4.龍安寺
1450年に細川勝元が徳大寺家の別邸を譲り受け妙心寺の義天玄承禅師とともに開山し禅寺として始まった「龍安寺」。1994年には「古都京都の文化財」として世界文化遺産に登録され、世界的にも注目されるお寺です。
なかでも枯山水の平庭「方丈庭園」は見所のひとつ。何度も戦火や焼失を経て再建され、1499年には現在の庭の形になったと伝わります。75坪の庭に配置された大小15個の石と、極限まで抽象化された表現が魅力です。「虎の子渡しの庭」「七五三の庭」と呼ばれるなど自由な発想を呼び起こしてくれる構成。遠近法の利用や土塀を配置しフレームの役割を際立たせるなど工夫も随所に。眺めるだけでなく、庭の構造のおもしろさも実感できるはず。現時点では作者は謎のまま。
なお、境内には茶室「蔵六庵」があり、事前連絡&予約・特別拝観料有りで見学も可能となっています。30分から40分ほどで境内ならびに庭園を見学できる広さのため、周囲の観光スポットとともに訪れ、通り昔に思いを馳せながら庭を眺めてみてはいかがでしょう。
5.桂離宮
「桂離宮」は17世紀前期から中期にかけ皇族・八条宮初代智仁親王が2代にわたる長い歳月をかけて完成させました。敷地面積は約69,000平方メートル。日本庭園の最高傑作といわれ、日本庭園美の集大成です。池泉回遊式を採用し、池の周囲の書院や茶庭へ船で向かえる造りとなっています。茶会や酒宴、貴族の交流の場として利用される場所のため、全てに美が宿っており庭と建築との構成・融合も見事。日常から非日常へと足を踏み入れた瞬間にいざなってくれます。
特におすすめな時期は、やはり紅葉シーズン。計算尽くされた秋ならではの荘厳な美しさを優雅な気持ちで満喫できます。なお、橋を渡ったり、石の上を見学時には進むため履き慣れた歩きやすいシューズを忘れずに。休憩なしで、しかも見学ルートは一方通行のためフォトスポットは逃さず写真を撮りましょう。見学は9時から16時まで全8回、約1km約60分間。宮内庁京都事務所参観係への事前申し込みが必要で、参加資格は中学生以上となっています。
6.建仁寺
1202年に将軍源頼家の寄進により建立された日本最古の禅寺「建仁寺」。地元では「けんねんさん」の愛称で親しまれ、街中にありながら、境内に一歩入ればその静けさで心がゆっくりと落ち着きます。
1599年に安芸の安国寺から移築された「方丈」の目の前に広がる前庭「大雄苑」は、枯山水式でその広さと優美さで訪れる人々を圧倒します。「本坊」中庭の「潮音庭」も回廊が四方を囲みさまざまな角度から季節を通して眺められる枯山水庭園。禅宗の四大思想(地水火風)を○(水:木)△(火:庭の角の形状)□(地:井戸)で表現した「○△□乃庭」と独特の庭園が揃います。
なお、京都国立博物館に保存された俵屋宗達による国宝「風神雷神図」や海北友松の襖絵「雲龍図」など文化財を保有。茶室「東陽坊」西側には名物「建仁寺垣」もあるため、ぜひ見学しておきましょう。毎朝7時30分から2回座禅体験も無料で実施。京都で朝活するならば、ぜひ早朝からの訪問をおすすめします。
7.天龍寺
1994年に「古都京都の文化財」のひとつとして世界遺産登録された「天龍寺」。格式高い寺院「京都五山」のひとつで、1339年に足利尊氏により後醍醐天皇を弔うために創建されました。
「天龍寺」には大きく分けて3つの見どころがあり、そのひとつ庭園「曹源池庭園」は、約700年前の夢窓国師が作庭。当時の面影を今もとどめており、日本初の国指定の史跡・特別名勝となっています。嵐山や亀山を借景にした中央の曹源池を巡る池泉回遊式庭園は、ダイナミックに遠方まで広がる景観美が楽しめます。池の中央には竜門の滝と呼ばれる中国の故事「登竜門」になぞらえた巨石があり、鯉が龍と化す途中の姿を表現しています。
御堂の軒下には歩道とベンチが配置されているので、歩いたり、眺めたりと思い思いに庭を愛でることができます。もちろんお堂や大広間、縁側からの眺めも素晴らしいです。
8.青蓮院
比叡山延暦寺の三門跡「青蓮院」。皇室との関わりが深い格式高い門跡寺院には京都を代表する庭園美を誇る「相阿弥の庭」があります。室町時代の相阿弥の作といわれる主庭は、水辺をゆっくりと散策できる池泉回遊式の庭園で、自身で歩いて物思いに耽るのがひとつの鑑賞作法。「華頂殿」からの眺めも格別です。豊臣秀吉が寄進した巨大な「一文字手水鉢」、小堀遠州作と伝わる「霧島の庭」など風情あふれる見どころが点在し、庭歩きが捗ります。
御本尊の「熾盛光如来」が光そのものといういわれで、春と秋には夜間特別拝観やライトアップも実施。1000台もの照明機材を導入し、芸術的な景観照明と評判です。もちろん池泉回遊式庭園もライトアップされ、昼間とは異なる美しさにうっとり。お茶室「好文亭」では特別拝観(1,000円)時にお抹茶または煎茶とお茶菓子付きのお茶会が楽しめます。
9.苔寺
敷地面積約3,5000平方メートルの庭園に約120種の苔が自生し、世界文化遺産「古都京都の文化財」のひとつとして登録されている「西芳寺」。苔寺とも呼ばれており、深い緑色の苔が境内を覆う姿はこの世の美と静を集めたような雰囲気です。
国の特別名勝ならびに史跡としても登録され、室町時代の庭園の原型ともいわれています。開山は729年から749年の間で、約1,200年に渡り宗派を変えながら地域の人々の信仰の場として機能してきました。1339年に高僧・作庭家の夢窓国師が禅寺として再建。2つの庭園があり、上段は枯山水庭園(非公開)、下段は黄金池を中心とした池泉回遊式庭園です。上段は当時では珍しい石組を主役とした新時代の枯山水庭園で、禅の精神も反映された構成。下段は心の字を模した通称「心字池」を中心に周囲の景色を愛でる構成となっています。
少数参拝制を導入し予約は往復ハガキ、またはネット予約のみ。中学生以上が参拝可能。拝冥加料には、本堂の参拝ならびに庭園の拝観、延命十句観音経の写経が含まれます。