【第2回】プリトヴィツェ湖群国立公園 | 宝石のような16の湖が連なる世界遺産

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撮影3日目

 前日までのプランでは例の西側のホテルの近くまでレンタカーで移動して撮影ポイントに直行する予定でしたが、今回は宿の方のアドバイスも参考にした別の作戦でいきます。
 プリトヴィツェ湖群国立公園は世界屈指の観光地で、夏場が最高のピークシーズンです。午前9時から10時ぐらいになると巨大な観光バスや自家用車・レンタカーが押し寄せて駐車場が一杯になります。とてもおいしい朝食のビュッフェを食べて、8時前には公園の駐車場に到着し、混雑する前に駐車しました。

朝食の場も昨日と同じレストランで、朝はまた別の美しさがあります

 

ビュッフェはとても充実していて、満足です
パンの種類も沢山あり選び放題でした
おかずの選択肢も多く、どれもおいしいですが、メニューは初日と似ていました

 プリトヴィツェ湖群国立公園は主に北側と南側にエリアが分かれており、人気があるのは北側です。回るのに非常に時間がかかるので、どちらも回りたい場合は2日使う事を考えておいた方が良いでしょう。私は会心の一枚が撮影できれば良く、その撮影ポイントが北側にあったので北側にしか行っていません。撮影が目的なのでここは割り切りです。

 駐車場は北側と南側にありますが、人気エリアは北側であることと、多くの観光客はザグレブから南下してくるため、北側の方が混雑しやすいとの情報を宿の方から得ていました。そういう事前情報もあり、私は南側にとめました。

 駐車した後は近くにあるチケット売り場に直行します。こちらもかなり混雑するので早めの行動が重要です。チケットを入手したら、バス停St2から巡回バスに乗車し、北側にあるSt1で降ります。St1は北側の駐車場があるエリアです。そこから撮影ポイントに遊歩道経由で向かいます。夏場はチケット売り場もバス停も2時間程度の行列となるので、早めの行動が重要です。

 最初から北側の駐車場にとめておけば、バスに乗らず目的地に直行できたかもしれませんが、北側の前述のとおり駐車出来ないリスクがありましたから、そこは考えても仕方がありません。

 しかし今振り返ってみると午前8時前であれば、満車のリスクをとって、まず最初に北側の駐車場にいき、満車だったら南側に戻るという選択もありだと思います。車でいくと数分程度しか離れていないので。次に行く方はチャレンジしてみて下さい。なおこの時期は駐車場は午前7時からオープンしています。

 通常であれば遊歩道を経由して撮影ポイントまで直行するところですが、そこはプリトヴィツェ湖群国立公園の特殊な形状ゆえにあまり意味の無い行動になります。プリトヴィツェ湖群国立公園は全体が深い峡谷構造になっており、太陽が南中付近までこないと、湖が日陰になってしまうのです。

美しい湖でも太陽光があたらないと雰囲気がでません
太陽が昇るまではこのように影が気になってしまいます

 そこでひなたのスナップ撮影をするために、1時間程度は遊歩道を循環することにしました。どこを見渡しても美しく、特に遊歩道から見える水面は、水の存在を感じられないほどの透明度となっており、魚が泳いでいても、浮かんでいるかのように見えます。どこを撮影しても絵になる被写体ばかりでしたが、太陽光が注いでいないので、構図が限定されます。

美しい流れが続きます
CGのような美しい湖の色と透明度。昨日食べたのはこの魚?
小さな滝も沢山あり、歩くだけでも飽きることはない

 その中でもSt1から下っていってすぐのところに遊歩道を見下ろせる場所があったのですが、ここは周辺の木々の写り込みさえなければ非常に美しい写真になるように感じました。私の時には少し工夫した範囲では木々が映り込んでしまいましたが、他にも良い構図があるかもしれません。

遊歩道が見下ろせるこの構図は日本の著名なCMでも採用されています

 さて、遊歩道の終着点に昨日説明した心臓破りの階段を発見しました。この階段の頂上からすぐにところに、Rooms Villa Nenaがあるはずです。ただ観光客ほ殆どが敬遠するほどの急な階段で、これをレンズセットと三脚を背負って登るのは、明らかに午後の活動に影響がでるように思われました。

奧の滝の左側に急な階段があり、上まで登れます
近くからみると、いかに高いかがよく分かります

 そこで事前に立てておいた作戦通り、遊歩道の西側を10分ほど南下してP3と呼ばれる巡回船の発着場のレストランがあるあたりまで向かい出店で軽食をとり、そこから心臓破りの階段の頂上まで伸びる緩い坂道を再び北上して、10分ほどでRooms Villa Nenaのエリアに出ることができました。この坂道には私以外だれもおらず、貴重な発見でした。時間もちょうど太陽の南中が近づいてきた頃です。

