東京都練馬区にある石神井公園(しゃくじいこうえん)は、園内に2つの大きな池を持つ広大な都立公園です。周囲には緑豊かな広場と散歩道が整備され、散歩やエクササイズに人気のスポットとして親しまれています。遺跡・神社といった歴史遺産や、のんびり遊べる手漕ぎボート、水辺に集まる自然の生き物たちと、数多くの魅力に溢れています。今回は石神井公園を実際に歩いてみてわかった見どころを、三宝寺池・石神井池の2つのエリアに分けて紹介します。
池沿いに遊歩道が続く散歩コース「石神井池エリア」
石神井公園駅を降り、石神井公園通りを徒歩で7分ほど進んだ先に見えてくるのが、「石神井池(しゃくじいいけ)」です。以前は三宝寺池から水路を引いた田んぼとして活用されていましたが、昭和9年(1934年)に水路をせき止め、石神井池が作られました。
横に長く広がる形状が特徴で、周辺には歩きやすい散歩道が整備されています。池沿いの北側は閑静な住宅街となっており、南側には広場や庭園が集中しています。住宅街を眺めながら散歩コースを進み、要所にある見どころスポットに立ち寄るのがおすすめのルートです。
池の北東にはボート乗り場があり、スワンボート・ローボート・サイクルボートの貸し出しを行っています。
手漕ぎボートでのんびりと水上散歩を楽しむのも素敵な過ごし方です。
ボート乗り場のすぐ隣には、軽食メニューを楽しめる「パークス石神井店」が併設。テイクアウトのみの販売ですが、近くに設置されたテラス席で休憩しながら食事を楽しめます。
池の周りは多くの水鳥・野鳥が集まるスポットで、野鳥観察も楽しめます。
緑と静寂に癒される「記念庭園」
第一駐車場を通り過ぎて南に向かうと記念庭園が現れます。ボート乗り場のちょうど反対岸に位置しています。
この庭園は、地元の資産家だった富田銀右衛門によって大正期に造成された歴史があります。その後、昭和8年(1933年)には小説家・高浜虚子(たかはまきょし)とその一派による「俳句吟行会」が開かれるなど、文化活動の拠点としても使用されました。池を活かした日本庭園として開設されたとあって、美しい自然風景を感じられる場所として人気を博しています。
時は流れ、豊田家の所有から離れた後は東京都が土地を取得。再整備されて現在の「記念庭園」の名称で開園されました。
四季折々の顔を見せる庭園には、数多くの美しい花々が植栽されています。春に淡いピンク色の花を咲かせるソメイヨシノや、秋に見られるイロハモミジの紅葉が特に見事です。
勾配がある坂道を登った先に現れる広場も記念庭園の敷地内。広々としていて気持ちの良い雰囲気です。
各所にベンチが設置されているので、天気が良い日にはゆっくりと読書をするのも楽しそう。全体的に静かで落ち着いた雰囲気が漂う庭園でした。
記念庭園に立ち寄った後は、石神井池沿いを散策しましょう。散歩道は整備されていて歩きやすく、所々にベンチがあるので休憩もとりやすいルートです。
メインの散歩道から左上側に目を移すと、高台に通じるもう一本の道を発見できます。この道を進むと小さな丘に到着します。
メインの散歩道と石神井池を高い位置から見下ろせるので、見晴らしは抜群! 人通りが少ないので、静かにのんびりと過ごしたい方にはおすすめです。
休憩に最適な憩いの場「野外ステージ」
石神井池沿いの遊歩道を進んだ先には、野外ステージが出現。階段状に広がる観客席が印象的で、周囲を緑に囲まれた自然味溢れるステージとなっています。
観客席からはステージ奥の石神井池を見渡せるので、開放的な景色を楽しめる場所としても人気。
イベントが開催されていないときは、観客席でお弁当を食べたり、友達と会話を楽しんだりと、定番の休憩スポットとして利用されています。
ちょっとした冒険気分を味わえる「中の島」
ステージ付近から石神井池の右側を見ると、小さな橋が架かっています。この橋を渡ると中の島と呼ばれる浮島に到着します。
池に囲まれた浮島では、季節ごとにたくさんの水鳥を観察できます。石神井公園に訪れた9月中旬頃は、マガモたちの憩いの場となっていました。
反対側に架かる橋を進めば、石神井池の北側にある散歩ルートに渡れます。
四季の花々を観察できる「野草観察園」
野外ステージを通り過ぎたあたりで、石神井池の散歩ルートは大体2/3程度まで進んでいます。
ここでは少し寄り道をして、見どころスポットのひとつである野草観察園に立ち寄ってみましょう。
散歩ルートから石神井池を背にして、南に5~10分程度歩いた先にあります。
野草観察園は、自然環境ボランティアグループ「練馬に自然を育む会」の会員方が管理する区域。草花の種類ごとに花壇が区切られており、その間を散歩しながら野草観察を楽しめます。
花壇の近くには花の名前を記した立て札があり、どんな花が咲いているのかを一目で確認できます。
花壇の柵がとても低いため、さまざまな野草を間近で観察できるとっておきのスポット。季節によって野草の種類が変わるので、訪れるたびに違った景色を見られるのも魅力です。
開放感溢れるシンプルな遊び場「けやき広場」
野草観察園から石神井池に戻り、散歩道を進んだ先にあるのがけやき広場です。
東屋・トイレが設置されたシンプルな広場で、開放感たっぷりの自然空間が広がります。近くには自動販売機があるので、散策に疲れたときの休憩スポットとしてもおすすめ。
自動販売機のすぐ近くにあるカエル像は、石神井公園が舞台になった漫画『ド根性ガエル』の「ピョン吉」を連想させます。
また、けやき広場から石神井公園駅方面に少し歩いた先には、彫刻家・三澤憲司作のモニュメントが設置されています。