【体験ハンターどこへ行く!#06 ジーンズ作り編】
体験ハンター現る!
どうも、体験ハンターのリックェです!目線を外しててごめんなさい!
カメラマン:今日はジーンズ作りですが、聞くまでもなくジーンズって作ったことないですよね?
そうですね、ジーンズって作ったことないです。
カメラマン:素直ですね。今までなら「ゲームでやったことある」だのなんだの言うのに
というか、ジーンズってそもそも履いたことないですね。
カメラマン:ん?
チノパンしか履いたことないです。
カメラマン:つかなくていい嘘つくのなんなの?
履いたことがなければ履いてみればいい・・・
それが体験ハンターだ!
デニムがいっぱい
今回取材に伺ったのは、BettySmith 恵比寿工房 さんです。
ジーンズ作りといっても、さすがに、デニムを織ったり、型紙を作って裁断したり、ミシンで縫い合わせたりするようなことは、素人には無理なので、織られ、裁断され、縫い合わされた状態のジーンズがスタート地点になります。
「パソコン作れます!」って、言ったときに「CPUやメモリを作れます」とか、ましてや「シリコンに不純物をドープして半導体を作れます」みたいな意味じゃないのと一緒です! 一緒だよね?
ベースのジーンズを選ぶ
ベースとなるジーンズを選びます。
デニム生地以外の金属部分では、かろうじて(かろうじて?)ジッパーがついてるだけです。逆に言えば何にでもなれる可能性のジーンズです。これを履いてゴールドラッシュで一攫千金を求めたり、十字路で悪魔と契約してロックンローラーを目指したり、世界初のジーンズでEVA(船外活動)を行う宇宙飛行士になることだって可能なんです。何にだってなれるんです!
履く人によっては。
同じサイズでもシルエットや履き心地が違うのでしっかり試着します。
可能性のジーンズは、まだ装飾がないので、純粋な ”ジーンズ力” 勝負になります。混じりけのない2本のジーンズが魅せる心技体。
激闘の末、レギュラーストレートのひたむきな履き心地に軍配があがりました。
パーツを選ぶ
ジーンズの魅力は、シルエットや履き心地だけで決まるものではありません。
それはやっぱり、ボタンやリベットや革パッチで決まります。ジーンズ力って何?
今回のジーンズ作り体験は、これらのパーツをカスタムしていきます。
ボタンを選ぶ
まずはボタンを選びましょう。
たとえば、富士山と波のデザインのボタン。海外の方に人気だそうです。
こんなにいっぱいあるので、悩み放題です!
赤や白のボタンも攻め攻めでカッコいいですよね。オーソドックスにシルバーボタンも当然似合うし・・・メタル系だと真鍮色や赤銅色もデニムの風合いによく合う。くすんだ青銅色も博物館の青銅器みたいでイケてるよなあ。
すみません、いらん嘘をつきましたが、実際10分以上は悩んでました。
悩み抜いた末、ミシンモチーフの金ピカボタンになりました。モノポリーのコマみたいでかわいくない?
リベットを選ぶ
リベットを選びます。リベットというのは金属の鋲で、普通はポケットの口の縫い付け部分についているやつですね。
このリベットは、破れたりほつれやすかったりする部分の補強をする実用的な意味があるのだそうです。
リベットにも各種色があり、どこに配置するのも自由です。前のポケットにつけてもいいし後ろのポケットにつけても大丈夫です。というか、付ける場所はポケットにこだわる必要もなし!
