葛西にある地下鉄博物館は、「みて、ふれて、動かして学習できる参加型ミュージアム」をコンセプトに作られた博物館です。館内ではシミュレーターによる地下鉄の運転体験や、地下鉄の歴史が楽しく学べます。そんな地下鉄博物館は、今年2016年7月で30周年を迎えるそう!そこで今回は、子供から大人まで誰もが楽しめる「ちかはく」の魅力を取材してきました!早速ご紹介していきましょう!
地下鉄博物館へのアクセス。その気になれば葛西駅から徒歩0分!
地下鉄博物館は、東西線の葛西駅を出ればすぐに見えてくるので、よっぽどのことが無い限り迷うことはないでしょう。
2番線側からは「地下鉄博物館方面出口」なんて表記もあるぐらいです。
中央出口から出ると、信号の向こう側に地下鉄博物館の外壁が。
車の方は浦安方面に高架下沿を少し行くと無料の駐車場があり、最大18台まで停められます。
みて、ふれて、動かして。地下鉄の世界へいざ行かん
広々としたエントランスでは、地下鉄の模型がお出迎え。向かって左側に入館券の券売機があります。乗り物大好きな筆者は今回の取材に気合入りまくり!力一杯レポートします!
ちなみに右手側にインフォメーションがあって、ベビーカーの預かりや貸し出し、車いすの貸し出しなども行なわれています。館内はスロープが多用されていてバリアフリーな作りです。こんな気配りもさすがですね。
入館券を買ったら…
自動改札機がありました!これに入館券を通して入場します。今さっき葛西駅を出たばかりなので、まるで乗り換えをするような気分を味わえます。最初から地下鉄要素があり、期待は高まる一方です。
自動改札機から数歩進むと、昔懐かしい係員さんが立つ改札も。
土日と祝日は自動改札機を解放し、ここに係員さんが実際に立って入館券を切ってくれるそうです。筆者が伺ったのは平日なので、残念ながら改札は無人でした。次は係員さんがいる時に訪れてみたいです。
改札を過ぎたすぐのところに、ちょっと懐かしい形の券売機を発見。PASMOやSuicaなどの交通系ICが、まだあまり使われていなかった時代のものです。この券売機は、平成17年まで運用されていたもの。今では当たり前になった交通系ICが普及したのも、意外と最近のことなのだと改めて気付かされます。
この丸いロールは切符のロールです。これ1つで約4000枚もの切符を発行していたのだとか。IC化によって、このロールも使用量が激減したようです。それに伴い券売機も減ったとのこと。
2台の車両がお出迎え!地下鉄初期の時代にタイムスリップ!
入場口での細かな仕掛けに早くも高揚した筆者が次に目にしたのは、鮮やかな赤と黄色のボディーが特徴的な2台の車両。
地下鉄博物館のシンボルともいえるこの2台は、実際に運行していた車両を持ってきて展示しています。 両方とも、丸みを帯びていて可愛らしいですね!
手前の赤い車両が「地下鉄丸ノ内線300形1号車」。車体の正面に「301」と描かれているこちらの車両は1954年1月、戦後最初に製造されたもので、当時は地味な車両が多かった中で、デザイン・性能ともに先進的だったのだとか。まぶしい赤色がお洒落です。
もちろん中に入ることだってできますよ!内部は優しい色遣いです。車両は昔のものですが、線路の幅やトンネルの高さは今になっても変わらないので、現代の丸ノ内線とまるで違う景色ながら、妙に既視感があります。不思議な感覚でした。
運転席も当時のまま。筆者を案内して下さった副館長さんは、「運転操作の仕組みが違うから、これじゃワンマン運転はできないですよ」と苦笑。現代の丸ノ内線ってすごい技術の結晶なんですね。
そして、この黄色い車両が日本初の地下鉄車両「1000形1号車」なんですって!運転席の人影はマネキンです。筆者もあんな凛々しい表情ができるようになりたい…
こちらも中に入れます。乗客の方々もレトロな出で立ち。間接照明で車内が照らされているからなのか現代の電車よりも立体的に見えました。
ちなみに、当時は上野⇔浅草間のみの運行だったそうです。
つり革はスプリングが入っているのか、手を放すと元の位置に戻る形。なんとなく新鮮。
ホームも情緒があっていい感じです。「うへの」って、最高。でも、なぜこちらは左からの読みなんだろう…。現代の地下鉄とは一味違う、列車がもつ温かみを感じることができます。
今走っている銀座線は、当時のこの色を復刻したイエローなのは、鉄道ファンの間では有名な話です。けれど、この1号車に触れたら、また少し違う気持ちで乗れるかもしれませんね。
線路は続くよ館内を。地下鉄について知ろう
博物館内の順路は床に描かれた線路に沿って行きます。
このキャラクターは「ぎんちゃん」と「まるちゃん」。地下鉄の妖精なのだそう。ここまで読んでくれた皆様なら、どちらが「ぎんちゃん」で、どちらが「まるちゃん」かわかりますよね…?
