群馬県富岡市にある「野生の王国®・群馬サファリパーク」(以下、群馬サファリパーク)。約34万平方メートルの広い園内には、世界各国の肉食動物や草食動物が本来の生態系に近い姿で生活し、その様子をマイカーやレンタカー、バスツアーで見学できる動物園です。エサやり体験など動物とのふれあいも楽しめます。今回は実際に群馬サファリパークに出かけて、バスツアーで楽しめる体験の違いや人気のイベント、小さな子ども向けサービスまで徹底レポートします!
群馬サファリパークとは?
1979(昭和54)年、東日本初のサファリパークとしてオープンした「群馬サファリパーク」。広大な敷地にはライオンやトラなどの肉食動物からキリンやシマウマなど草食動物まで、約1,000頭羽の動物が本来の環境に近い状態で放し飼いにされています。
その様子をバスやマイカーで見学したり、近づいてエサやりをしたりと、見るだけにとどまらない動物とのふれあいも楽しめる動物園です。
過去には動物好きで有名なマイケル・ジャクソンも来園したことでも有名です。
園内は7つのエリアに分かれていて、その中のアジアゾーン、アフリカゾーン、アメリカゾーン、日本ゾーン、ライオンゾーン、トラゾーンは、バスかマイカーで回れます。
ウォーキングゾーンは、バスやマイカーを降り、歩いて回れるエリア。動物たちへのエサやり体験もできます。
少し離れた場所にあるふれあいパークには、小動物を中心としたかわいい動物と鳥類がいます。エサやり体験、モルモットの行進、レッサーパンダのモグモグタイムなど、小さな子どもが夢中になって遊べるイベントも開催されています。
バス・マイカー・レンタカーから乗り物を選べる
群馬サファリパークを回る方法として、バスツアー・マイカー・レンタカーがあります。それぞれの利用方法や所要時間、料金を紹介します。
・バスの中からライオンにエサやりもできちゃう「エサやり体験バス」
平日は6便、土・日・祝日は14便、毎日運行している「エサやり体験バス」。ライオンやホワイトタイガーの形をした大型バスに乗って、サファリエリアを回ります。バスの中から草食動物やライオンにエサやりができ、ウォーキングゾーンでは動物たちとのふれあいも楽しめる一番人気のバスツアーです。
所要時間:約90分
料金:入園料+1,500円(3歳以上)
・普段入れない場所も見学できる「獣舎見学ツアー」
土日祝日限定で運行する「獣舎見学ツアー」。サイを模したマイクロバスでサファリエリアを回ります。ウォーキングゾーンでは、飼育スタッフしか入れない猛獣舎内を飼育担当者の解説付きで見学。また、エサやりできる動物すべてにエサをあげられます。
9:40、12:20、14:30の3便しかないので、乗りたい人は時間を合わせて出かけてくださいね。
所要時間:110分
料金:入園料+2,600円(3歳以上)
・目の前に迫る動物の姿に感動!「エサバスplus」(平日)
平日限定の「エサバスplus」。1日3便、9:50、12:10、14:10に出発します。サイの形のバスでサファリエリアを回り、ウォーキングゾーンでライオンやホワイトタイガー、草食動物にエサやりをします。
所要時間:100分
料金:入園料+2,300円(3歳以上)
・冒険家気分でサファリゾーンを探検だ!「サファリバス」
シマウマ柄の大型バスでサファリエリアを回ります。バスの運行時間は日によって変わるので、総合案内所前の時刻表を確認してください。ウォーキングゾーンでは自由時間もあります。
所要時間:1時間10分
料金:入園料+800円(3歳以上)
・見たい!知りたい!聞きたい!を叶える「プライベートツアー」
ホワイトタイガー柄のオフロード車に乗って、サファリエリアを回ります。バスと違いオフロード車なので、道なき道を走り抜け、動物たちにより接近できるスリリングな体験を味わえますよ!
こちらは1台で最大6名まで乗車可能。10:00、12:00、14:00の1日3回予定されています。
所要時間:80分
料金:平日10,000円/1台、休日15,000円/1台
・動物たちの真の姿が観察できる「夕暮れサファリバスツアー」&「ナイトサファリ」
春休み・ゴールデンウィーク・夏休み期間などに開催されるバスツアー。17:00スタートの「夕暮れサファリバスツアー」では、動物たちのディナータイムに合わせて、エサに群がる動物本来の姿を見学できます。
「ナイトサファリ」は19:00スタートのバスツアー。暗闇の中に光る動物たちの目に、野生の姿が垣間見られますよ。
料金:入園料+800円(3歳以上)
・お手頃価格で自由に回れる「マイカー」
マイカーで訪れれば、入園料だけでサファリエリアを回れます。乗用車なので動物との距離が近くて迫力満点!
