静岡県西部に位置し、県内最大の人口を有する浜松市。市内に広がる三方ヶ原台地の斜面に沿って建つのが、「浜松城」です。徳川家300年の歴史を築き上げた由緒ある城として、「出世城」の名で知られる史跡のひとつ。今なお親しまれる背景には、季節の移ろいを感じられる桜や紅葉とのコラボレーションや、美しい夜のライトアップがあります。さらに2021年1月には、天守閣がリニューアル。より家康とのつながりや城下町の歴史も学べる画期的な施設に生まれ変わりました。その見どころを余すことなくご紹介します。
浜松城とは?
1570年、徳川家康により築城した浜松城。家康が29歳から45歳までの17年間をこの城で過ごしたことで知られています。
現在の天守閣は鉄筋コンクリート造で、1958年に再建。内部は城の歴史が分かる資料館になっています。2021年1月には、家康の天下統一への礎を築いた情熱にスポットを当てた展示内容へとリニューアルされました。
城の周辺は「浜松城公園」として整備され、築城当時から残る石垣と、豊かな緑が程よく調和。桜や紅葉の名所でもあり、市民はもちろん遠方から訪れる多くの観光客に親しまれています。
家康が天下統一をつか掴んだ「出世城」
徳川家康が浜松城で過ごした17年の間には、歴史上有名な姉川、長篠、小牧・長久手での戦いが起こります。家康はこれらをはじめ多くの戦いに参加し、戦国武将としての実績を積んでいきました。
中でも家康にとって大きな意味を持ったのが、三方ヶ原の戦い。武田信玄と三方ヶ原台地で激突し、家康の生涯最大の敗戦から城に逃げ帰った家康は、自戒の念を込め、その時の表情を絵に描かせたのだとか。浜松城での17年は、家康にとって天下統一に向けての貴重な歳月だったことが伺えます。
そんな家康がこの地を去ったあと、25代の城主が守り続けた浜松城。歴代の城主の多くが江戸幕府の要職に就いて以来、「出世城」と呼ばれるようになったのです。
江戸時代の風情漂う、浜松城めぐりへ
現在の浜松城は、昭和に入って再建された天守閣。しかし、築城当時から残る石垣や展示物には江戸時代の風情が今でも感じられます。2014年には、天守閣の東側に「天守門」が忠実に復元されました。
武士たちが城内を闊歩した時代に思いをはせながら、いよいよ浜松城めぐりのスタートです。
まずは入場チケットを購入
浜松城公園駐車場に車を停めたら、まずは案内板を確認。天守閣がある南へ向かって公園を歩いていきましょう。
案内看板に従い、石垣沿いの坂を上がっていくと現れるのが天守門です。
天守門をくぐり、石段を登れば天守閣の入口です。チケット売場は上ってすぐ左側。城内が密でなければ、すぐに入場できます。徳川300年の歴史を刻む出世城を思う存分楽しみましょう。