日本から南極への旅路を辿る「南館」の見どころ
南館では、南極観測船ふじが実際に南極へ向かったコースを辿りながら、さまざまな海の生き物たちに出会えます。ちなみに北館と南館は渡り廊下でつながっているため、外に出る必要はありません。寒い季節や雨の日でも快適に回れます。
・迫力満点!マイワシのトルネードを見られる「黒潮大水槽」
南館を進むと目の前に広がるのが「黒潮大水槽」。名古屋港水族館では、約35,000尾ものマイワシがエサを求めて高速で群泳する「マイワシのトルネード」を、音楽や水中照明を使って演出するイベントを開催しています。
このマイワシのトルネードは、「特定のリーダーはおらず、仲間の後をついて泳ぐ」というマイワシの習性と、エサを与えると興奮して猛スピードで泳ぎ出す習性を利用し、「トルネード(巨大竜巻)」を演出しているそうです。
ちなみにエサやりの方法は、エサの入った紐付きのビニールに重りを付けて水槽に落とします。エサの入った袋には水圧がかかるため、エサは途中でこぼれ落ちず水底まで落下。
水底から少しずつ紐をたぐり寄せることでエサが舞い上がるように広がるため、マイワシがエサを目がけて下から上へと縦方向の泳ぎを披露するのだとか。マイワシの動きは1回1回異なるので、何度見ても新しい感動に出会えるはずです。
今では多くの水族館で行われている同イベントですが、実は15年以上も前、最初に開催したのが名古屋港水族館なんです。「マイワシのトルネード」という名称を考えたのも同水族館なのだそうですよ!
マイワシのトルネードも美しいですが、通常時に群泳する姿も幻想的なので、ぜひじっくりと堪能してみてください。
ちなみに黒潮大水槽の左側には「トンネル水槽」があります。360度を海に囲まれたような雰囲気で、こちらも幻想的。見上げると小さなサメが泳ぐ姿も見られます。
さらに進むと、大小複数の水槽が並ぶゾーンが出現。岩場や藻の生い茂った海など、日本のさまざまな海が再現されているエリアです。
なかでも興味深いのは、クエのいる水槽です。大きなクエと一緒に小さな魚「ホンソメワケベラ」が暮らしていて、ほかのお客さんからも「クエに食べられないのかな?」と疑問があがっていました。
「クエの口の周りにいても大丈夫?」と、つい心配になるホンソメワケベラ。実は「クリーナーフィッシュ」と呼ばれ、魚たちの体についた寄生虫やカビなどを食べてきれいにしてくれる魚なんです。
普段は肉食のクエですが、ホンソメワケベラの前ではおとなしくしているため、食べられる心配はないそうですよ。クエとホンソメワケベラは、共生関係にあるのですね。
ほっこりした気持ちで進んでいくと、その先に大型機械のような水槽を見つけました。目の前の名古屋港にきれいな板を沈めて、数ヶ月後に海から取り出したものを展示しているそうです。
海に沈める前は白色だった板も、海から取り出してみると付着生物がいっぱい。板にはどのような生き物が付着しているのでしょうか?
その答えは、中央のズームカメラの先にあります。カメラが捉えた映像は、左上のモニターで確認可能。手元のボタン操作で自分が見たい部分にカメラを向けられるので、いろいろな付着生物が見られて興味深いですよ!
ちなみに画面に映っているのはフジツボ。ふわふわした毛のようなものは、フジツボの足です。自力では移動できないフジツボは、足を「おいでおいで」と手招きするように動かして、プランクトンを捕まえているそうです。フジツボの陸とは違う姿は、まるでエイリアンのようです。
・ダイオウグソクムシにも会える「深海ギャラリー」
「深海ギャラリー」では、水深200m以上の海域・深海で暮らす生き物たちに出会えます。これまでの開放的な展示とは打って変わって、暗くてちょっぴり怖い雰囲気に変化。ちなみに写真の生き物は、節足動物の中で世界最大といわれるタカアシガニです。
展示エリアは緩やかなスロープになっている場所があり、さながら秘密の潜水艦のような雰囲気。左右の小窓には深海の生き物たちの標本が飾られ、ワクワクしながら珍しい生き物の姿を観察できます。
なかでも驚いたのは、昔の潜水服の展示。まるで宇宙人のような姿ですが、このようなヘルメット型の潜水服で潜っていたのかと関心しました。
さらに進むと、深海の人気者「ダイオウグソクムシ」を見られるエリアが出現します。ダイオウグソクムシは、等脚目に属する海生甲殻類の一種で、謎の多い生き物。
「ジッとしていますが、ちゃんと生きています!」と注意書きが書かれるほど、見ているときは微動だにしなかったダイオウグソクムシ。移動している姿を見られたらラッキーかもしれません。
・グレートバリアリーフをイメージした「赤道の海」