P3にはエントランス、駐車場、レストランなどがあります

 Rooms Villa Nenaのエリアに出ると、このような「VIDIKOVAC SIGHTSEEING POINT」という標識が見える分岐があります。一見森の中に進んでいくような道ですが、ここが撮影ポイントへの入り口です。凄まじい滝の轟音が近づいてきて、いよいよ目標が間近であるという実感がわいてきます。そして進んでから1分ぐらいで展望台が見えてきます。

展望台はきちんと整備されていて安心です

 展望台に到着すると、遊歩道を歩いているだけでは絶対に見ることができないプリトヴィツェ湖を俯瞰する絶景が飛び込んできます。時間帯もほぼ南中のタイミングで、湖全体に満遍なく太陽光が当たり、ブレッド湖のようなエメラルドグリーンに輝いています。

カメラ:ソニー α7R II
レンズ:ソニー Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS
 フィルター:CPLフィルター、ハーフNDフィルター

 構図上やむを得ないことですが、この撮影ポイントの欠点は、逆光になることです。それでも湖や滝が太陽光で照らされて輝く姿は見事です。ただし太陽光が容赦なく自分にも降り注ぐので、日焼け止めやサングラスは必須です。水分もしっかりとる必要があります。

展望台から少し東側に移動したところから撮影しました

 撮影をしていると、どうしても今回の旅で撮影したかった「クルカ国立公園」を管理している州の管理局から撮影許諾が降りたことを知らせる連絡が入りました。ただ正式に許諾をするためにはシベニクという街までいって面談を行い掲載媒体となるtakae.comの詳細を説明し、それをパスした後に収入印紙で申請代金を支払う必要があるとのこと。収入印紙は街のいたるところで売っているので心配ないということも教えて貰いました。

 多くの人にとっては耳慣れない地名だと思いますが、シベニクは州都クラスの巨大な町で、実は世界遺産にも指定されていますが、私の今回の撮影候補地には入っていません。撮影ポイントかつホテルがあるロスキースラップからも片道1時間はかかるため、正直シベニクまでいくことは避けたいですが、目的を果たすためにはやむを得ません。

 往復2時間のドライブが想定外に発生することになり、疲労の蓄積も同時に想定されるため、プリトヴィツェ湖群国立公園での撮影を予定より少し早く切り上げました。粘っていればより素晴らしい写真がとれた可能性もありますが、少なくともカレンダーに掲載できるレベルの写真は撮れているので満足した上での切り上げです。名残惜しい気持ちもあり、何度か後ろを振り返りました。また来ることがあると思います。

 

 遊歩道に観光客の行列が見えます。右側には心臓破りの階段にチャレンジする人も見えます。ちなみに機材さえ背負っていなければ、健脚の方なら問題無く登れる階段です。

 帰りは心臓破りの階段を降ります。下りでもかなり怖いです。ここを機材を背負って登っていたら、肉体的・精神的疲労がかなり溜まってしまい、シベニクまでのドライブに間違いなく影響がでていたことでしょう。階段を降りたら午前にとおった遊歩道を戻っていきSt1のバス停まで戻りましたが、中途半端な時間の戻りだったからなのかバスはすぐに乗れました。そして、St2のバス停に移動して駐車場に戻り、駐車料金をゲートで支払ってシベニクに向けて出発しました。この時点で既に時間は14時過ぎ。ここからシベニクまでは200キロの道のりです。果たして無事にクルカ国立公園の撮影許諾を申請できるのでしょうか?

 

クロアチア(プリトヴィツェ湖群国立公園)編・おわり / 旅のメモ

 これほど著名な観光地であっても、事前調査で調べきれないことが沢山ありました。事前調査は限られた時間の中で成果を最大にする最も重要な作業ではありますが、サラリーマンなので、事前調査にかけられる時間もまた限りがあります。

 今回は臨機応変の対応で乗り切りましたが、より効率的なアプローチがあることが現地でわかりました。まず船着き場であるP3にはエントランスがあり、チケット売り場がありました。しかも全く行列がありません。さらにここには駐車場もあり、空きがありました。

こんなところにチケット売り場と駐車場があるのは知らなかったと窓口に人に言ったところ、主に湖の西側に住んでいる地元の人が使っている入り口とのこと。そして観光バスが入れる大きさのスペースの駐車エリアもなく、ホテルも少ないので、観光客の数もまばらとのこと。

 とはいえ、この駐車場にとめられれば、展望エリアには間違いなく最短ルートでいけるので、撮影にいくのであれば、Rooms Villa Nenaに宿泊するか、このP3の駐車場にとめて、チケットを買う選択肢は検討すべきだと思います。

(写真・文=高江 遊

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