脇を飾るプラタナス並木。約140本が長さ約200mに渡って立ち並ぶ、園内屈指の人気フォトスポットとなっています。

ちなみに、環境省の生物多様性センターでは、全国の巨樹・巨木林に関する情報を集約したサイト「巨樹・巨木林データベース」を公開しています。サイト内では、国立公園や都市部の公園などに生息する巨樹・巨木林を巡るおすすめの観察コースガイドが紹介され、そのひとつに新宿御苑も紹介されています。ぜひ、お散歩コースの参考にしてみましょう。

新宿御苑の魅力その5:無料休憩所と便利な給水サービス

広大なエリアを散策する時に欠かせないのが、休憩スポットですよね。新宿御苑にある無料休憩所と、水分補給に便利な「マイボトル給水器」について紹介します。

意外に知られていないのが、園内にあるレストラン・カフェのほとんどが無料休憩所を兼ねていること(※スターバックスコーヒー新宿御苑店は除く)。要するにメニューをオーダーしなくても、誰もが入ってくつろいで休憩できるのです。

併設店舗は、新宿門のインフォメーションセンターに併設された「NATIONAL PARKS CAFE Under the Tree」、中央休憩所の「SASAYAIORI+新宿御苑」、西エリアにある「レストランゆりのき(つぶら乃)」、日本庭園にある「翔天亭売店(新宿御苑あのん)」などが挙げられます。

また、「母と子の森」入口にある「森の家(西休憩所)」は自動販売機を併設しており、空調が効いていてとても快適に過ごせます。

木陰の下も開放的で風が気持ち良い場所なので、ぜひ利用してみてくださいね。

もうひとつ便利なサービスは、各エリアに設置された「マイボトル給水器」スポット。空のマイボトルを持参すれば、無料でいつでも給水可能です。

給水スポットは、新宿門前、母と子の森入口、大木戸門前、千駄ヶ谷門前、中央休憩所前、そしてスターバックスコーヒー前の計6ヶ所。詳しくは新宿御苑マップを確認しましょう。

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