山下公園のそば、元町・中華街駅から至近の「横浜人形の家」。「横浜発・世界の人形ふれあいクルーズ」をコンセプトにしている同館では、「青い目の人形」をはじめ、世界中から集められた人形の数々がまさしく異国の歴史と文化を運んでくれます。一方で、企画展示ではトレンド感溢れる取り組みが充実。じっくり回れば回ったぶんだけ新発見がある「横浜人形の家」を、同館広報ご担当の長谷川武史さんに案内していただきました。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、営業時間や店舗情報、サービス内容など掲載情報が変更になる場合があります。詳細は横浜人形の家公式サイトを確認してください。
横浜人形の家とは?
横浜人形の家は、人形専門の博物館です。日本初の女性通訳として活躍した故・大野英子氏が自身の2,000体近くあった人形コレクションを横浜市に寄贈したことをきっかけに、1978年9月、現施設の前身がオープンしました。
大野氏は通訳として活躍した後、創業者・御木本幸吉の秘書兼通訳として御木本真珠(現・株式会社ミキモト)に入社、後年には自身でも真珠店を開店した人物。現地の文化や風俗を窺うことができる人形が好きで、真珠の販売ルートの開拓で各国に出張する度に買い集めていたそうです。そしてその後の所蔵人形数の増加に伴い、1986年6月、現在の場所に「人形の家」を開館。2006年には全面改修工事が行われています。
今や100ヶ国以上、10,000点以上の世界各国の人形を収蔵する国内有数の人形専門の博物館。そのうち、およそ2,500点を入れ替えながら展示しているのだそう。常設展示では日本の人形や世界各国の人形がその歴史とともに紹介されているほか、企画展示も随時開催されています。
横浜人形の家の館内を解説
横浜人形の家の入り口は2階です。
階段を上がると、館内へ続くドアが見えます。
入ると、右手が入館受付。ここでチケットを購入します。
左手にはトイレとロッカーがあります。荷物が多い人は預けると、身軽に回ることができます。
入ってすぐ、最初のエリアは「ノスタルジックハーバー」。
港町である横浜。1859年の開港以来、横浜が国際化していく流れや、人形を通して国際交流があった様子が紹介されています。
まず出迎えてくれるのは、「赤い靴の女の子」。童謡で馴染みの深い『赤い靴』で歌われる女の子をモチーフにした人形です。
アメリカからの青い目の人形(右)と、返礼として日本からアメリカへ送られた市松人形をモチーフに、横浜人形の家開館5周年の記念に制作された人形(中央)。
日米関係の悪化が懸念されていた1927年、親日家のギューリック博士が、民間での国際親善を図るため、日本に人形を贈ることを計画。全米に呼びかけ、「親善人形」として日本の子供たちへ、約12,000体の青い目の人形が届けられました。
その人形の受け入れに奔走したのが、2021年2月~放送されているNHK大河ドラマの主人公で実業家の渋沢栄一です。当時日本国際児童親善会の会長を務めていた渋沢は、返礼として、日本からアメリカへ58体の「答礼人形」を横浜港から贈りました。