東京都台東区にある「上野恩賜公園(上野公園)」で、はずせない二大スポットは「不忍池」と「上野東照宮」です。自然の動植物を間近に眺めることができる「不忍池」と、徳川の歴代将軍たちとゆかりのある「上野東照宮」の魅力に迫ってみましょう。
「不忍池」とは?
「上野恩賜公園(上野公園)」の南端にある「不忍池」は、外周約2km、全体で約11万平方メートルの天然池です。北側は「恩賜上野動物園」の西門、東側は京成線「上野」駅、西側と南側は不忍通りに接しています。
中央に弁才天を祀る「弁天島(中之島)」があり、ここへ渡る橋を含めて通行可能な池は三分割されています。西に各種ボートを楽しめる「ボート池」、南に一面が蓮で覆われている「蓮池」、北にカワウが繁殖している「鵜の池」があります。
「上野東照宮」とは?
徳川家康を祀る「上野東照宮」は、「恩賜上野公園(上野公園)」のほぼ中央にあります。
1627年(寛永4年)、津藩主・藤堂高虎と天台宗の僧侶であった天海僧正によって、徳川家康公をご祭神とする神社として、東叡山寛永寺境内に創建されました。
1646(正保3年)に正式に宮号を授けられ、「東照宮」と名づけられましたが、日光や久野山など全国各地にある他の東照宮と区別するため、鎮座地名をつけて「上野東照宮」となりました。
現在ある社殿は1651年(慶安4年)に三代将軍・徳川家光公が造営替えをしたもので、戊辰戦争や関東大震災でも焼失することなく、第二次世界大戦の際にも不発弾を被っただけで倒壊を免れました。 多数の重要文化財を擁し、当時の面影を現在に残す貴重な江戸建築となっています。
園内にはぼたん園があり、春と冬にはぼたん祭りも開催されます。春はぼたん・桜、秋は紅葉、冬には冬ぼたんを鑑賞することができます。
「不忍池」の見どころ
・弁天島(中之島)
池の中央にある「弁天島(中之島)」に渡ると、「不忍弁天堂」というお堂があります。寛永寺の創建者である天海僧正が建立しましたが、戦災により焼失したため、1958年(昭和33)年に現在のものが再建されました。「不忍弁天堂」は、池の四方からお参りできるようにと、八角形のお堂になっています。
「弁天島(中之島)」には、ユニークな石碑が多く立ち並んでいます。東京ふぐ料理連盟による「ふぐ供養碑(岸信介筆)」、全国カレンダー出版協同組合連合会の「暦塚(中曽根康弘筆)」、東京魚商業協同組合の「魚塚」など、趣向を凝らした碑が多くあり、ひとつひとつ見て回るのも楽しいものです。
・ボート池
「不忍池」の西側は、ボートに乗って楽しむことができる「ボート池」になっています。大人3人まで利用できる「ローボート(1時間600円)」、大人2人、子ども1人まで利用できる「サイクルボート(30分600円)」、大人2人、子ども2人まで利用できる「スワンボート(30分700円)」があり、カップルや家族連れで賑わっています。
・蓮池
「不忍池」の南側は、一面を緑の葉で覆われた「蓮池」です。堤で3つに分割された「不忍池」では一番大きな面積を占める部分ですが、水深は最も浅くなっています。水面が見えないほど茂った蓮は、毎年6月下旬頃から美しい花を咲かせ始め、7月中旬から8月中旬にかけて見頃を迎えます。江戸時代には色とりどりの蓮が植えられていたとありますが、現在は桃色のジバスと白の明鏡蓮のみが見られるでしょう。蓮の花は早朝に咲いて昼にはしぼんでしまうので、美しい花を観賞したいなら、早起きして出かけましょう。
・鵜の池
3分割された「不忍池」の中でも一番小さい部分が「鵜の池」です。「鵜の池」は「恩賜上野動物園」内に位置しており、観賞には動物園のチケットが必要になります。「鵜の池」で繁殖しているカワウは、動物園が飼育していたものを、昭和30年代に羽を切って放したのが始まりで、そこに野生のカワウが合流し繁殖したものと言われています。カワウの繁殖地は日本でも数カ所程度しか確認されておらず、特に都会にある繁殖地は世界的に見ても類を見ない珍しいものといえるでしょう。
「上野東照宮」のみどころ
・社殿
「金色殿」とも呼ばれる「上野東照宮」の「社殿」は、1651(慶安4)年に造営されたもので、国の重要文化財に指定されています。参道側から拝殿、幣殿(石の間)、本殿と三つの部屋が並ぶ権現造りで、社殿外壁には豪華な彫刻が施されています。文化財保護の観点から、現在社殿内は公開されていません。
・唐門
室町桃山時代の建築技術を集結した荘厳なものとして高く評価されている「唐門」は、1651年(慶安4年)に造営されました。正式名称は「唐破風造り四脚門(からはふづくりよつあしもん)」で、「社殿」と同様国指定重要文化財です。
