旬のあんこうを求めて。冬の北茨城トリップ

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もうすぐ冬。寒くなってきて、あったかい鍋が食べたい季節になりました。
鍋にもいろいろありますが、中でも編集部がおすすめしたいのが、茨城のあんこう鍋。

調べてみると、あんこう鍋の本場・北茨城には、なんと自分であんこうをさばける体験があるそうです。
他にも、周辺にはガラスや陶芸、料理体験にBBQなど、魅力的な体験が色々あるとのこと。
そんな噂を聞いて、北茨城へやってきました。

北茨城のシンボル、六角堂を望む五浦岬公園

大人の家庭科教室。プロに学ぶ魚のさばき方

最初にやってきたのは、北茨城市漁業歴史資料館 よう・そろー。
ここでは、調理実習室で魚のさばき方を学ぶことができます。

魚をさばいて食べる。こんなシンプルなことを、改めて学ぶ機会なんて、大人になってから無かったかもしれません。

魚のさばき方を教えてくれるのは、友達に誘われて釣りを始めたことがきっかけで、次第に魚に魅せられていったという、佐々木さん。色々な魚をさばいているうちに、地元北茨城市でこうした料理教室の先生をするようになったそうです。

早速、調理開始!
今日のお魚はサバ。これを三枚おろしにします。佐々木さんが実演して、それを真似して魚をさばいていきます。

まずは頭を切り落とします。えらの付け根に包丁をいれて、バッサリと。
ごつっとした感触がしたけれど、一気に切ることができました。

次に腹に包丁をいれてみます。
スッと入れてから真ん中まで通してみると、はらわたが出てきたので、水で落として綺麗にします。

今度は背に包丁を通していきます。
背骨に包丁があたって、ごつごつした感触が伝わってきます。

腹、背ときたら、今度はまた背に。そして腹に。
…あれ、思ったより簡単にできるかも?

佐々木さんの丁寧な指導もあり、難しそうに見えた三枚おろしも、10分かからないくらいで、意外とすんなりできました。
大人になっても、できないことができるようになると嬉しいものですね。

三枚おろしにしたサバは、一口大の切り身にして、から揚げのタレにつけます。

この後は、スタッフのおばちゃんに、さばいたサバをから揚げと煮つけにして調理してもらうことに。


しかも今日はたまたま手に入った鯛の刺身付き!

そして、お待ちかねの実食タイム。
どれもシンプルな料理ですが、自分でさばいたこともあって、とても美味しく感じられます。
美味しい料理をいただけると、自然と会話も弾み、楽しい時間になりました。

最後に、資料展示室も見学していきます。
館内に入るとまず目をひくのが、大きな船。
北茨城で5年に1度開かれる「御船祭」で、実際に使われる船です。
この船を、海ではなく街中で豪快に引き回していきます。

船の他にも、東日本大震災で受けた被害の記録や、こどもも楽しめるあんこうゲームコーナーなど、
様々な興味深い展示を見ることができます。訪れた際は、ぜひチェックしてみてくださいね。

眺めの良い工房で、本格的なガラス吹き体験にトライ

続いてやってきたのは、ガラス工房シリカ。
北茨城ICから車で15分、山の上にある眺めの良い工房です。

まずは窓口で、作りたいガラスの形、色を選びます。
形は小鉢、ロック、ストレート、口広の4種類。
色は青、黄緑、オレンジなど6種類から選ぶことができます。

作りたいものが決まったら、体験ができる工房へ移動。
天井が高く広さのある工房には、2つの溶解炉が並んでいます。
設備は本格的で、ガラスに魅せられてここに移住してきたスタッフの方もいるそうです。

エプロンをして、準備万端。
まずはスタッフさんに、熱された赤いガラスのベースを作ってもらいます。


そこに、先ほど選んだ緑色のガラスの破片をまぶし、一度炉にいれて混ぜ合わせます。
ガラスとガラスが溶け合って、まだら模様になりました。
まだこの段階では、ピンポン玉くらいの大きさです。

ここから、少しずつガラスを吹いて、内側を大きくしていきます。
スタッフさんにサポートしてもらいながら、最初はそっと息を吹き込んでみます。
すると、ガラスがちょっと膨らんで、テニスボールくらいの大きさになりました。

