静岡県・伊豆にある熱川は、町のいたるところから湯けむりがたちのぼる情緒たっぷりの温泉街。そんな熱川で60年以上も営業している人気観光スポットが「熱川バナナワニ園」です。「どうして熱川で、バナナとワニ?」なんて疑問に思いながらも、一度訪れるとファンになる、個性あふれるテーマパークを紹介します。
熱川バナナワニ園とは?
「熱川バナナワニ園」は、静岡県伊豆熱川温泉にある、ワニや熱帯植物を展示する動植物園です。開園は1958(昭和33)年。豊富な温泉資源を利用して、当時では珍しかったバナナのテーマパークを作ろうとしたところ、「バナナだけではなく、ワニも一緒に展示してはどうか」と、動物商からアドバイスをもらい、バナナとワニを展示するユニークなスポットが誕生しました。
「本園・ワニ園」「本園・植物園」「分園・果樹園」と3つの施設があり、飼育しているワニの頭数は世界でもトップクラス!ワニ以外にもニシレッサーパンダやアマゾンマナティなど、日本ではここでしか見られないかわいい動物たちとの出会いも待っています。
植物園では、約20種類以上のバナナを栽培。365日いつ訪れても、新鮮なもぎたてのバナナを味わえます。ほかにもパパイヤやマンゴーなど、南国のフルーツがたくさん!見るだけでなく、食べる楽しみも味わえる贅沢な施設なんです。
・熱川ってどんなところ?
熱川温泉は開湯が室町時代という歴史のある温泉です。源泉温度は約100℃、源泉数は14以上ともいわれています。温泉が湧き出し、川が温かかったことから、熱川と呼ばれるようになりました。東京からは電車で約2時間とアクセスも良く、日帰り・宿泊どちらでも楽しめる便利な観光地です。
・「熱川ばにお」ってなにもの?
「熱川ばにお」は、熱川バナナワニ園の公式キャラクター。温泉とバナナが大好きな5歳のオスのワニです。ワニと熱川温泉の魅力をみんなに知ってもらおうと、日々頑張っているとのこと。のんびり屋でマイペース。好きな食べ物は完熟バナナです。
泳ぐのが苦手なので、いつも立って移動しているのだとか。ちなみに、右手に持っているのは幸福のバナナ。触ると良いことがあるかもしれませんよ!
ばにおくんには、土日祝の13:30〜14:00の間に本園・ワニ園で会えます。
珍しい展示が多数!ワニたちに会いに行こう
「熱川バナナワニ園」を訪れたら、やっぱりワニたちに会いたいですよね!本園・ワニ園で飼育されているワニは、16種類・約140頭。ガラスの飼育水槽と、柵に囲まれた展示場で見られます。
水から顔を出しているワニと水中のワニでは、瞳の見え方が違います。水中のワニはゴーグルの役目を果たす「瞬膜(しゅんまく)」が瞳を覆っているので、白く見えるのです。こんな貴重な様子もじっくりと観察できますよ。
また、“立ちワニ”の呼び名を世の中に広めたのも、熱川バナナワニ園なんです。水面に顔を出し、2本足で立っているかのようなユーモラスな姿は、ワニがリラックスしているときに見られる光景。短い手足で懸命に立つ姿がなんともキュート!水槽のいたるところで、立ちワニが見られますよ。
もうひとつのおすすめ展示は、下から覗くワニ!ワニが泳ぐ姿を真下から見られる展示方法は珍しく、ワニ好きにはたまらない人気スポットになっています。
柵で囲まれたエリアでは、遮るガラスがないぶん、迫力満点なワニの姿を見られます。ときには大きくジャンプすることもあるのだとか!柵は越えられないとわかっていても、ちょっぴり怖い。じっとしていると、かわいいんですけどね。
ちなみに、ワニ園の真ん中にある大きな円形のプールには、温泉が入っています。ここで井戸水と混ぜ合わせて、温度を30℃前後にしてワニの水槽へと送っています。
より迫力のあるワニの姿が見たい人は、エサやりの時間にあわせて出かけましょう。飼育員さんがエサを棒につけて近くに持っていくと、大きな口でガブリ!のんびりと寝そべっていた姿からは想像できないくらい、俊敏な動きが見られます。シャッターチャンスは一瞬ですよ!