左甚五郎(ひだりじんごろう)によって柱に施された昇り龍・降り龍の彫刻があり、 夜更けになると動き出し、「不忍池」まで水を飲みに行くという伝説があります。
偉大な人ほど頭を垂れるということから、頭が下を向いている方が昇り龍と呼ばれているそうです。天下泰平の願いを込めて掘られた「錦鶏鳥・銀鶏鳥」と「諫鼓鳥(かんこどり)」の透彫も美しく、見る人の心を揺さぶります。
・透塀
菱格子から向こう側が透けて見えることから「透塀」と呼ばれるこの塀は、「社殿」の四方を囲んでおり、こちらも国の重要文化財に指定されています。上段には野山の動物と植物、下段には海川の動物が彫刻されており、その数200枚以上。 1651年(慶安4年)の造営とは思えないほどの色鮮やかさと躍動感を今に伝えています。
・銅灯籠
江戸時代に各地の大名から奉納された「銅灯篭」は、全48基がずらりと並んでいます。こちらも国指定重要文化財です。「唐門」の両側にある6基は、紀伊、水戸、尾張の徳川御三家から2基ずつ寄進されたものとなっています。
・大石鳥居
1633年(寛永10年)に、酒井忠世より奉納された「大石鳥居」も、国指定重要文化財となっています。関東大震災の際にもまったく傾くことがありませんでした。
・大楠
上野の祖木といわれる御神木「大楠」は、樹齢なんと600年以上。8メートルもある幹の太さは、「上野恩賜公園(上野公園)」随一の太さです。
・ぼたん園
1980年(昭和55年)に、日中友好を記念して「上野東照宮ぼたん苑」が開園されました。以来徐々に株数を増やし、現在では中国、アメリカ、フランスなどの品種を含めて500株以上が咲き誇っています。春(4月上旬〜5月上旬)と冬(1月上旬〜2月下旬)の二期開園しており、それぞれの美しさを競っています。
美しいぼたんを眺めながらほっとひと息
・上野東照宮ぼたん園お休処
春と冬の期間限定で開園する「上野東照宮ぼたん園」には、お休処があります。温かい甘酒やお茶をのみながら、ゆっくりとぼたんを楽しんでください。
「上野東照宮」おすすめの授与品
「上野東照宮」には開運お守りやお札など一般的な授与品と並んで、「上野東照宮」ならではのアイテムも揃っています。その一部をご紹介しましょう。
・おすすめ1:印籠守(500円)
葵のご紋入り印籠型のお守は、徳川家にゆかりの深い「上野東照宮」ならでは。印籠の中には金色のカエルが入っており、旅の安全と幸運を祈願する意味があります。
・おすすめ2:家康公御遺訓(500円)
徳川家康公のご真筆の写しによる、ご遺訓です。「人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくがごとし」という有名な一節を、常にあなたの元に。
・おすすめ3:御朱印(300円)
御朱印帳に集める御朱印も、「上野東照宮」らしさ溢れるもの。ぼたん園が開園している期間中は、ぼたんの印を押印してもらえます。
「上野恩賜公園(上野公園)不忍池・上野東照宮」の基本情報
不忍池ボート場、上野東照宮の行き方や、営業時間、利用料金は下記のとおりです。
不忍池ボート場
営業時間
- 9:00〜16:30(12月)
- 9:00〜17:00(1月、11月)
- 9:30〜17:30(2月〜3月、10月)
- 10:00〜18:00(4月〜7月、9月)
- 10:00〜18:30(夏休み期間)
※時期及び状況により変更する場合があります。
定休日
- 12月〜 2月の水曜日
利用料金
- ローボート(大人3人まで):1時間600円(以降30分毎300円)
- サイクルボート(大人2人 小人1人まで):30分600円
- スワンボート(大人2人 小人2人まで):30分700円
上野東照宮
営業時間
- 9:00~16:30
定休日
- 無休(季節・天候により変更あり)
拝観料
- 無料
上野公園へのアクセス
- 電車をご利用の場合
JR・東京メトロ銀座線・日比谷線「上野」駅下車徒歩2分
都営地下鉄大江戸線「上野御徒町」駅下車徒歩5分
京成線「京成上野」駅下車徒歩1分 - 車をご利用の場合
上野恩賜公園第一駐車場(普通車)
営業時間:9:00〜21:30(入庫は 19:30まで)
利用料金:1時間まで400円、以後30分毎に200円
台数:100台 - 上野恩賜公園第二駐車場(バス)
利用料金:1時間まで 1,000円、以後30分毎に 500円
台数:バス24台
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