【あそびチャレンジ#04 陶芸編】
想像力を働かせて、ゼロから自分の思いを形にすることができる陶芸。土を自分の好きな形に作り上げていく作業はもちろん、焼き上がって器を使う楽しさを味わえるのも陶芸の魅力です。今回、初めての陶芸に挑戦するのは皐太郎(こうたろう)くん5歳。幼稚園の年中さんです。
粘土やブロック遊びが大好きな皐太郎くんは、小さな頃から“ものづくり”が大好き。今回の陶芸体験にも興味津々で、東京・多摩市にある「陶芸の丘 想工房」にやってきました。ちょっぴり恥ずかしがり屋さんの皐太郎くんは、取材スタッフたちを見ると、お父さんの後ろに隠れてしまいましたが、陶芸の先生が土を持ってきてくれると「これ土なの?」と目を輝かせました。「そうだよ、これを粘土みたいにこねて作るんだよ」とお父さん。「そっか。じゃあ、やってみる!」と元気に応えてくれました。
自分ワールドを具現化する可能性は無限大
「公園で虫取りをするのも好きなのですが、今はものを作ることに夢中なんです。ブロックや牛乳パックで空想上のものを作ったり、粘土ではバナナや長ネギをリアルに作ることにも凝っています。最近、ちょっと照れ屋になっちゃって、初めての場所に連れてくるのを心配したんですけど、ピザの生地をこねたり、餃子を包むのも大好きなので、手びねりの陶芸にはきっと興味を持ってくれると思っていました」とお父さん。
今回、皐太郎くんがチャレンジしたのは、1日で釉掛けもできる2時間の手びねり陶芸体験。陶芸には大きく4つの成型方法があります。土の塊を指で押し伸ばしながら作る「手びねり」、回転台(ろくろ)の上に土を載せ、回転させて土を形づくる「ろくろ成型」、土を薄い板状にし、型に沿わせて成形する「タタラ作り」、土をドロドロの液体状にして石膏型に流し込んで作る「鋳込み(いこみ)」。一般的なのが「手びねり」と「ろくろ成型」ですが、初心者でも作りやすいのが「手びねり」です。普段の粘土遊びと同じような感覚で作れるので、小さな子どもにもおすすめ!
先生に土の扱い方を教えてもらった皐太郎くんは、一生懸命に土をこねはじめました。「皐ちゃん、何を作るの?」というお父さんの問いに、「何を作ってもいいんでしょ? 秘密~」といたずらっぽく笑う皐太郎くん。まだ何を作るか決めかねているお父さんを尻目に、どんどん土を成形していきます。
「お、早いなあ。じゃあ、僕はカレー皿にしようかな」と実はお父さん、スパイスから調合するほどのカレー作りの達人。自慢のカレーをより一層おいしく食べるためのカレー皿が目標なのだそう。楽しみです!
