【あそびチャレンジ#13 熱気球編】
お母さんと一緒に、すぐ横を渡良瀬川が流れる栃木県の原っぱにやってきた小学1年生の晴子ちゃん。この日、ふたりが挑戦するのは人類が初めて空を飛んだときの乗りもの”熱気球”です。
「やっと小学校に進学したのに、新型コロナの影響でまだまだ窮屈な思いをしている娘に、鳥のような自由さを思いっきり感じてもらいたくて熱気球に挑戦することに決めました。それと今年はもっともっと運気が上がりますように…と願をかける気持ちもあるんです(笑)」
今回ふたりが参加するのは、栃木県で「ウイニングバルーンクラブ」が主催する係留フライトのツアー。熱気球で地上約30mまで上昇する搭乗体験で、高度約1000mまで上がるフリーフライトよりも子供が気軽に楽しめるのが魅力です。
あれっ!早く飛びたいけれど熱気球が見当たらない!?
初めて熱気球に乗る晴子ちゃんは、集合場所に着いたときからソワソワ。しきりに周囲を見渡し「お空に飛ぶのすっごい楽しみ~!早く乗りたいけど、あれ?気球がないよ~」とちょっと不安気な表情に。
そう、今回のツアーはただ飛ぶだけではなく、参加者全員で協力して熱気球を組み立てるところからスタートします。
「ただ単に乗るだけだと、遊園地などのアトラクションと同じようで。熱気球を組み立てるツアーなら、より思い出深い体験になると思いました」そんなお母さんの言葉を聞いていた晴子ちゃん。「すっご~い!熱気球を作っちゃうんだ~。お母さん、一緒にがんろうね!」と目を輝かせます。
まずはパイロット兼ツアーガイドが、熱気球の歴史や飛ぶ仕組みなどを丁寧に解説。小学生には難しい部分もありましたが、晴子ちゃんはウンウンとうなづきながら熱心に耳を傾けます。子供は大人が思っている以上に、いろいろなものに興味がひかれるようですね。
解説の後は、いよいよ熱気球の組み立てを開始!バスケットのゴンドラに支柱を指したり、バーナーの用意をしたり、晴子ちゃんもチョコチョコと走りまわってお手伝いをします。「これに乗って飛ぶんだよ!楽しみだね」というママの言葉にニッコリ笑顔で応えていましたが、まるで飛行機のジェットエンジンのような轟音が辺り一帯に響き渡るとその表情が一変!
「ゴォォォ~」という大きな音の正体は、気球の中の空気を温めるガスバーナー。コックを捻るとすさまじい音とともに炎が吹き上がるので、晴子ちゃんにはちょっと怖かったようです。さっきまでの笑顔がウソのように、今度は泣きはじめてしまいました。
「大きな音が怖いよぅ…」としょんぼりする晴子ちゃんを気づかうお母さん。「お母さんも一緒だから大丈夫だよ。でも、怖かったらやめてもいいよ?」と優しく声をかけます。
心配そうな表情を浮かべるお母さんを見た晴子ちゃん。手で涙をぬぐいながら「ううん、ありがとう。大丈夫だよ!乗ってみたいからがんばる」と再び笑顔に。その笑顔の裏には「お母さんに心配かけてはいけない」という晴子ちゃんの優しさがうっすら見えていましたよ。
組み立ての最後は、気球に空気を送り込む作業。大きな扇風機で風を送ると、どんどん気球らしい形になっていきます。「すご~い!大きいね~。平べったい布が気球になっていくよ!」と晴子ちゃんは大興奮。膨らんだ気球の中に入ってみると、まるで大きな建物のよう。カラフルな球皮に太陽の光が射して、ステンドグラスみたいに輝いています。
「きれいだね。これが空に飛ぶって、すごいね。不思議~!」太陽の光が射してステンドグラスのように輝く内部を晴子ちゃんは楽しそうに見渡します。
轟音なんてなんのその!空の旅は怖さを忘れる気持ち良さ
熱気球が完成したら、いよいよ係留フライトに挑戦です!「ドキドキするね~」と足早にゴンドラに乗り込む晴子ちゃん。「それでは飛びますよ~」というパイロットの合図とともに、気球が上昇をはじめます。
しかし、さらに上昇するにはガスバーナーで暖めないといけないため、再びあの轟音が!「やっぱり怖いよ~」と晴子ちゃんは縮み込んでしまいました。
そのまま地上約30mまで上昇する熱気球。「ほらほら見てみなよ!いろいろなものがまるでおもちゃのように見えるよ!大きな山もきれいだし!」そんなお母さんの声を聞いた晴子ちゃん。轟音に少しビビりながらも、ゴンドラのすき間から外を覗き込みました。
「うっわ~すご~い!ねぇねぇ本当にお空飛んでるよ!」あまりの景色の美しさですっかり怖さを忘れた晴子ちゃん、ようやく空の旅を楽しむ余裕が出てきたようです。「下にいる人たちがすっごく小さいね。フワフワ飛んでいるから、まるで自分で飛んでるみたいだよ!」ととても気持ちが良さそう。
「そうだね~。空気も気持ちいいよね」と楽しむ晴子ちゃんの姿を見て、お母さんもニッコリ。あちこちを指さしながら、大空での思い出のひとときをふたりで満喫していました。
「下りるの怖くないかな?」とちょっと心配そうな晴子ちゃんでしたが、上がるときと同様に、ゆっくり下降するので大丈夫です。
フワッと地面に着地させるパイロットの技術はさすがの腕前!「楽しかった~」と晴子ちゃんは大喜びで、ゴンドラから飛び出してきました。
フライト体験が終わったら、最後は参加者みんなで気球の片付け作業。初めての熱気球にすっかりテンションが上がった晴子ちゃんは「私もやりたい~!」と積極的に片付けを手伝っていました。
「大きな音と吹き出す炎にびっくりしたけど、フワフワと浮かぶのが気持ち良くてすっごい楽しかった!もう慣れちゃったから、また遊びに来たいです!」と、満面な笑みを浮かべて空の旅を振り返る晴子ちゃん。
「ベソをかいたときは心配しましたけど、すぐに気を取り直してくれたので安心しました。熱気球ならではのフワッとした感覚は、今までに味わったことがない体験で気持ち良かったです。娘を楽しませるつもりが、独特な浮遊感と景色のすばらしさに私自身も夢中になっちゃいました(笑)」と、お母さんも大満足の熱気球チャレンジでした。
大きな音にびっくりしたこともあったけど、終わってみれば楽しい思い出に。はじめての熱気球体験を絵で描いた晴子ちゃん。みんな笑顔で本当に楽しそう!カラフルな熱気球もとっても上手に描けてますね。
気球で空を飛ぶという貴重な体験もさることながら、準備や片付けを通じて共同作業の楽しさも学べるツアーって子どもと参加するのに魅力的ですよね。ほかでは味わえない、とびっきりの体験を親子でしたいなら、ぜひ参加してみてください!大きな音が苦手な子どもと行くなら、耳栓を持っていくのがおすすめですよ。
<文=永浜敬子 写真=恩田拓治>
【関連記事】
◆この冬の親子遊びはコレに決まり!ワカサギ釣り体験でワクワクとドキドキ、そしておいしいをたっぷり満喫【あそびチャレンジ#12 ワカサギ釣り編】
◆工作好きキッズの創作意欲が爆発!親子で縄文土器づくりに初挑戦してみました【あそびチャレンジ#11 縄文土器づくり編】
- 1