国立美術館“国立新美術館”を徹底取材!見どころや最新の展覧会『庵野秀明展』情報も

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最新企画展『庵野秀明展』をご紹介!

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『シン・ゴジラ』『王立宇宙軍 オネアミスの翼』など、数々のアニメーションや特撮映画に関わってきた庵野秀明。

本展覧会では、自身の原点となった「アニメ」「特撮」作品の貴重な原画などをはじめ、アマチュア時代から現在までの直筆メモや原画、イラスト、設定、イメージスケッチ、画コンテからミニチュアセットに至るまで、多彩かつ膨大な制作資料を余すところなく展示しています。

エントランスに飾られるのは、庵野の妻・安野モヨコ氏による肖像画

庵野秀明が何を考え、どうつくってきたのか、庵野の映像制作にかける情熱と創作活動の過程を紐解く世界初の展覧会となっています。

 

第1章 原点、或いは呪縛

庵野秀明の原点であり彼がリスペクトする、いわば「庵野秀明をつくったもの」を集めた第1章。『モスラ』(1961年公開)や『ウルトラマン』(1966年放映)、などの特撮作品に関する展示や、『仮面ライダー』(1971年放映)の生誕50周年メモリアル映像が目を引きます。

もちろん特撮だけでなく、少年時代の庵野が夢中になった『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)や『機動戦士ガンダム』(1979年)など、アニメーション作品に関するアイテムや資料も多数展示されています。

見逃せないのは、縦3m×横15mの巨大LEDスクリーン。画面には庵野が敬愛する多種多様な映像作品が映し出され、「庵野秀明をつくったもの」を強く印象づけてくれます。

第1章の最後には庵野の実家に残されていた資料や、中学・高校時代の油彩画も登場しています。

第2章 夢中、或いは我儘

『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』(1985年)は、大学時代に庵野が自らウルトラマンを演じた短編実写作品。カラータイマーは爪楊枝の容器のフタを再利用したものだとか

第2章では、学生時代に自主制作した、庵野の実写映画の出発点のひとつとも言える『ウルトラマン』などは、映像だけでなく、当時の創作メモや衣装なども合わせて展示されています。

大学時代の同期だった漫画家の島本和彦が『アオイホノオ』の中で触れ話題ともなった、ペーパーアニメーションの『じょうぶなタイヤ!SHADOタイヤ』。小型車がパトカーやバスを破壊しながら走り回るという内容ですが、爆発や破壊のシーンの緻密さで知られる庵野のアニメーションの原点も感じさせてくれます。

80年代に庵野が寄稿した雑誌や、日本SF大会(通称DAICON)に関する資料なども膨大な量が集められています
OVA作品『トップをねらえ!』の原画やラフスケッチ

庵野が商業監督として手掛けた最初のOVA(オリジナルビデオアニメーション)作品『トップをねらえ!』(1988年発表)。当初庵野は同作の監督する予定ではありませんでしたが、脚本を読み監督を志願。過酷な制作スケジュールや限られた予算の中で奮闘。全6話制作され高い評価を得ました。

『トップをねらえ!』の成功後、こちらもピンチヒッターとして監督を務めた『ふしぎの海のナディア』(1990年放送)。ジュール・ベルヌの名作小説『海底二万哩』や『神秘の島』をベースにした作品で、当初は少年少女向けだったプロットを、庵野がSFエンターテインメント色を強めた内容に変更したのだとか。

過去の特撮作品へのオマージュがふんだんに込められるという手法は、マニアだけでなく一般のアニメファンにも強く支持されました。

第3章 挑戦、或いは逃避

第3章のエリアは、おなじみ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年放送)の展示からスタート。同作は、『ふしぎの海のナディア』の成功後に庵野が自ら巨大ロボットアニメの原点回帰を目指して企画したTVアニメーション作品。

本放送終了後も社会現象となるブームを巻き起こし、クリエイター・庵野秀明の名を世に知らしめました。

本展覧会では、制作初期に用意された企画書や設定資料などが惜しげもなく大量公開されており、TVシリーズから『新劇場版』シリーズ(2007年~公開)そして、2021年に公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』への変遷を辿れるまたとない機会となっています。

本展覧会のハイライトの一つが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の重要な舞台となる「第3村」のミニチュアセットです。アニメーションの画面構成を検証するため、静岡にある天竜二俣駅周辺の取材を基に制作されたもの。映画であの世界観に魅了されたファンならば、いつまでも眺めていたくなります。

その他にも、劇場用アニメーション映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(1997年)の後に手掛けた『シン・ゴジラ』(2016年公開)や『ラブ&ポップ』(1998年公開)、『式日』(2000年公開)など、特撮や実写映画作品に関する資料も多数展示されています。

第4章 憧憬、そして再生

現在制作中の作品『シン・仮面ライダー』『シン・ウルトラマン』に関係する、公開可能な資料の一部を展示するセクション。

『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』『シン・仮面ライダー』など、庵野の最新の仕事に登場するキャラクターの大型立像も必見です。

第5章 感謝、そして報恩

最後のセクション第5章では、アニメや特撮の文化から恩義を受けた庵野が「僕らがいなくなってもアニメや特撮が残るようにしたい」という思いで立ち上げたATAC(特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構)など、未来へ向けた文化継承のためのプロジェクトを紹介しています。

特設ショップ

展示会場を抜けると、本企画展の特設ショップが出迎えてくれます。

庵野秀明に関する書籍や作品のグッズが多数取り揃えられ、貴重なアイテムもあるのでぜひ立ち寄ってみてください。

12月19日の会期終了までいよいよ日程も残りわずか。11月10日からは後期展示が始まり、一部展示替えとなった作品もありますが、なんとすべての章で追加展示がされているとのこと。

作品解説もアップデートされるなど、より充実した内容になっているので、初めての方もリピーターも楽しめそうです。

 

『シン・仮面ライダー』記者発表の模様をお届け!

『庵野秀明展』開幕の前日の9月30日、『シン・仮面ライダー対庵野秀明展』と題された発表会が行われました。

2023年3月公開の『シン・仮面ライダー』は庵野が脚本・監督を担当することで大きな話題となっていますが、会見では初めてキャストが発表され、本郷猛/仮面ライダー役の池松壮亮と、緑川ルリ子役の浜辺美波も登場しました。

記者会見では仮面ライダーの愛車「サイクロン号」もお披露目。仮面ライダーの魅力について聞かれた庵野監督は「50年前のTV画面は暗く、“何が起こっているかわからないカッコよさ” が魅力だった」と話し、「仮面ライダーの魅力なら一日中でも話せます」と会場を沸かせてくれました。

新作については、「まずは『仮面ライダー』好きな人へ、次には『仮面ライダー』を知らないけど面白そうだなと思ってみてくれる人、あとは話題になったらとりあえず見てみようかなという人が見て面白いものを目指していきたい」と抱負を語った庵野監督。

一足先に展覧会を体験した浜辺が「どういう脳の動きをしたらこういうものが思いついて出てくるんだろうと」感想を話した。『庵野秀明展』で庵野監督の偉業を体験し、2023年の新作映画公開を待つのも楽しそうです。

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