雨降りシーズン到来で外遊びがなかなかできず「自然が足りな〜い!」なんてストレスを感じている人もいるのではないでしょうか?今回は、梅雨でも自然にふれられるスポットとして都内の「温室植物園」を3つセレクトしました。熱帯雨林の植物たちを観察できる温室植物園は、屋根付きで天気が悪くても関係なし。緑に囲まれリラックスできるだけでなく、南国の雰囲気でちょっとした旅行気分も感じられるはずです!
1. 大温室でジャングル探検!? 子どもの温室デビューにもぴったりの「東京都 夢の島熱帯植物館」
1988年に開館の「東京都 夢の島熱帯植物館」は、東京都の夢の島エリアに位置し、訪れる人々に亜熱帯・熱帯植物の展示や景観を通じて植物と生活との関わりを紹介してくれる癒やしの場所。東南アジアや中南米はもちろん一番身近な東京都の亜熱帯・小笠原諸島の植物も展示しているのがポイントです。
特徴的なガラスドームが目印の大温室はA・B・Cドームの3つの区画で構成され、まるでジャングルに迷い込んだかのような世界が目の前に広がります。Aドームは水辺が広がりダイナミックな滝や美しい熱帯性スイレン、さらにマングローブ植物がたっぷり。
続くBドームはヤシの林が目印。バナナやカカオなどが植えられ、生活と密着につながる熱帯植物たちと出会えます。ヒスイカズラなどの開花もタイミングが良ければ見れるかも。Cドームでは世界自然遺産に登録された小笠原諸島の植物を中心に紹介。都心から約1,000kmも離れた亜熱帯の島々に生息する固有種を目に焼き付けましょう。
ハエトリグサやウツボカズラなど、子どもから大人まで興味津々な食虫植物が大集合の「食虫植物温室」も見逃せません!虫を捕らえるスタイルもさまざまなので、じっくり観察してみましょう。
音声ガイドアプリ「ゆめねつガイド」(iOS/Android)を活用すれば、より深く植物のことが知れるので来館前にダウンロードも忘れなく。
なお、館内にはボタニカルカフェ「夢の島カフェ」も併設。熱帯エリアならではの濃いグリーンと滝の音に包まれながら、ゆったりと南国気分が味わえます。タロイモやココナッツ味の「トロピカルアイス」(420円)をはじめ南国メニューも要チェック。ダイナミックに茂る緑に囲まれちょっとした旅気分も味わえる同館。子どもと一緒に温室デビューするのにぴったりですよ。
「ジャングルに飲み込まれたような設計のカフェがすてきです。1日ここでゆっくりしたい…!【編集部・林】」
2. 東南アジアの熱帯環境を楽しみながら学べる「板橋区立熱帯環境植物館」
水族館と東南アジアの熱帯雨林を再現した展示が魅力の「板橋区立熱帯環境植物館」では、海水・汽水域・淡水の生きもの約150種2,500匹を有する水族館から見学をスタートし、温室へと進みジャングル・高山のコーナーまでを楽しめます。植栽エリアは約1,000平方メートルで地下1Fから2Fへとつながる開放感溢れる吹き抜けも特徴的です。
エリアは「潮間帯ゾーン」「熱帯低地林ゾーン」「集落景観ゾーン」「雲霧林ゾーン」の4つ。約700種・2,000本の植物が植えられています。「潮間帯ゾーン」は、オヒルギやニッパヤシなどのマングローブ植物がメイン。続く「熱帯低地林ゾーン」では、締め殺しの木とも呼ばれるアコウの大木をはじめ、熱帯雨林の森を再現しています。
ちょっと一息「集落景観ゾーン」では、ニッパヤシの葉を屋根に活用したマレーハウス(熱帯地域の伝統的な高床式住居を模したもの)を見ることができます。家の周辺には果実や芋類など食用として活用される植物の姿も。
これからの時期におすすめなのが「雲霧林(冷室)」です。こちらは熱帯エリアの高山の植生を再現した冷室なので、夏場も涼しいのがポイント。ひんやりした空間にはシャクナゲやランの仲間をはじめ、山に登らないとなかなか観察できない植物が揃っています。
ジャングルを歩き回ったあとは「喫茶室クレア」へ。平日は休憩所、週末と祝日はアジアン料理を提供中。「マレーシア風チキンカレー」(800円)や「ナシゴレン」(800円)などアジアンメニューを味わいながら、眼下に広がる熱帯エリアを眺めつつ、アジア旅行気分が楽しめます。
なお、常設展示として熱帯雨林の生態系や破壊と修復の現状も紹介。また清掃工場の余熱を利用した省エネ施設でもあるので、夏休みの課題研究にもぴったり。見て・学んで・食べてと東南アジアの熱帯エリアの面白さがたっぷり吸収できる植物園へ、親子揃って訪れてみてはいかが。
「集落景観ゾーンがあるので、よりリアルな熱帯風景を想像しながら植物の観賞を楽しめそう!【編集部・林】」
3. 入った瞬間南国気分。絶滅危惧種も間近に見られる「新宿御苑 温室」
国民公園「新宿御苑」内の「新宿御苑 温室」は1875年に建てられた無加温の温室がその始まり。農園芸の研究場として始まり、その後御料農園として、さらに日本で初めて温室を活用した洋ラン栽培を行うなど欧米園芸の輸入や、民間に対する技術普及などの役割を担っていました。1892年には加湿式の洋風温室が完成し、その当時は近代的な促進栽培や洋ラン交配などが進められ、戦後に一般開放となり現在にいたります。
2012年には、温室がリニューアルオープン。太陽光を最大限に活用できるデザインが特徴で、断熱性の高いペアガラスの採用によるエネルギー削減、またクールチューブの冷気活用による地熱の活用など、環境にやさしい施設であるのもポイント。
高さ約15m、面積約2,750平米の温室内には、熱帯低地に高地や池沼、乾燥地など気候に応じて展開する多様な植物たちを栽培・展示。洋ランをはじめ小笠原諸島や南西諸島の絶滅の恐れのある美しい植物たちも含め約2,700種ほどの植物たちと出会うことができます。
室内に入った瞬間から花の香りや土の匂い、水の音が聞こえ五感を刺激する要素がいっぱい。頭上に高く伸びる木性シダに、目に優しい深い緑とまるで南国に来たかのような気分になれます。また、見上げればアカバナナやパパイヤが実り、突如現れるタマツヅリやオボロズキなど珍しい形の植物たちに囲まれる環境は、子どもの好奇心を満たすのにぴったり。橋もあるので、ちょっと高い位置から室内全景を眺めるのもおすすめです。
本物を直接観察できる楽しさや種を保護し守る未来へと繋がる現在進行形の施策も理解できるうえ、豊かな緑で目も心も癒やされること間違いなし。もちろん新宿御苑自体も初夏は紫陽花やバラが見頃を迎えるので、温室とともに風景式庭園や整形式庭園、日本庭園も含め園内全域を楽しんでみては!?
<文=相川真由美・編集=林 創>
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