【あそびチャレンジ#18 かまぼこ作り編】
「小学校入学で給食がはじまるので、食が細い息子が興味をもつような体験をさせてあげたい」というお母さんと一緒に、小田原市の「鈴廣かまぼこ博物館」にやってきた小学1年生の海澪(みお)くん。今回は親子でかまぼことちくわづくりに挑戦します。
「あまり集中力がなく、小学校生活は不安でいっぱい。魚が大好きな海澪が楽しめそうな体験をさせてあげることで、集中して楽しんでくれたらいいんだけど…」そんなお母さんの心配をよそに、甘えん坊モードでママにべったり。それでも海澪くんははじめての場所と体験にワクワクしているようすです。
海の生きものや動物、恐竜が大好きな海澪くんは、新しいことに挑戦するのがちょっぴり苦手な慎重派。「家が好きで、図鑑を見て過ごしてばかりいます。休日は外に連れ出すのにひと苦労です」と、普段はお出かけが苦手だそうですが、この日は率先して家を出てきたそう。かまぼこ作りがすごく楽しみなのか、帽子とエプロンを着て準備している段階からかなりテンションが上がっています!
かまぼこはもちろん、魚料理はなんでも食べるという海澪くん。これからつくるかまぼこはどんな魚を使うのか興味津々です。つくる前から「早く食べたいな~」と、食べる気満々。はたして、はじめての手づくり体験、上手にできるかな?
つくりたい気持ちと汚したくない気持ちが半分半分で大忙し!
まな板の上に並ぶすり身を見て「このまま食べられそうじゃない?もう完成!?」と、スタートから先走り気味な海澪くん。それもそのはず。じつは海澪くん、手が汚れるのが大の苦手。すり身を素手でさわるのに戸惑っているようです。普段は少しでも手が汚れると洗い、砂遊びも道具がないとしたがらないのだとか。洋服がぬれたり汚れるのも苦手だそう…大丈夫かな?
まずは、かまぼこ板に覚えたばかりのひらがなで名前を一生懸命書いていきます。「ねぇねぇ、『は』はどうやって書くんだっけ?なんか変になっちゃったよぅ。ママ、一緒に書いて~」なんて、お母さんに助けを求めながらもしっかり描き終えた海澪くん。少しホッとした表情を浮かべながら、職人さんの説明に耳を傾けます。
作り方を教わったら、いよいよ本格的なかまぼこづくりがスタート!まずはすり身を潰して中に入った気泡を抜いていきます。これならできそうと見守るも、包丁でケガをしないか、お母さんは横でハラハラと心配顔。「これは簡単だ」なんて言いながら、海澪くんは「えいえい!」とすり身を潰していきます。
すり身から気泡を抜く作業を繰り返しつつも、手が汚れないようになんとか道具を駆使する海澪くん。気になるところがあってさわりたいけど、さわりたくない…手の動きがなんだか落ち着きません(笑)。気泡を抜きつつ、広げて練っての作業にちょっぴり苦戦。なめらかになるようにがんばっていますが、なかなかうまくいかずに困っているみたいです。
これはお母さんに助けを求めるかな~と思いきや、「すみませ~ん!職人さん、助けてください~」と、まさかの職人さんにヘルプコール(笑)。これにはお母さんも「頼ってほしかった…」と苦笑いです。
職人さんが飛んできてくれて、補助してもらいながら作業続行。「なんだかうまくできないんだよぅ」と悩む海澪くんの言葉を聞いて、「大丈夫、大丈夫」と優しく手助けしてくれる職人さん。職人さんの手にかかるとみるみるうちになめらかになり、そのようすを見ていた海澪くんはニッコリ!とてもうれしそうな笑顔を浮かべていました。
ちょっとコツをつかんだのか順調に練りあげていく海澪くん。しかし、作業が進むうちにだんだんと粘り気が出てきて、子供だけでは練りにくくなってきます。「くっついてうまくできない~」と、またしても苦戦!いつもならお母さんに助けを求め、「あとはママがやって」なんて言い出すタイミングですが、今回は「大丈夫!やってみる」と自分でやり切るつもりです。
海澪くんを悩ましているのは、包丁についてしまったすり身。普通はまな板の端でこそぎ取り、再びほかのすり身と合わせて使うのですが、それがどうしてもうまくできないようす。汚れるのが嫌で今までできるだけ自分の手を使わずにいましたが、ついに観念。包丁についたすり身を指で取りはじめますが、ここからが大変!