・かわいいシマウマ柄の「レンタカー」
マイカーの汚れやキズが気になる人はレンタカーを利用しましょう。マイカーと同じ感覚で乗れるうえ、自分のペースで自由に動物たちを見学できる楽しみがあります。
料金:入園料+レンタカー代4,000円(5人乗り)、もしくは6,000円(7人乗り)
チケットは事前にネットで購入すると、もっとお得に利用できますよ。
人気の「エサやり体験バス」と「獣舎見学ツアー」に参加!
今回は園内でとくに人気が高いツアー「エサやり体験バス」と「獣舎見学ツアー」に参加してみました。手ぶらで迫力満点の動物ライドが楽しめちゃう体験の魅力をお伝えします!
・一番人気のバスツアー「エサやりバス」
入場者の約半数以上が体験するという「エサやり体験バス」に乗車しました。総合案内所の前にバス乗り場があるので、時間になったらそこに集合します。
しばらくすると、ホワイトタイガーをモチーフにした大きなバスが到着。バスにはライオンの形をしたタイプもあります。
草食動物のエサとなる草をもらったらバスに乗車。チケットに書いてある座席に座ります。
時間になったら出発です。車内は満席。さすがは人気のツアーです。事前にチケットを予約しておくと安心ですよ。
車内ではドライバーさんがガイドもしてくれます。出発前には、まずみんなでかけ声!ドライバーさんが「1、2、3」と言ったら、みんなで「レッツゴー!」と叫んでから出発です。
白いシマウマ柄のゲートの扉が開いて、バスは中へと進んでいきます。
ゲートの開閉はセンサーではなく人間がやっているのだとか。ゲート横の高台から見て、開閉ボタンを操作しています。これなら万が一何かあっても、すぐにゲートの開閉ができて安全です。
最初はアフリカゾーン。アミメキリンが出迎えてくれました。首までが2m、脚が2m、頭も50cm以上あるので、全体で4.5mもあるそうです。舌は40cmもあって、草を器用に巻いて食べるのだとか。
次はエランドのいるエリアにやって来ました。ここで最初にもらった草をバスの中からあげます。草をくるっとねじって先っぽをバスの外に出すと、エランドがやって来ておいしそうに食べてくれます。
シマウマにもエサをあげられます。ここにいるシマウマはチャップマンシマウマという種類で、白に黒の縞模様がある以外に、お尻に茶色っぽい縞があるのが特徴なのだそうです。
ほかにも耳のいいミナミシロサイや、ライオンも追い払う“黒い悪魔”と呼ばれているアフリカスイギュウなどをバスの中から見学。次はアメリカゾーンへと進んでいきます。
アメリカゾーンではディズニー映画の「美女と野獣」で野獣のモデルとなったアメリカバイソンや、世界で2番目に大きな鹿のアメリカエルクを見学します。
バスの行く手にはアメリカバイソンの群れが道をふさいでいて、どうなることかと心配しましたが、ベテランドライバーさんが上手に避けながら前へと進んでいきました。このエリアはマイカーやレンタカーは走行禁止区域なので、迫力の群れを見学できるのはバスツアーだけです。
続いて日本ゾーンへバスが入ってきました。ここにはニッポンツキノワグマやニホンザル、ニホンジカがいます。ほかと違って上にネットが張ってあったり、柵の上が曲っているのは、サルの脱走防止対策だそうです。
いたずら好きのサルたちは、マイカーで進むとアンテナやワイパーにいたずらしちゃうこともあるとか。車に貼っていた若葉マークを持って行っちゃったこともあるそうですよ。
約30種類の動物がいるウォーキングサファリゾーンでは、バスを降りて自由に見学します。動物のエサを購入できるので、好きな動物にエサをあげましょう。エサをあげられる動物は、柵の前にエサの表示があるので、確認してからエサやりしてください。
上の写真のラマには要注意!唾を飛ばしてきます。唾は2mほど飛んで、とてつもなく臭いです。口を膨らませる動作を見かけたらすぐ逃げてください。本当に臭くて、2~3回洗濯したくらいでは落ちない匂いだそうですよ。
約10種類の猫科の動物がいる「ワイルドキャッツワールド」では、かわいいチーターやサーバルの子どもに注目!本当に猫のようです。
アムールヒョウを下から覗ける貴重なスポットもありました。
1回500円でライオンやホワイトタイガーにエサやりもできます。でも、エサやり体験バスは、このあとライオンエリアでライオンへのエサやりができるので、体験するならホワイトタイガーの方がいいかも。