土の成形に集中しだした皐太郎くんの表情は、照れてモジモジしていた最初の子供っぽいさはどこへやら。キリリと引き締まった表情で自信がみなぎっています。「畑を作るんだ。畑にはにんじんの種を植えよう!」。おうちの庭でなすやきゅうり、ミントを育てている皐太郎くんらしい発想です。「水をやるために、水路も作らなきゃ」と言う皐太郎くんの前には、まるでジオラマのような世界が広がっています。器を作るのかと思いきや、畑づくりとは! 大人の意表をついた構想に驚かされました。
子どもの豊かな発想力が磨かれる手びねり
「水が流れるように底を斜めにして。ここで、水をせき止めて…と。あ、ダメだ。これじゃ水が流れないや! じゃあ水路はやめて、これは温泉に作り変えよう。水やりのためにやかんを作って…ビー玉もあるといいな。あ、この串に土を丸めて刺せば焼き鳥もできるよ」と皐太郎くん。アイデアがどんどん湧いてくるのでしょう、途中でアレンジしたり作り直すこと度々。手びねりは、指先の感覚ひとつで自由に造形ができるので皐太郎くんにピッタリです。
隣で皐太郎ワールドが七変化しているところで、お父さんのお皿が出来上がりました。出来上がったお皿は、細いワイヤーを使って、台からこそげ取るように外すのですが、底が浅かったせいか破れそうになってしまいました。「うーん、ダメだ。やり直し!」と、気合が入ったお父さん。それまで以上に真剣なまなざしでお皿づくりに没頭します。
その甲斐あって、手作りの風合いあふれるすてきなカレー皿が完成。「よし!もう1枚作ろう」というお父さんに、「違うもの作ったほうがいいよ。そうだ!餃子がいい」と皐太郎くん。「ん? 餃子を作るの?」「違うよ、餃子のタレのお皿だよ!」との皐太郎くんのアドバイスを受けて、お父さんは2種類のタレが入る餃子のタレ皿を作りました。自分からどんどん作るものを提案する皐太郎くん。いつもより積極的な姿に、お父さんはなんだかうれしそうです。
釉薬は20種類以上あり、焼き上がりの見本があるので、そこから好きな色を選びます。皐太郎くんはビビッドな色より、モノトーンやくすみカラーが好きなので、釉薬も渋めの色を選びました。
釉薬の塗り方は、まず器に入った釉薬を筆でよくかき混ぜ、塗るというより、筆で釉薬を置くようなイメージで彩色するのがコツ。これは土が釉薬の水分をすぐに吸い込むので、絵の具のようにささっと塗ってしまうと均等な濃さにならないため。度々筆に釉薬を含ませ継ぎ足すように塗り重ねます。
皐太郎くんの作品は、温泉とやかんとヤシの木です。釉掛けをしながら「どんな色になるんだろ。楽しみだね」とニッコニコ。乾燥から焼き上がりまで約1ヶ月。自宅に送られてくるのを待つ時間もワクワクしますね!
体験後は「自由に好きなものを作れるのが、すごく楽しかった!」と、皐太郎くんは職人のようなキリッとした表情から、子供らしいあどけない表情に戻り、うれしそうに話してくれました。
「土をさわっていると、子どもの頃に粘土遊びした思い出が蘇り、僕自身も童心に返って楽しめました。息子はものづくりが好きなので、楽しんでくれるとは思っていましたが、こんなに夢中になってくれるとは想像以上でしたね。普段は、息子が作った完成形しか見たことがなかったので、こうして一緒に作りながらプロセスを知ることができたのもよかったです。
「何により驚いたのは、発想の豊かさです。僕たち大人は、お皿なら、お皿、カップならカップと、まず完成形をイメージし、それに近づけようとしますが、子どもは違うんですね。ものづくりのアプローチの仕方の違いを発見できたのは大きな収穫です。今度はろくろにも挑戦してみたいです!」とお父さんも陶芸体験に大満足。自由で柔軟な皐太郎くんの発想力にみんな驚かされた1日でした。
楽しかった1日を絵日記にしちゃいました!
初めての陶芸体験がよほどうれしかったのか、おうちに帰ってすぐに楽しかった一日を絵日記で残した皐太郎くん。絵を描くたびに親子でそのときのシーンを振り返り、思い出を共有。お父さんも赤ペンで注釈を入れながら、皐太郎くんの作品づくりに参加しちゃいました。これからもこの絵を見るたびに、この日の思い出がよみがえるのってなんだかステキですよね。
親子で作る楽しさを共有できる陶芸体験!
初めてでも粘土遊びの感覚で陶芸体験ができる手びねり。自由な発想で世界でたったひとつの自分だけの作品を作ってみませんか? 思い出とともに、作品も残せる陶芸は、きっと親子で忘れられない体験になりますよ!
<文=永浜敬子 写真=宮川朋久>
※掲載されている情報は公開日のもので、最新の情報とは限りません。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
※撮影のためモデルは一時的にマスクを外しています。
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