オーストラリアで有名な世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」をモチーフとしたサンゴ礁大水槽が楽しめる「赤道の海」。鳥が羽ばたくように泳ぐ「マダラトビエイ」や「シノノメサカタザメ」など、約150種・3,000匹ほどの魚が暮らしています。
写真右上で泳ぐひときわ大きいシノノメサカタザメは、「サメ」という言葉が付いていますがエイの仲間。全長は2m以上あるそうです。
この水槽には一匹だけハリセンボンもいるので、ぜひ見つけてみてください。
また、名古屋港水族館では、飼育が難しいといわれる「ライブコーラル(生体サンゴ)」も展示しています。左側がレプリカのサンゴ礁で、右側が生体サンゴ礁。
どちらも美しいのですが、生体サンゴ礁は光合成が必要なので、光の調整が大切なのだとか。時間帯によって照明が変わるため、訪れるたびに異なる表情が見られます。
・子どもから大人まで大人気の「ウミガメ回遊水槽」
2階・3階にある「ウミガメ回遊水槽」は、ウミガメたちが自由に泳げるようにドーナツ型に設計された水槽です。何匹もの亀が自由に泳ぎ回る姿はダイナミックで、立ち止まって夢中に見続けている親子連れを多く見かけました。
泳いでいるばかりではなく、水底でのんびり過ごすウミガメの姿を見られるのもポイント。こちらの水槽では、アオウミガメ、アカウミガメ、タイマイなどに出会えます。
ウミガメは基本的に雑食ですが、アカウミガメは肉系の食べ物を好む傾向があるので、アジなどの魚をあげているそうです。一方でアオウミガメは、海藻類が好み。水族館では大量の海藻類を仕入れることが困難なので、アオウミガメにはレタスを与えているそうですよ。
・館内で唯一淡水の生き物がいる「オーストラリアの水辺」
オーストラリアの河川などに棲む生き物たちを展示しているエリア。水中だけではなく陸地の雰囲気も凝っていて、熱帯雨林のようなテラリウムになっています。アロワナの仲間の古代魚「ノーザンバラムンディ」が遊泳する姿も眺められるので、古代魚好きにはたまらない水槽ですよ。
・世界最大級のエンペラーペンギンに感動!多彩なペンギンが暮らす「南極の海」
南極の旅はいよいよ最終局面を迎え、95%以上が氷に覆われた生き物たちの世界へ。「ペンギン水槽」には4種類のペンギンがいて、南極大陸で繁殖する「エンペラーペンギン」と「アデリーペンギン」、南極地域のすぐ北側の亜南極に生息する「ジェンツーペンギン」と「ヒゲペンギン」に出会えます。
水槽内の温度は、なんとマイナス2度!南極の昭和基地に季節を合わせているため、日本の季節とは逆に設定されています。秋頃に訪れたときのペンギン水槽の中は、春の季節でした。これから夏に向けて、水槽内はさらに明るくなっていきます。
水槽内が春〜夏の季節は繁殖シーズンでもあるので、毎年12月から1月あたりには水槽奥の陸地部分で雛の姿を見られるかもしれません。
ペンギン水槽の季節が冬の場合は、水槽内が南極に合わせて暗くなってしまいます。じっくり見たいなら、水槽内が明るいシーズンを選んで訪れるのがおすすめですよ。
ちなみに世界最大のペンギン「エンペラーペンギン」が見られるのは、国内では名古屋港水族館と和歌山県にあるアドベンチャーワールドの2ヶ所だけ。訪れた際は、ぜひ珍しいペンギンや展示の季節感を楽しんでくださいね。
・見ているだけで癒される「くらげなごりうむ」
1階にある「くらげなごりうむ」は、大小さまざまなクラゲを見られる癒しのスポット。まるで海の中にいるかのような幻想的な展示や、小さなクラゲを観察できる研究ゾーンがあります。
最初に目に入るのが、200匹ほどの水クラゲが漂う水槽。この水槽だけ名称が書かれたプレートや説明書きは一切なく、純粋にクラゲを眺めるだけの空間になっています。
左右だけでなく天井もミラーになっていて、とても幻想的。ほかにもさまざまな展示方法があるので、ぜひお気に入りの水槽を探してみましょう。
さらに奥へ進むと、クラゲの生態を紹介している「クラゲラボ」があります。クラゲラボにある顕微鏡では、クラゲが産まれる元となるポプリが観察できます。ラボの上部に付いた2つのモニターで、その様子を確認してみましょう。
そのほかにも、とても小さな「タコクラゲ」や刺さないクラゲ「カブトクラゲ」など、思わず癒されるクラゲの展示がいっぱいです。ふわりふわりと漂うクラゲを眺めていると、あっという間に時間が経ってしまうかもしれません。
親子で楽しめる人気スポットやお役立ち情報を紹介
名古屋港水族館は、小さな子どもと一緒に楽しめるイベントや遊び方がたくさん用意されています。多彩な展示だけでなく、体験型イベントやフォトスポット巡りも楽しんでみましょう。
・迫力のパフォーマンスを楽しむ