少し離れた場所にある林は「オオカミの森・オオカミ繁殖センター」。観察デッキから自然な姿のシンリンオオカミの姿が見られます。絶滅が危惧されるオオカミの繁殖にも力を入れています。
ウォーキングサファリゾーンの自由時間は30分。あっという間に過ぎてしまいます。あらかじめ見たい動物、エサやりした動物を決めていくといいですよ。
再度バスに乗りこんだら、アジアゾーンへと進みます。最初に出迎えてくれるのはフタコブラクダ。大きなコブの中は水ではなく脂肪で、1週間飲まず食わずでも生きていけるそうです。
白黒にくっきりわかれたマレーバク。小さいときはイノシシのうり坊のようなシマシマ柄ですが、3ヶ月を過ぎるとくっきり白黒に分かれるそうです。
貴重なスマトラゾウもアジアゾーンで観察できます。インドネシアのスマトラ島にしか生息しないゾウで、日本では群馬サファリパークにしかいません。
アフリカゾウと比べると全体的に小柄なゾウです。長い鼻には骨が一本もなく、すべて筋肉でできているとか。人間は全身640個の筋肉でできていますが、ゾウの鼻1本に10万個の筋肉があるそうで、ちょっとビックリですよね。
バスはいよいよ猛獣ゾーンへと進みます。最初はトラゾーンで、ホワイトタイガーの親子の様子が見られました。2匹の子どものうち、シマシマがハッキリしている方がエリオス君、全体的に白っぽいのがウラヌス君。ウラヌス君の柄は群馬サファリパークでも初めてという珍しい柄だそうで、これからどんな風に変わっていくのか、みなさん興味津々だそうですよ。
次はライオンゾーン。メスライオンたちは、自分たちで毛づくろいしてきれいな毛並みを保っているそうです。タテガミが凛々しいオスライオンの姿も見られました。
ここでライオンにエサやりをしました。牛肉と鶏肉、どちらもペロリとひと飲みです。その後、アメリカゾーン、アフリカゾーンと戻って出口へと向かいます。
最後に柵の中にローンアンテロープという動物がいます。とても臆病な子で、すぐに小屋の中に逃げ込んでしまうのだとか。マイカーだと気づかずにスルーされちゃうそうなので、バスに乗車する人は見てあげましょうね。ワクワク・ドキドキであっという間の90分でした!
・飼育員さんのお話が興味深い「獣舎見学ツアー」
続いて、土日祝日限定の「獣舎見学ツアー」にも参加してきました。総合案内所の前が集合場所となっているので、時間になったら集合します。
受付をして、動物たちのエサを受け取ったらバスに乗ります。
「獣舎見学ツアー」のバスはサイです。ドライバーのほかに飼育員さんも一緒で、いろいろお話をしてくれます。
さっそくゲートをくぐって中へと入っていくと、ほかより小さめのバスは動物との距離が近い!目線も低くなるので、とっても動物が見やすいです。
「エサやりバス」と違い、バスの中からエサをあげることはできませんが、その分じっくり動物を観察できます。車内では動物クイズも行われます。写真はキリンのツノの本数を当てるクイズ。
バスのルートは「エサやりバス」と一緒で、アフリカゾーン→アメリカゾーン→日本ゾーンを通ってウォーキングサファリゾーンへと進みます。
ウォーキングサファリゾーンで降りたら、このツアーの目玉、獣舎見学に向かいます。飼育員さんのあとをついて獣舎の裏へ。慎重にドアを開けて、獣舎の中の通路を進んでいきます。
すると目の前にはホワイトタイガーのユファが!距離は1mもありません。ホワイトタイガーはベンガルドラの白変種で、アルビノとは違います。
目の色はきれいなアイスブルー、鼻先と肉球はピンクと、よく見るととっても気品があって、それでいてかわいい!ユファは今年12歳になる、3匹の子どもを産んでいるお母さんなのだそうです。
中ではホワイトタイガークイズなども行われました。
その後はお待ちかねのエサやり体験へ。最初はライオンやホワイトタイガーにお肉をあげます。
次はヤギやラマなど、草食動物へのエサやりをします。最初にもらったカゴには、草、動物用ペレット、シカせんべいが入っているので、40分の自由時間は十分にエサやりを楽しめます。
その後は、再度バスに乗って、アジアゾーン→ライオンゾーン→トラゾーン→アメリカゾーン→アフリカゾーンを回って終了です。