1877年に創立された「国立科学博物館」は、国立では唯一の総合科学博物館。常設展示の標本・資料数は約25,000点にものぼり、恐竜から最新の宇宙技術まで、好奇心に応えてくれる数多くの展示があります。館内は映像や撮影禁止の表示があるもの以外写真撮影OK(フラッシュ撮影は不可)なので、カメラ片手に展示を回るのも楽しそう。今回は国立科学博物館の見どころを一挙に紹介。おすすめスポットや絶対に見ておきたい大迫力の展示をレポートします。
国立科学博物館とは?
国立科学博物館は、1877年(明治10年)に創立された、日本で最も歴史のある博物館のひとつです。自然史・科学技術史に関する、国立で唯一の総合科学博物館です。
展示はもちろんのこと、調査や研究、標本と資料の収集・保存、活用なども行っています。標本・資料の数は、なんと490万点以上!そのうち約25,000点を常設展示しています。
上野本館の常設展示は、「人類と自然の共存をめざして」がメインメッセージ。フロアごとに異なる展示テーマが設けられており、生き物たちが暮らす地球環境を守り、人類と自然がどのように共存できるのかを考えさせられます。
上野本館は、「日本列島の自然と私たち」をテーマとする「日本館」と、「地球生命史と人類」をテーマとする「地球館」のふたつに分かれています。
建物の周辺には、1975年まで運行していた「D51形蒸気機関車」や、日本初の人工衛星を打ち上げた「ラムダ・ロケットランチャー」などの大型展示があるので、こちらも見どころです。
常設展示のほかにも、さまざまな特別展・企画展を行っています。2021年度だけでも9つの特別展・企画展を開催。独自性の高い展示で、根強いファンが多くいます。コロナ禍前の2019年は、常設展・特別展合わせて約270万人の入場者数を記録しました。
館内の展示には解説文が添えられていますが、より詳しく知りたいという方は、かはくHANDYGUIDE(無料)をレンタルしてみましょう。
日本列島の成り立ちを学べる「日本館」の見どころ
まずは日本の生態系や日本人の歴史を学べる「日本館」に入ってみましょう。最初に目を引くのは、クラシカルな建物のデザイン。
1931年に建てられた日本館の建物はネオルネサンス洋式の建築で、館内中央は吹き抜けになっています。日本館を上空から見ると、飛行機型になっているそうです。
ステンドグラスがとても優美な雰囲気。建物全体が国の重要文化財に指定されています。この建築美を楽しむためだけに訪れる人もいるほど、多くの人を魅了する建物です。ぜひ時間をとって鑑賞したいですね。
日本館は地下1階から地上3階建て。ここからは特徴的な展示を中心に見どころを紹介します。
・天体観測の魅力が詰まった「自然をみる技」
1階南翼にある時計や地震計、天球儀など、日本人が生み出した科学技術を展示するエリア。入口正面に展示されている「トロートン天体望遠鏡」は、明治維新政府によって輸入された屈折赤道儀で、長年のあいだ天体観測に用いられてきました。国の重要文化財にも指定されています。迫力のある佇まいに、思わず見惚れてしまいそうです。
・多彩な生き物の暮らしを学ぶ「生き物たちの日本列島」
2階南翼にある「生き物たちの日本列島」には、動物たちの標本がたくさん並んでいます。大陸から日本列島に移り住んだ生き物たちが、日本の気候や地形に適応しつつ、独自の進化を遂げていったことがわかります。
北に住む生き物ほど体が大きく、南に住む生き物は小さいなど、自然環境にまつわる不思議の数々も学べます。
・昔の生活様式が展示される「日本人と自然」
2階北翼にある古代の日本人の生活が再現されたエリア。アジア各地からさまざまな人々が日本列島に渡来し、互いに影響を与えつつ独自性をもって発展してきた様子がうかがえます。
ここで絶対に見ておきたいのが、あの「忠犬ハチ公」の剥製。実物です!
間近で見ると、意外に大きいことにも驚かされます。どうやら渋谷駅前のハチ公像は、実際よりも小さく再現されているよう。ハチ公は秋田犬なので、かなり大型なのです。
ほかの犬と比べても、その大きさが見てわかります。
ハチは飼い主である上野英三郎博士のもとで育てられましたが、上野博士はハチが1歳のときに勤務中に突然倒れ、帰らぬ人に。その後に浅草の親戚へ預けられましたが、故人が恋しかったのか渋谷の旧宅へ帰ってしまうこともあり、昔から上野家と面識があった植木職人に引き取られました。
ハチはその後も上野博士がよく利用していた渋谷駅へ通うことがたびたびありました。これが新聞で報道され、忠犬として全国的に有名になりました。
しかし、持病のフィラリアで弱っていたハチは、1935年3月8日の朝に渋谷駅近くの路上で亡くなっているのが発見されました。11歳だったそうです。
・子どもに大人気!首長竜の展示が見られる「日本列島の生い立ち」
3階北翼にある「日本列島の生い立ち」では、日本が大陸から分裂し、列島として成立するまでのダイナミックな歴史を辿れます。
このフロアの目玉は、日本で初めて化石が発見された首長竜「フタバスズキリュウ」の復元骨格。海で泳いで暮らしていたようで、手足がヒレになっていることがわかります。首長竜の名のとおり、極端に長い首が目を引きます。
なお、このフタバスズキリュウは骨にサメの歯が刺さっており、サメに食い殺されたのではといわれています。食物連鎖の様子を垣間見られる重要な証拠です。
貴重なアンモナイトも展示されています。大小さまざまな化石が並ぶ様子は圧巻!太古の歴史や化石発掘好きにはたまらないエリアです。
・海洋生物の標本が豊富な「日本列島の素顔」
日本列島は地形的にも気候的にも複雑な自然環境で、多様な生き物たちを育んできました。3階南翼のフロアでは、日本列島の自然の特徴や、そこに住む生き物たちの姿を見て学べます。日本の地理や海洋生態系に関する記述・記録も多く展示されています。