名古屋港水族館では、さまざまなショーやイベントが開催されています。大人気のイルカパフォーマンスや、シャチの公開トレーニング、ペンギン水槽のフィーディングタイムなど、広い館内では数々の体験に参加できるでしょう。
毎日のイベントは豊富なのでノープランで訪れてもいいですが、お目当てのイベントがあるなら出かける前にホームページをチェックしておくと安心です。
・フォトスポットで思い出づくり
北館2階「進化の海」の入口には、レプリカの大型シャチと一緒に記念撮影できる「シャチスタジオ」(1枚1,500円)があります。撮影はプロが担当するので安心。撮った写真はオリジナルの記念カードに仕立ててくれるので、水族館を訪れた思い出にぴったりですよ。
そのほかにも、サンゴ礁大水槽やくらげなごりうむなど、写真OKの撮影スポットが多数あります。なかでもクラゲの大水槽は、カメラの向きや撮り方によって全く違う雰囲気の写真を撮れると評判。映え写真の撮影にぴったりなので、ぜひ試してみてくださいね。
・休憩室やベビーコーナーには子ども連れに嬉しい設備が充実
名古屋港水族館には、小さな子どものいる家族や高齢者、体の不自由な方に配慮した設備も用意されています。館内の各所には、緩やかなスロープやエレベーターを設置。ベビーコーナーや休憩室などの設備のほか、有料コインロッカーも用意されています。
ベビーカーを利用している方は荷物が多くなりがちなので、有料コインロッカーに荷物を預けてから館内を回るのもよさそうですね。
サメやワニも食べられる?「アリバダ」で水族館ならではのランチ
南館の2階にあるレストラン「アリバダ」は、なんとサメやワニの肉を食べられるお店。落ちついた雰囲気の店内には大型水槽があり、魚を眺めながら優雅に料理を味わえます。
今回は「シャークステーキ」(1,680円)を注文してみました。未体験のサメの肉は、一体どんな味がするのでしょうか?
見た目は普通のお肉と変わりませんが、断面は肉というよりも白身魚!実際に食べてみたところ、バジルとトマトソースの風味が口の中に広がり、とても味わい深かったです。
グリルしてこんがりと焼いているためか、チキンのような香ばしさも感じました。サメの肉はヘルシーなのに高タンパク質。ダイエットにも適した食材なので、気兼ねなく食べられていいですね。
「サメやワニの肉は、普段食べている肉と比べてクセがありそう…」と心配な方は、「シャークバーガー」(1,680円)や、「フライドクロコダイル」(2,580円)など、揚げ物系メニューを選ぶのがおすすめ。サクサクの食感&独特の臭みが消えるので、食べやすいそうですよ。
フライドクロコダイルは、ワニのさまざまな部位の肉を使用しているそう。一口食べるたびに食感の違いを感じられます。
帰りはお土産ショップでかわいいグッズを購入
館内でお土産を買うなら、「南館ミュージアムショップ」に行ってみましょう。ベルーガ・シャチ・ペンギンなど、水族館で人気の生き物がぬいぐるみやお菓子になって勢揃い!子どものお土産にもきっと喜ばれるはずです。
中でもおすすめなのが、名古屋港水族館限定の「キャプテンベルーガ 柿の種」(700円)。パッケージに船長服姿のベルーガやシャチなどが描かれたかわいい見た目です。「ゆずカツオ風味」「イカ焼きマヨ風味」「ほたてバター風味」の3種類が7袋ずつ入っているので、みんなでたっぷりと楽しめます。
「エンペラーペンギンSぬいぐるみ」(2,000円)や「ベルーガジュニアぬいぐるみ」(2,250円)は、子どもに人気が高いグッズのひとつ。毛並みの手触りがとても良く、しっかりしたつくりのぬいぐるみなので、お土産に喜ばれるはずですよ。
名古屋港水族館のアクセス方法
電車でアクセスする場合は、地下鉄名港線「名古屋港駅」から徒歩約5分で到着します。名古屋港駅の3番出口を出て「ガーデンふ頭交差点」を渡った先にある看板を右折。道なりに歩くと、南極観測船ふじが係留する港に辿り着きます。そこから右側を向くと、名古屋港水族館の入口が見えてきます。
車でアクセスする場合は、名古屋高速道路「港明IC」から約10分、伊勢湾岸自動車道「名港中央IC」から約20分となります。駐車場は、水族館から徒歩約5分程度の「ガーデンふ頭駐車場」または「ガーデンふ頭西駐車場」を利用すると便利です。
ともに乗用車の駐車料金は100円/30分、24時間ごとの上限額は1,000円となります。ちなみにガーデンふ頭駐車場は、入庫が8:00~21:00まで(出庫は24時間可)、ガーデンふ頭西駐車場は24時間入出庫可となっています。混雑時は臨時駐車場の案内が出る場合もあります。
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