「ASOVIEW LEISURE CONFERENCE 2020」開催レポート

あそびのジャンル
タグ

What is NEXT in Leisure? 2020年2月26日(水)、アソビュー株式会社が主催する「ASOVIEW LEISURE CONFERENCE 2020 ~レジャーをデジタルで次のステージへ~」が、日比谷国際ビル8階 コンファレンススクエアにて開催されました。全国から約111名のレジャー施設および体験提供事業者(以下:パートナー)が集まった会場では、「レジャーをデジタルで次のステージへ」をテーマに、3本の基調講演と3つのパネルディスカッション、そして昨年に続いて2回目となる「ASOVIEW AWARD '20」を実施。レジャー産業に関わるパートナー、識者、アソビューがひとつになって、レジャー産業の未来を創る次世代へのヒントを探りました。

業界の将来を考えるレジャーカンファレンスにアップデートして開催

利用者の満足度に対する取り組みと成果を称賛する表彰がメインだった前年の「ASOVIEW AWARD 2019」から、業界の将来を考えるレジャーカンファレンスへとアップデートされた今回。約5時間に及ぶイベントは、アソビュー株式会社 代表取締役CEOの山野智久による挨拶からスタートしました。

アソビュー代表 山野智久によるテクノロジー活用の可能性

マスクを着けて登壇した山野は、「正直、開催していいのか悩みましたが、みなさまと共に遊びの場をサポートする機会を提供することが重要」だと、最初に新型コロナウイルスによるイベント自粛ムードが高まる中での開催に至った経緯を説明。そして、レジャー産業がテクノロジーを活用してどのように進化してきたのかを説明し、IoTやAIの時代にテクノロジーを活用するべき段階に来ていると語りました。さらに、航空券で57%、宿泊施設で44%のEC化率に比べ、体験・アクティビティを提供している分野では20%、アソビュー!におけるパートナーに至っては現在わずか5%と業界のEC化が遅れている現状を説明。大きな伸びしろとし、「データのインプットをスムーズにし、テクノロジーを活用しやすくする環境をアソビューが整えてまいります」と述べ、さらなるテクノロジー活用の展望を公言しました。


観光庁 河田敦弥氏が語る観光の現状とレジャー産業への期待

続いて登壇したのは、観光庁 観光地域振興部観光資源課長 河田敦弥氏。国会出席のため急遽欠席となった観光庁 長官の田端 浩氏に代わり、「国内の観光産業の現状とレジャー産業への期待」と題した講演を、多くの資料やデータをもとに行いました。

河田氏は、2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円を目標とした「明日の日本を支える観光ビジョン」を紹介。これを達成するためにどうすればいいのか、我が国の観光の現状、体験型観光の拡大に向けたレジャー産業への期待を語りました。総括として、「インバウンドの数・消費額共に過去最高を更新したが、15兆円を目指し、引き続き消費拡大に向けた取り組みが必要」だとした河田氏は、インバウンドの旅行動態が団体旅行から個人旅行へ、モノ消費からコト消費に移行。そして、リピーターほど地方に訪れる割合が高くなる傾向にある現状から、「さらなる地方誘客、消費額の増加に向け、インバウンドが楽しめる滞在時の体験メニューを充実させ、滞在時間の増加を図ることが必要で、これらもしっかり取り組んでいく」と力説しました。

「ASOVIEW AWARD’20」を発表

2つの基調講演に続き、会場では「ASOVIEW AWARD’20」を開催。アソビュー!に掲載されている体験・レジャー施設7,321店(2019年12月末時点)の中から、ゴールド、シルバー、ブロンズ表彰を5部門にわたり選出するアワードで、受賞者の紹介ムービーと共に発表が行われました。

チケット施設部門

チケット施設ノミネートはレジャー施設部門、温浴施設部門の2部門に分かれ、全国、東日本、西日本の3つのエリアから、ゴールド、シルバー、ブロンズの3つの施設が選出されました。

◆レジャー施設部門・全国
【ゴールド】サンシャイン水族館
【シルバー】海遊館
【ブロンズ】すみだ水族館

◆レジャー施設部門・東日本
【ゴールド】横浜・八景島シーパラダイス
【シルバー】伊豆ぐらんぱる公園
【ブロンズ】森美術館

◆レジャー施設部門・西日本
【ゴールド】NIFREL
【シルバー】マリンワールド海の中道
【ブロンズ】京都水族館

◆温浴施設部門・全国
【ゴールド】竜泉寺の湯 草加谷塚店
【シルバー】鶴見緑地湯元 水春
【ブロンズ】竜泉寺の湯 八王子みなみ野店

◆温浴施設部門・東日本
【ゴールド】スパロイヤル川口
【シルバー】太閤天然温泉 湯吉郎
【ブロンズ】湘南RESORT SPA 竜泉寺の湯

◆温浴施設部門・西日本
【ゴールド】神戸みなと温泉 蓮
【シルバー】空庭温泉 OSAKA BAY TOWER
【ブロンズ】東香里湯元 水春

アクティビティ施設部門

続いてアクティビティ施設ノミネートはアウトドア/スポーツ部門、観光/エンタメ部門、インドア部門の3部門で受賞者を発表。

◆アウトドア/スポーツ部門・全国
【ゴールド】武藤潜水
【シルバー】アマミエンシス
【ブロンズ】沖縄ダイビングショップ和

◆観光/エンタメ部門・全国
【ゴールド】奄美ナイトツアーサービス
【シルバー】京都ミステリー紀行
【ブロンズ】ソト遊びの森

◆インドア部門・全国
【ゴールド】ずこうしつ~sugamo~
【シルバー】キャンドル&ポーセラーツサロン Salon de Felice
【ブロンズ】渋谷の彫金教室 studio crucible