「うわぁぁ~ベトベトだぁ!」とすり身が手につくのを気にする海澪くん。そのまま作業をしていても、手についたすり身が気になって集中できません。作業を続けたい気持ちと手を早く洗いたい気持ちが半分半分で、手洗い場と調理場を行ったり来たり。ひとりで誰よりも忙しそうです(笑)。
これぞかまぼこ作りの醍醐味⁉︎ いよいよ板にかまぼこがのる!
すり身を練り終えたら、今度は板にのせて成型する作業。職人さんはスッと簡単そうにのせていましたが、この作業が結構難しいんです。なかなかきれいに持ち上げられないすり身を前に、「ママ、このかまぼこ言うこと聞かないよ~!」と海澪くんも悪戦苦闘。それでも助けてもらわずに自分でなんとかしようと、集中して黙々と作業しています。
すり身を板にのせたら、今度は板からはみ出た部分を取りのぞいたり形を整えたりしていきます。ここまでにないほどの集中ぶりで、手が汚れるのも気にせず整える海澪くん。職人さんばりの包丁さばきで、すり身を整えていきます。先ほどまでの慌ただしさが嘘のように集中。「売っているかまぼこみたいに、きれいにするんだ」と、海澪くんなりのこだわりがあるようです。
納得のいく形に整えたら、あとは蒸すだけ。蒸しあがるまでは70分ほどかかります。「上手に蒸してね」と職人さんにお願いしつつ、海澪くんは巨大な蒸し器に興味津々。「見て見て~、かまぼこがいっぱい!オレのわからなくならないかな?」なんて心配しながら、中を覗き込んでいました。
続いて挑戦するのは、ちくわづくり。ちくわづくりの方法は2つのパターンがあって、ひとつは包丁を使って成形する方法。職人さんはスッスッとスムーズに成型しますが、これは大人でも難しそう。海澪くんが気軽につくれるように、今回は包丁を使わず手で直接成型する方法を選びました。
また手の汚れを気にして大騒ぎするかな…なんてお母さんの心配をよそに、海澪くんは笑顔ですり身を竹の棒に巻きつけていきます。「もしかして汚れることに慣れたのかな!?」なんて、ちょっと成長が見えた子どもの姿に、お母さんはうれしそうです。
ひと足先に形を整え、手洗いも完了した海澪くん。まだ作業を続けているお母さんに、職人気分でアドバイスしたり、作業中にずれたマスクを直してあげたり、優しくお母さんをサポートしてあげます。いつもは助けてもらってばかりいる海澪くんですが、最後までひとりでやり遂げたことが自信になり、頼もしさがだいぶアップしたようです。
約1時間ほどの体験でしたが、無事にかまぼことちくわが完成!「途中で飽きてしまって投げ出さないか心配でしたが、がんばってくれました」と、予想以上の海澪くんの集中力にお母さんは大満足。本人も「夜ごはんはオレが作ったかまぼこをみんなで食べるんだ!」と、とってもご機嫌です。
かまぼこは約70分かかりますが、ちくわは20分ほどで焼きあがります。これまでかまぼこは好きでよく食べていたそうですが、ちくわは食わず嫌いで食べたことがなかったそう。「うわ~、すごい!ちくわになった!」と、焼きあがったちくわを見て海澪くんは大興奮です。
「ちくわ、食べられるかな?」と心配するお母さんでしたが、「いただきま~す!」と元気良くガブリと真ん中からかぶりつく海澪くん。「めっちゃおいしい!ちくわも好きになった~」と、焼きたてのちくわをペロリと1本たいらげてしまいました。
海澪くんは「手はベトベトだったけど、すごい楽しかった!今度はパパとも作りたいね」と、すっかりかまぼことちくわ作りにハマってしまったようです。「1時間集中して最後まで体験できたし、はじめてちくわも食べてくれた。少しお兄ちゃんになったかな(笑)」とお母さん。
蒸しあがって完成したかまぼこは持ち帰って夜ごはんでいただいたそうです。旨味と甘みが強くて、とてもおいしいかまぼこで、1本ぶんはほとんど海澪くんが完食したのだとか(笑)。
魚を食べるのが苦手でも、かまぼこなら食べられる子も多いはず。魚を食べさせたい、食に興味を持ってほしいなら、ちょっとした休日にかまぼことちくわ作りに挑戦してみてはいかがでしょう。給食でかまぼこが出た際には「オレ、かまぼこ作ったことあるよ!」なんて先生や友達に自慢できちゃうかも!?
<文=柳 尚子 写真=恩田拓治>
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