京都観光といえば神社仏閣巡り。日常とは離れた静かな空間で祈り、季節の花々を愛で、疲れた心をそっと癒してくれる日本文化と美が集約された場所です。
カップルや友人との観光旅行はもちろん、一人旅や癒し旅にもぴったり。参拝とともに長い年月を掛けて人々の心の寄り処として機能し、今もなお魅了してやまない京都の名園を楽しみましょう。様式は、枯山水庭園・池泉回遊式庭園・借景庭園などさまざま。時代の先人たちが追求した美がまざまざと迫ってきます。
今回は必ず訪れておきたい15庭園を厳選。なお、神社仏閣巡りの醍醐味として、焦りは禁物。1日2〜3ヶ所、多くても4ヵ所程度にとどめ境内をゆったりと楽しむのがおすすめです。拝観に予約が必須の庭園もあるため事前申し込みも忘れずに。準備が整ったら、さぁ、悠久の時が過ごせるとっておきの庭園美をを味わいに出かけてみましょう。
1.東福寺
奈良東大寺と興福寺の文字を取り1236年創建された禅宗寺院「東福寺」。敷地面積約240,000平方メートルの境内には多くの緑が茂り紅葉シーズンは通天橋から渓谷・洗玉見学の観光客で賑わいます。
庭園は、作庭家の重森三玲氏が1939年に造園。枯山水式の禅院形式で、方丈(僧侶の住居のちの応接間)の東西南北の四方に庭が囲むとても珍しい構成です。同寺が創建された鎌倉時代の堅実剛健な風格をベースにしながら、現代的な抽象表現も取り入れ近代禅宗庭園の代表的存在。
「八相成道(釈迦の生涯における8つの重要な出来事」にちなんで「八相の庭」と呼ばれていましたが、2014年より「国指定名勝 東福寺本坊庭園」に。リズミカルな石柱の配置で北斗七星を表す「東庭」に、ダイナミックな立石と砂の海で動と静を感じる「南庭」、サツキの刈込と葛石で大市松を表現した「西庭」、切石と苔の市松模様が美しい「北庭」と個性豊かな庭が楽しめます。
2.平安神宮
明治時代の代表作で国名勝「平安神宮神苑」は、社殿の周囲を囲むように庭園が広がっています。約33,000平方メートルの敷地に広がる庭園は、池泉回遊様式で造園家・小川治兵衛により生み出されました。
平安京1,000年の造園技術を余すことなく注ぎ込み、春は八重紅枝しだれ桜、夏はカキツバタに芭蕉、秋は紅葉、冬は雪景色を取り入れ四季を通じて旬の美しさを愛でられます。また花芭蕉の時期には白虎池上に「八ツ橋」も架かり花の間をゆったり進むことも可能。
桜の季節は平安時代の庭園や源氏物語や枕草子に記されている約200植物が「野筋」「遣水」様式で春の訪れを告げます。庭園内の茶室「澄心亭」ではお菓子とお茶をいただける「月釜」を指定の曜日に開催。「観桜茶会」なども桜シーズンには行われます。
なお、平安神宮では毎年10月22日に京都三大祭「時代祭」を開催。約2km、時代考証をしっかり行なった祭具・衣装で登場する2,000名にも及ぶ行列はまさに生きた時代絵巻と呼ばれています。
3.南禅寺
京都の禅寺のなかでも別格扱いで格式の高さを誇る「南禅寺」。日本三大門のひとつで重要文化財「三門」や赤煉瓦で造られアーチが美しい水道橋「疏水」など見どころも豊富です。
そのなかでも国宝の「方丈」内に位置する「方丈庭園」は、江戸時代初期を代表する枯山水庭園。武将兼茶人・小堀遠州作と伝わっており、国が名勝指定しています。薄青色の築地塀の前に巨大な石組を横に寝かせて配置、白洲の空間を広く取っているため「虎の子渡しの庭」と呼ばれています。事前予約制でお茶席(500円)も「滝ノ間」で開かれており、庭を愛でながら心を落ち着かせることも。
「小方丈庭園」こと「如道庭」は名の如く静寂さと「心」を石で描いた独特な小さな庭園。「六道庭」は回廊から眺める杉苔と景石とともにもみじの美しさは格別。夏の緑に秋の赤の両方の季節で楽しめます。併設する「南禅会館」滞在で拝観料一部無料と朝課や座禅参加もできるためトータルで心のリフレッシュをするならば宿泊もおすすめです。。