これらは全国部門のみが発表されました。
会場では全5部門の受賞者紹介ムービーが流れ、来場した施設関係者に大きな拍手が送られました。(その他、各エリアでの表彰者は、WEB上で発表。)

午後はグーグル 九条氏、さらにパートナー同士のトークディスカッションが開催

グーグル合同会社 九条彦傑氏が業界のデジタル成長戦略を指南

新たにB会場がオープンし、会場を2つに分けてカンファレンスが続けられました。A会場では、グーグル合同会社 チャネルセールス事業本部 九条彦傑氏が登壇。「レジャー施設業界に求められるデジタル成長戦略 ~コト消費×インバウンド需要の商機獲得に向けて~」をテーマに講演を行いました。

7つのプラットホームで10億人を超えるユーザーのデータを基にした解析と、そこから抽出したインサイトをもとに話した九条氏は、レジャー施設業界の現状、レジャー施設業界にとっての『コト』消費への移行必要性、消費者行動の変化、そして集客におけるグーグル製品の可能性についてを解説。ユーザーのメディア接触が複雑化、マイクロモーメント(何かをしたいと思った際に目の前のデバイスで調べたり、購入したりという行動を起こす瞬間)化しているなか、いかにマシンの力を借りてデジタルマーケティングと付き合うかが重要だと説明し、デジタルの世界において、検索したときに情報がないのは、存在がないのと同じだと警鐘を鳴らしました。

 

アクティビティ業界のリーダーが語った「インバウンド集客のコツ」

九条氏の講演と同時刻、B会場ではパートナーが参加したパネルディスカッションが開催されました。「着物レンタルVASARA」を関東主要都市を中心に全国展開する株式会社バサラホールディングス事業本部 法人営業部の田中良典氏、全国11か所で観光人力車を走らせている「えびす屋」人力車FC統括本部部長の小倉淳児氏、スキースクールや山岳ガイド、アウトドアエデュケーションおよびツアーなどを行う株式会社キャニオンズ チーフリフレッシングオフィサーのマイク・ハリス氏が登壇。アソビュー株式会社インバウンドマーケティングプロデューサーの伊藤優がモデレーターを務め、「アクティビティ業界のリーダーが語る、インバウンド集客のコツ」と題したトークが展開されました。その中で「感謝レベルじゃなく、感動、感激レベルまでいって初めて口コミがもらえる」(小倉)、「一番大事なことはサービスの質」(マイク)、「求められることが日本人と違う」(田中)など、自身の経験に基づく集客のポイントを展開。会場に集まったパートナーはしきりにメモを取っていました。

 

「大型レジャー施設におけるデジタル活用の現状と未来」を施設の現場担当者が討論

10分間の休憩を挟み、A会場では「大型レジャー施設におけるデジタル活用の現状と未来」、B会場では「ASOVIEW AWARD’20受賞者が語る、売上アップを実現したデジタル活用術」をテーマにした2つのパネルディスカッションが同時刻に行われました。

A会場では、「森美術館」のプロモーションを担当する森ビル株式会社 洞田貫 晋一朗氏、株式会社京阪レジャーサービスで「ひらかたパーク」の営業チームに所属する馬淵勝久氏、「横浜・八景島シーパラダイス」などの支配人を務める株式会社横浜八景島の吉澤右耕氏、「神戸みなと温泉 蓮」を運営する株式会社ラスイートの中川大輔氏を招き、アソビュー株式会社パートナーソリューション部部長の野々松秀和がモデレーターを担当。「大型レジャー施設におけるデジタル活用の現状と未来」というテーマに対し、「リリースを最低限毎日1本以上上げている」(中川)、「SNSがバズってもそれが入場者数に直結しない」(馬淵)、「流行っているからという理由でやるのではなく、もう1つ深く吟味しないとダメ」(洞田貫)、「データをしっかり分析して、今後は思い切った割引サービスなどを行いたい」(吉澤)など、現場のリアルな意見を聞かせてくださいました。

 

「ASOVIEW AWARD’20」受賞者が売上アップにつながるデジタル活用術を披露

B会場では、「ずこうしつ~sugamo~」アートディレクター・ずこうしつ主宰のタケモト アツシ氏とメグミ氏、株式会社MUTOSENSUI(武藤潜水)代表取締役の武藤大輔氏が参加。アソビュー株式会社 観光戦略部部長兼アソビュー総研所長の内田有映がモデレーターを務め、先に紹介したアワードを受賞した両社が、売上アップを実現したデジタル活用術を披露してくださいました。「オススメスコアのロジックを満点にしていくために、できることは全部満点にしていくことから始めた」(武藤)、「口コミをもらえるよう努力するようになった」(タケモト)と語り、両者とも楽しんでもらうための接客が重要だと話しました。

 

名刺交換会には観光庁 長官 田端 浩氏も参加

この後、名刺交換会には観光庁 長官 田端 浩氏も駆けつけ、パートナーとの意見交換を行い、約5時間半に及ぶイベントが終了。

レジャーをデジタルで次のステージへ進めるために、業界に関わるみんなが意見を出し合った1日。この日が「What is NEXT in Leisure?」の答えを見つけるヒントになったのではないでしょうか。
 

  • 1
前の記事へ 次の記事へ

おすすめ特集

アソビュー!限定企画

アソビュー!公式SNS