リベットが実用的には補強の意味だなんてことは忘れていいです。
これは囲碁で言うところの、三連星。シンプルながら攻めに展開しやすい人気の打ち筋です。
どう配置するとバランスがいいか、いやバランスがいいだけでは勝てない。ここはあえての目外しに配置してみよう・・・小目からコスミが定石だが、盤面全体を見回してみると左下隅が攻めあぐねている・・・ツケてノビるのはどうだ? 悪くはない、悪くはない手だが平凡だ。中盤に向けて、先手先手を取っていくにはどうする?・・・ケイマにカカるとどうなる。相手はこう受ける、こう打つ、相手はこう守る、こうツぐと、8目の得だが後手を引くか・・・序盤だから先手を手放したくはないし、もう少し大きく切り取っていきたいというのは欲張りか・・・待て待て、ここにホウリコミはあるか?こうくる、こう打つ、取らず三目になるか・・・しかし何にしても中盤から終盤の手。今は大模様を意識して・・・
※ リベットの配置を考えてます
パッチを選ぶ
リベットの最終配置は後ほど。
今度は、後ろにつけるパッチを選びます。革でできた革パッチ、紙でできた紙パッチがあります。
紙パッチは、ずっとずっと履いていくと洗濯の過程で、かすれたり取れたりしていき、ミシン目だけが残ったりして、それもカッコいいのだそうです。ジーンズの魅力は時間とともに変化していくところにもあるんですね。
パッチもメチャクチャ種類があり、地球上に水生生物が生まれて陸地にあがるくらいの時間悩んでいました。
地球大進化の末、こちらのベティちゃんいりの革リベットにしました。黒地に銀が映えますね。
ボタンとリベットを打つ
さてさて、お待ちかねボタンを打ち込む機械です。
ボタンと裏地側のボタンを受ける針状の部品をセットし、その間にジーンズをはさみます。フットペダルを踏み込むと、ボタン部分が下がり、針が生地を貫通し、ボタンと一体になって固定されます。
このフットペダルですが、結構重い! 思い切り踏み込むと・・・
おう!できた!
一発勝負だからドキドキしますね。
リベットも打ち込みます。
ボタンと同じようにリベットを機械にセットしてフットペダルを踏み込みます。
くっ!! 想像と違って、ボタンよりリベットの方が踏み込む力が必要だ!
できました!
リベットはボタンより小さいから、力がいらないかと思ったけど、逆で、針をリベットの小さいスペースに押し込むために、ボタンより力がいるのだそうです。なにごとも体験だ。
革パッチを縫い付けてもらう
最後に、選んだ革パッチをミシンで腰につけてもらいます。
腰の革パッチをつけると、ジーンズらしくなったというか貫禄がでますね。
これ履いて世界中どこへでも行っていいんだというパスポートのような安心感があります。
完成!
正面はこんな感じ!
左の青・緑・白のリベットは「海と森林と雪原=人類未踏の地」、右の銀・黄・赤のリベットは「炎による金属の変化=製鉄技術」を表しています。その2つをあわせてフロンティアスピリッツの象徴としてみました。ウソかマコトか Lies And Truth。
しかし、まだジーンズは完成したわけではありません!
それはこれだーッ!
「ジーンズ作って魂入れず」ってことわざが示すとおり、ジーンズって履いて完成するんです。
ジーンズを履きし術者が6つのリベットに力を与え、6つのリベットが術者の法力を増幅させる。この力の循環が見るものに畏敬の念を抱かせるのです。
美しい。まるで「ラオコーン像」のようではないですか?
振り返ると聞こえてきませんか?デニムと人間が織りなす協奏曲<コンチェルト>が。プリーツのひとつひとつが履く者の重ねてきた年月を肯定するかのようです。蝶のように舞い、蜂のように刺し、炎のように狂おしい。
革パッチが誇らしげですね。
ご照覧あれい!ベストジーニストショット!!!
あと3000枚くらいベストジーニストショットを掲載したいんですが、ページの関係上、締めにかかりましょう。
カメラマンさんも「美しいものを撮りたい」とか、わけのわからないことを言い出し始めたし。すでに美しいのにな。怖いね。
作ったジーンズは素敵なデニムのバッグに入れてくれます。もちろん、できたてを履いて帰ってもOKです!
おわりに
ジーンズ作り体験って楽しい!
身近な新しい世界
自分のために物を作るのって楽しいですね。ボタンやリベットの配置を考えるだけで真剣になれる。
普段何気なく身につけている服装の中でも、さらにカジュアルに身につけるものといえばジーンズではないでしょうか?
たとえばリベットはポケットの縫い目の補強のために元々は付けていたことや、リベットを足踏み式の機械でジーンズに打ち付けるときの硬さなど、身近に知らないことがあるもんだな、と。知識と歴史と体験が渾然一体となってあっという間でした。
ジーンズを1本作ろうかな、と考えているなら、自作ジーンズはどうでしょうか?
今回の体験ハンターこれにて了!!
<文=リックェ>
【編集部からおまけ情報】
オリジナルジーンズ作りでは、通常のデニムだけでなく、ジーンズ好きにはたまらない旧式の織機で手間暇かけて織られた「セルビッチデニム」(1万6800円~)も用意されています。ロールアップすればセルビッチの証“赤ミミ”がチラリと足元に覗き、穿き込むほどにいい感じのアタリが生まれますよ。
またパンツだけでなく、ベストやジャケットも作ることが可能。併せて自分だけの1着を作ってみてはいかがでしょうか。
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