岸辺露伴がルーヴル美術館に!?六本木で開催「ルーヴル No.9」取材レポート

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2016年7月22日(金)から9月25日(日)まで、六本木ヒルズ52階の森アーツセンターギャラリーにて「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術」が開催されます。漫画家たちがルーヴル美術館をテーマに自由に作品を描くプロジェクトが日本に上陸。ルーヴルと漫画家たちの華麗なるコラボを楽しめる展覧会を、asoview!編集部が取材してきました!

ルーヴルが欲しがった9番目の芸術「漫画」

1793年に開館して以来、200年以上の長い歴史を持つルーヴル美術館。21世紀になり、「漫画」をその収蔵品に加えました。フランス語圏には古くから独自に発展してきた「バンド・デシネ(BD)」と呼ばれる漫画文化があります。そんな素養もあり、BD、すなわち漫画はフランスで「第9の芸術」と位置づけられています。ちなみにフランスには芸術に序列があり、第1から8までは順に「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」とされています。

ルーヴルには伝統的な作品がおさめられていると思いがちですが、その時々の時代に合わせて、素晴らしい芸術を収集するという精神があります。そのため、21世紀の芸術として漫画が選ばれた、という背景もあるのだそうです。

漫画という表現方法を通して、より多くの人びとにルーヴル美術館の魅力を知ってもらうという意図で「ルーヴル美術館BDプロジェクト」が企画されました。漫画家たちにルーヴル美術館をテーマに自由に作品を描いてもらうという、いままでにない企画です。すでに日本の漫画家を含む多数の漫画家が参加。そして今回、このプロジェクトが展覧会という形で日本に上陸しました。

伝統と最新のカルチャーがコラボした、今までにない展覧会。早速内容を見てみましょう!

第1章  The Great LOUVERE ~偉大なるルーヴル美術館~

ルーヴル美術館の所蔵品はなんと55万点にものぼります。総面積約6万平方メートル、来館者は年間約900万人という、世界最大級の美術館です。第1章では、ルーヴル美術館の「表」の顔に焦点を当てて描かれた作品が展示されています。

まず迎えてくれるのは、ルーヴルの代表的作品「サモトラケのニケ」と漫画がコラボしたインスタレーション。マンガが宙に浮かんでいるような錯覚を覚えます。

このエリアにはエティエンヌ・ダヴォドー「寄り目の犬」、クリスティアン・デュルー「魔法」、谷口ジロー「千年の翼、百年の夢」、フィリップ・デュピュイ「坑内掘りの芸術」、ダヴィッド・プリュドム「ルーヴル横断」の5つの作品が展示されています。

海外のマンガって普段見ないので、新鮮です。セリフの訳は原稿の下にあります。

ルーヴル美術館「9つの名作」と「9つの名所」

ルーヴル美術館のハイライトになる名作&名所を写真や映像などで視覚的に知ることができるコーナーもあります。各作家作品に登場する美術品についての解説もあります。

第2章 Welcome to a Parallel World ~ようこそ、異次元の世界へ~

怪しいゲートをくぐると、第2章のはじまり。

さまざまな芸術作品が並ぶ美術館。隠し扉があったり、夜になったら美術品が動き出したり…という妄想をしたことがある人も多いのでは?この章では、漫画ならではの自由な表現で現実世界を飛び出し、ルーヴル美術館の知られざる裏側への冒険に出かけます。名作や建物に宿る魔力に引き寄せられて、奇妙な体験へといざなわれる、そんな気分にさせてくれます。

はっ、今どこにいるのか…?

このエリアにはマルク=アントワーヌ・マチュー「レヴォリュ美術館の地下」、エンキ・ビラル「ルーヴルの亡霊たち」、松本大洋「ルーヴルの猫」、エリック・リベルジュ「奇数時間に」、荒木飛呂彦「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」、ベルナール・イスレール「ルーヴルの空の上」が展示されています。

松本大洋「ルーヴルの猫」。マンガの中に入り込んでいくような気分にさせられます。

エリック・リベルジュ「奇数時間に」。手書きのスケッチとデジタルで仕上げられた完成原稿の対比も見ることができ、漫画家の制作過程も垣間見ることができます。

荒木飛呂彦「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」。ジョジョシリーズの中でも人気の高いキャラ・岸辺露伴が、ルーヴルに収蔵されているといわれる「黒い絵」をめぐって冒険する、というミステリー仕立てのストーリーです。このために作者がルーヴルを取材した様子も映像で見ることができ、ファンにはたまらない展示になっています。

ミケランジェロの有名な彫刻「瀕死の奴隷」ですが、逆側から見ると…

露伴があらわれました!ポージングも同じです。

作家たちのアトリエ

各作家たちの製作工程を紹介しているコーナーです。巨大なペンが目を引きます。

ほとんど書き込みがないネームから、原稿へ。

当然ではありますが、改めて漫画家の絵のうまさ、想像力に感心させられます。

他にも日本のマンガとヨーロッパのバンド・デシネの違いの解説もあります。本のサイズや価格、制作スピードなどの違いなど、さまざまな点から比較されています。画面構成もマンガは1つの見開きが単位であるのに対し、バンド・デシネは1コマ1コマが鑑賞の単位になっているのだそうです。

第3章 Beyond time and space~時空を超えて~

黒でまとめられた異次元の世界から、未来の世界へと向かいます。

ルーヴル美術館は1793年に開館した美術館ですが、建物は1200年ごろにフランス王フィリップ2世が要塞として建設したルーヴル宮殿が元になっています。800年以上もの歴史を見守ってきたルーヴル美術館、その未来はどのようなものなのか。この章では過去から未来へ、時空を超えてなお存在感を放つルーヴル美術館とその名作に焦点を当てた作品が展示されます。

おなじみの「モナリザ」ですが、じっと見ていると…?

このエリアは坂本眞一「王妃アントワネット、モナリザに逢う」、ニコラ・ド・クレシー「氷河期」、ヤマザキマリ「美術館のパルミラ」、五十嵐大介「ニケのうた」、寺田克也「ルーヴル消失」の5作品が展示されています。

坂本眞一「王妃アントワネット、モナリザに逢う」の一コマ。フランス革命を見届けたかもしれないモナ・リザが受けたかもしれない生々しい血しぶきを表現するため、作家自らが会場で最後の筆入れをしたのだそうです。

オリジナルグッズもチェック

展示を全部見終わったら、オフィシャルショップもチェックしましょう。ヤマザキマリ、寺田克也、坂本眞一、五十嵐大介の作品を完全収録した図録や、クリアファイル、ポストカードやTシャツなどのオリジナルグッズが並びます。

バンド・デシネの書籍もあります。

オフィシャルショップでのお会計は、1人につき1回のみ。アイテムの個数制限などもあるので注意しましょう。

マンガ好きも芸術好きも満足できること間違いなし!の濃密な展覧会。この夏、新しい視点でマンガを見てみませんか?

イベント概要
名称:ルーヴル美術館特別展 「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:2016年7月22日(金)~9月25日(日) ※会期中無休
開館時間:10:00~20:00(最終入場19:30)
所在地:東京都港区六本木6-10-1(六本木ヒルズ森タワー52階)
料金:当日券 大人1,800円、高・大学生1,200円、小・中学生600円
公式サイト:manga-9art.com

【大阪】
会場:グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル イベントラボ
会期:2016年12月1日(木)~2017年1月29日(日)※12月31日、1月1日は休館
開館時間:11:00~18:00(最終入場17:30)

【福岡】
2017年4~5月開催予定

【名古屋】
2017年7月15日(土)~9月3日(日)

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