このまま冷めると割れてしまうので、一度引き上げて炉に戻します。
炉にいれて、そして吹いて伸ばす。これを繰り返して、徐々にガラスを大きくしていきます。

ある程度グラスの形になってきたところで、今度は別の棒を当てて、底の部分を作ります。
そして、はさみを当てて口の部分を切り離します。
このあたりは難しい作業が続きますが、スタッフさんが2名がかりで対応してくれます。
こうしたプロの技を間近で見られるのも、吹きガラス体験の見どころの一つです。

最後に仕上げをしてもらって、完成です!
はじめは赤かったガラスの玉に、ほんのり緑の色がついて、綺麗なグラスを作ることができました。


できあがった作品は専用の装置でゆっくりと冷ました後、約1週間程度で発送してくれます。

吹きガラス体験自体は30分もあれば終わってしまうので、あわせてプロのガラス作家の作品が展示されている、展示室も見ていきましょう。
展示室内には様々な作品が飾られており、一口にガラスと言っても、色、形状、大きさがそれぞれ違って面白さがあります。
体験の後に見れば、繊細に作られた数々の作品がどれだけ凄いものなのか、実感を持って眺めることができるのでおすすめです。

併設のカフェスペースでは、飲み物をいただくこともできます。
また、ギフトショップでは個性的なものから普段使いに使えるものまで、いろいろなガラス作品を買うことができます。
天気の良い日には遠くに海を眺められるので、体験後にゆっくりとしていくのもいいですね。

いのちをいただく。あんこうを豪快につるし切り

続いてやってきたのは、あんこうの宿まるみつ旅館。
ここでは「あんこう研究所」を併設していて、あんこうのつるし切りの体験ができます。

「西のふぐ、東のあんこう」と言われる、冬の美味しい魚の代表、あんこう。
北茨城では、冬の定番としてあんこうが食されています。
コラーゲンや栄養をたくさん含んでいて、カラダにも良い魚の一つです。

でも、深海魚であるあんこうはヌメヌメしていて、まな板で簡単にさばくことはできません。
そのため、伝統的なさばき方としてこの地に伝わっているのが、あんこうのつるし切りなのです。

まずは準備から。
あんこうのイラストがかわいい、あんこう研究所オリジナルのエプロンと軍手を身に着けます。

つるし切りをするために、支えになる木枠をセットします。
ここで、あんこうとご対面!
あごのところにフックを掛けると、全長は80cmくらいあるでしょうか。
思ったより大きくて、驚きます。そしてよく見ると、ちょっとかわいい?

準備が整ったところで、三代目のご主人、武士さんによる、つるし切りがスタート。
部位ごとに食べ方や豆知識を教えてもらいながら、軽快な手つきであんこうをさばいていきます。

そしてお腹の皮をはがすところに差し掛かったところで、一緒にお手伝い。
ちょっと気持ち悪いけど、一気にメリメリっとはがすと、いい感じに皮をはがすことができました。

ちなみにこの皮、コラーゲンがたっぷり含まれていて、もちろん食べることができます。

そこから、あん肝、腸、内臓、卵巣のはねなどを、武士さんが食べられるところとそうでないところに分けながら、どんどん切り落としていきます。
「あんこうに捨てるところなし」と言われるそうで、食べられない部分が少ないことに驚きます。

最後に残った身の部分を、包丁で切り落とすところを体験させてもらいます。
ものの15分程度で、大きかったあんこうがを無事解体することができました。

大きな魚を解体する体験はもちろん初めてでしたが、まさに命を頂いている感覚がリアルに伝わってきます。
あんこうに、ごめんなさいとありがとうの気持ちを抱きながら、つるし切りを終えました。

つるし切りの後は、お待ちかねのあんこう料理をいただきます。
この地域では元々漁師めしだった「どぶ汁」という料理が一般的に食べられていて、それをつるし切りの後に味わえます。

あん肝と味噌がベースとなったどぶ汁は、とても濃厚で、一度食べると忘れられないほどの美味しさ。
北茨城に来たからには、ぜひ絶品の「あんこうのどぶ汁」を、一度味わってみてはいかがでしょうか。
※どぶ汁には仕込みが必要なため、事前に用意したあんこうを使ったどぶ汁を提供していただきます。