この胸像の方は「地下鉄の父」と呼ばれる早川徳次さん。日本で初めて地下鉄事業を行い、成功させた方です。ちなみに、日比谷線銀座駅のメトロプロムナードにも早川さんの胸像があります。
当時の彼の考えは先見性がありすぎて理解が得られず、事業成功まではとても苦労をされたそうです。便利な地下鉄に当たり前のように乗れるのは、早川さんや、先人たちの戦いがあったからこそ。ありがたや。ありがたや。
順路通り進んでゆくと、壁伝いに地下鉄の歴史年表や、記念乗車券なども見学できます。
これはなにに使うのだろう?というような物も展示してあります。
地下鉄のトンネルを掘るためのカッター。「掘って、固める」を同時に行なっているのです。これはミニチュアですが、実際に使っている大きなカッターもあります。
一通り見学して周ると、徐々にボタンを押して動かしたりするものが増えてきます。筆者が面白いと思ったのは「総合指令所体験コーナー」。
実際に現在走っている電車の運行状況をリアルタイムで見ることができます。管制官気分を味わえますよ。
また、タッチパネルでクイズに答える「地下鉄Q&A」も。これ、なかなか笑えます。
初級、中級、上級とありますが、筆者は初級で5問中3問しか当たらず…。侮るなかれ、意外と難易度高いです。我こそは鉄道博士!と言う方、挑戦してみては?
地下鉄博物館に来たなら体験必須!千代田線シミュレーター!
今回の取材で一番気になっていたのがこれ!地下鉄シミュレーターです。筆者が一番楽しみにしていたものです!見てくださいこの佇まい!かっこいい…。
この地下鉄シミュレーターは、実際に走っていた車両を改造し、モニターを見ながら地下鉄の運転を体験できるというものです。しっかり綾瀬⇔代々木上原間を一駅ずつ運行します!
銀座線、有楽町線、東西線のシミュレーターもありますが、車両で揺られながら運転が体験できるのは千代田線だけ。これは必ず乗っておきたいところ。
順番待ちは車内のシートで。本当の電車のようにガタンゴトンと揺れ、リアルです。かなりリアルな揺れに、ずっと乗っていたら寝てしまいそうなほど。
そして運転席!おお!年季が入っているところがまた武骨でいい!メーター、つまみ、レバーなど、何から触ればいいのかわからない。でも大丈夫!ここで案内している係員さんは、現役を引退された熟練の運転士さん。とてもわかりやすく教えて下さいます。
ちなみに、平日だったからなのか、筆者の時は先に順番待ちをしていた方がお2人ほどいらっしゃいましたが、待ち時間はそんなに長く感じませんでした。しかし、土日だとやはり結構待つとのことです。
筆者も体験!いざ出発!
「あ、レバーから手離したらダメです」
「す…すみません」
「実際の運転だと怒られちゃいますよ」
「面目ない…」
「あ、ちょっと行きすぎちゃいましたねえ」
「む…難しい」
「ここまで出ちゃうと防災に連絡したりして面倒なことになるんですよ。あははは………」
などと、かなりリアルな指導を受けつつ、綾瀬⇔北千住間を運行した筆者。
駅区間の距離や車体の速度などが忠実に再現されていました。坂の勾配によってスピードが伸びたり落ちたりして、丁度いいところに電車を停めるにはかなり繊細なブレーキワークや速度調整が必要になってきます。しかし、その難しさがまた楽しい
「大人より子供の方が覚えるのが早いんですよねえ」と係員さん。
なるほど、確かに筆者の後に乗った5歳くらいの少年はたやすく停止位置ぴったりに停めていました。未来の地下鉄は彼らが運転しているのかもしれませんね!
東京の街が箱庭に。思わず見惚れる「メトロパノラマ」
子供に混じって何回も地下鉄シミュレーターを繰り返していた筆者の耳に館内アナウンスが。どうやらメトロパノラマの演出運転時間のようです。
館内の「地下鉄プレイランド」にドドンと据えられている東京のジオラマには、複雑に交差しあう地下鉄の路線が精密に再現されています。特に、東京ドームの付近は本物みたいで迫力がありました。1日4回、演出運転時間になると、線路を電車が走り出します。
これは丸ノ内線大手町駅。電車を待つ人などもいて、ディテールが細かいです。
赤坂見附では銀座線も観られます。こちらは先ほどの「日本初の地下鉄車両1000形」をモチーフに当時の車体色を再現し、レトロ調のデザインをしたものだそうです。
個人的におすすめの撮影スポットは「日比谷線日比谷駅」です。おそらく一番いいアングルで電車が撮れる場所なのではと思います。激写!
序盤は職員さんがアナウンスを入れながら電車を動かしますが、途中から、お客さん自身が電車を動かす時間も設けられています。メトロパノラマの演出時間は約30分。
「最終電車が終わり、電車は車庫に帰っていきます」のアナウンスで締めくくられ、情緒を感じさせてくれます。360度どの角度からも観られる「メトロパノラマ」を是非観覧していってください!おすすめです。
休憩室も完備!疲れたらちょっと一息
筆者のように、はしゃぎすぎて疲れたら休憩スペースで一息入れましょう。ちなみに、休憩スペースには飲食物持ち込みOK。
スタッフさん曰く「再入場可能ですので、一回出て、お昼行って来ても大丈夫ですよー」とのこと。ゆるい。いい意味でゆるいぞ。その他、コインロッカー。授乳室も完備です。
お土産を買うならミュージアムショップで!
売店では地下鉄博物館限定の「ぎんちゃん・まるちゃん」のグッズが販売されています。
副館長一番のオススメは「地下鉄博物館ドロップ」。レトロなデザインで可愛いですね。他にも地下鉄博物館でしか購入できないお土産がたくさんあります。ぜひ立ち寄ってみてください。
まとめ
いかがでしたか?大人も子供も時間を忘れて楽しめる地下鉄博物館をご紹介しました。電車好きな人はもちろん、ここで「みて、ふれて、動かして」電車好きになってしまう人もいるかもしれません。なお、土日は混み合いますので、落ち着いて楽しむならば平日がおすすめです。
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