ワニのエサやりタイムは、4月~9月は毎週水曜日と日曜日(本園・ワニ園が水曜日、分園が日曜日)、10月~3月は、毎週日曜日(本園・ワニ園と分園が隔週で交代)。時間は13:00からスタートです。
※ワニの体調により休止となる場合もあります。
また、熱川バナナワニ園生まれの赤ちゃんワニは、本園・植物園に展示されています。ワニの成長はとてもゆっくりで、3ヶ月かけて卵から孵化します。毎年GW前後に産卵するので、見られるのは夏頃。小さなワニは、まるでトカゲのようですよ。
生後1~2年、体調が40cmほどに成長した子ワニとふれあえる「ワニのふれあいコーナー!」は、冬季以外の土日祝に開催されます。
ワニだけじゃない!レッサーパンダやマナティにも会えちゃう
熱川バナナワニ園には、ワニ以外にも珍しくてかわいい動物がたくさんいます。
・人懐っこさが自慢の「アマゾンマナティ」
本園・植物園には、アマゾンマナティのじゅんとがいます。“じゅんと”とは、アマゾンマナティの生息地ブラジルで、“一緒”という意味。じゅんとが熱川バナナワニ園に来たのは、1969(昭和44)年。もう50年以上も日本で一緒に暮らしているんですね。
体長240cm、体重300kg、胴回り175cmと大きな体をしていますが、性格はとってもおとなしくて温厚。水中生物では最大の草食動物なんです。
10:30と14:00、1日に2回食事の時間があり、白菜や人参を食べる様子が見られます。
※マナティの体調によって、食事の時間がずれることもあります。
水中で暮らしていますが、アマゾンマナティは哺乳類。人間と同じように肺呼吸をするので、2~3分に一度、息を吸うために必ず水面に顔を出します。深い場所にいるから見えないと諦めないで、ほんの少し立ち止まって待ってみてくださいね。呼吸をしに来たマナティを近くで見られますよ。
・ここでしか見られない「ニシレッサーパンダ」
レッサーパンダのいる動物園はほかにもありますが、熱川バナナワニ園の分園で見られるのは、ニシレッサーパンダ。レッサーパンダは2種類いて、一般的によく見るのは、中国のシセンレッサーパンダです。ニシレッサーパンダはヒマラヤに生息している珍しい種類で、日本ではここでしか見られません。
ニシレッサーパンダはシセンレッサーパンダと比べて体が小さく、尻尾の縞模様もはっきりしています。生息地がヒマラヤなので、寒いのが大好き!真冬に訪れても活発に動き回る姿を見られます。
9:00~10:00と、15:00~16:00がお食事タイム。食事中のかわいい姿を見たいなら、ぜひこの時間帯を狙ってみてください。
ほかにも、体重200kgで年齢100歳以上のゾウガメや、色鮮やかなフラミンゴ、オオサンショウウオなども見られます。また、季節限定でゾウガメのふれあいイベントも開催。30kg以下の子どもなら、ゾウガメに乗れる貴重な体験にも参加できますよ。
本園・ワニ園の奥には、アマゾンの魚が展示されている魚コーナーがあります。一角には古い角質を食べてくれるドクターフィッシュの水槽もあり、こちらは無料で体験できます。無数のドクターフィッシュが群がってくる様子には、驚きとともに不思議な感覚を味わえますよ!
また、80万年前の日本に生息していた「マチカネワニ」の復元標本も展示されています。あまりの大きさに「これは恐竜?」と驚くこと間違いなし。これだけ巨大でもワニなんです。