温浴施設つきBBQ! 目の前の海を眺めて癒されよう

北茨城の象徴的な景色と言えば、広大な太平洋の広がる風景です。
そんな海を眺められるロケーションで、バーベキューを楽しむことができます。

やってきたのは「トレーラーホテル ザ ラブソング」。
夏には海水浴の人でにぎわう、磯原二ツ島海水浴場からもほど近い海岸沿いにあります。

施設内には、海岸まで徒歩0秒の立地に泊まれるトレーラーが立ち並びます。
トレーラーの中は意外と広く、大人数でも十分泊まることができるほどです。
基本的には宿泊者向けのトレーラーですが、追加料金を払えばバーベキュー時の利用も可能とのこと。

さっそくバーベキューをスタート。本格的なグリルがお出迎え。
火おこしは自分でやるセルフスタイルですが、火を付けるまでの時間もバーベキューの楽しみの一つです。

用意された食材は、併設している韓国料理店から届けられたもの。
サムギョプサルをはじめ美味しいものが揃っています。
お好みに応じて、唐辛子パウダーで辛く味付けするのもおすすめです。

バーベキューでわいわい楽しんだ後は、併設の温浴施設「湯かっぺ」で汗を流しましょう。


ここの売りは、なんといっても開放的な海の景色です。
浴槽は海と繋がって見えるように設計されていて、目の前に広がる雄大な景色の中で、ゆったりと癒されることができます。

バーベキューでわいわい楽しんだあとは、眺めの良いお風呂できれいになって、ゆっくり癒される。
おすすめの体験プランです。
※入浴はオプション扱いとなります。

心静かにろくろに向き合う。土とふれあう陶芸体験

最後にやってきたのは、陶芸工房 土の夢。
北茨城に広がる、のどかな田園風景。その中にある小さな陶芸工房です。

こじんまりとした陶芸工房は、少人数のグループで訪れるにはぴったりの広さです。
薪ストーブの焚いてある室内は思ったよりも暖かく、どこか懐かしい気持ちになれます。

今回は、マンツーマンで指導を受けることになりました。
まずは準備していただいた前掛けをセットして、講師の菊地さんから、全体の流れを教えてもらいます。

ろくろにセットされた土を手で濡らし、ゆっくりと右手の親指で頭の部分をへこませていきます。
へこみがちょうどろくろの真ん中に来るように、微妙な力加減で触れていきます。

へこみが大きくなってきたら、今度は両手でさらにへこみを広げていきます。
すると、だんだん器の形になってくるのが分かります。

へこみを広げて、深くしていくのを繰り返しながら、作りたいものに近づけて成型していきます。
出来上がりをイメージしながら調整していくこの工程が、難しくもありわくわくもする時間です。

最後にスポンジで水分をふき取り、フチに仕上げをします。ろくろから糸で作品を切り離したら、完成です。
完成した作品の中から、色をつけて焼き上げる作品を1つか2つ選びます。

仕上げに使う釉薬は、なんと10種類以上。自由に色味を選ぶことができます。
定番の白だけでなく、緑や青、黒などから好きなものをチョイスできて、中にはコーヒーの殻で作ったオリジナルの釉薬も。
たくさんあって迷うけれど、お気にいりを見つけて選んでみましょう。出来上がった作品は後日送ってくれます。

ちなみに講師の菊地さんは、元々北茨城出身ではなく、移住してきたそうです。
陶芸工房を開いて作品を作りながら、自分たちで食べる農作物も作る、“半陶半農”生活をしているとのこと。

静かな環境でものづくりに没頭するのは、都会ではなかなか味わえない経験。
こういった非日常の時間を過ごせるのが、陶芸体験の魅力なのかもしれません。

編集後記

撮影中は天気に恵まれ、日がさすと暖かな陽気に心も和らぎました。
この地域は、冬でも雪が降ることはほとんど無いそうです。
また、あんこう鍋を始めとした料理が温かかったのはもちろん、取材先の皆様にも温かく迎えていただきました。

冬でもあたたかく、ほっこりできる北茨城。
ぜひ皆様も、訪れてみてはいかがでしょうか。

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