東京国立博物館の見どころは?日本屈指のコレクションや各館の魅力、人気のお土産をレポート

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企画展と考古展でディープな歴史を学べる「平成館」

平成館は1999(平成11)年に、今上陛下のご成婚を記念して開館した展示施設です。場所は本館正面から見て左後方に位置。内部は本館と繋がっているので、展示を回る際は直接移動できます。1階は考古展示室、企画展示室、講堂、ラウンジ(休憩スペース)などがあり、2階はすべて特別展専用の展示室になっています。

 

・無数の埴輪コレクションが並ぶ「考古展示室」

平成館1階の考古展示室は12のエリアに分かれており、旧石器時代から江戸時代までの歴史を辿る旅を体験できます。土偶、銅鐸、埴輪などが多数展示されており、石器時代に興味がある人にはたまらない空間となるでしょう。土偶を持ち上げたり、銅鐸を鳴らしたりできるコーナーもあるため、子どもと一緒でも楽しめます。

さらに進むと、埴輪コーナーが現れます。人や馬など多彩な形状をした埴輪が並んでおり、中には亀の甲羅のような「陶棺」(岡山県美作市野形出土 古墳(飛鳥)時代・7世紀)も展示されていました。

 

東洋の歴史文化に触れられる「東洋館」

正門から入って右側に位置する東洋館。中国、朝鮮半島、東南アジア、西域、インド、エジプトなどの芸術品が展示されています。さっそく館内の見どころを巡ってみましょう。

 

・大小さまざまな仏像が並ぶ「中国の仏像」

最初に足を運んだのは東洋館1室「中国の仏像」。ここには6世紀から8世紀頃の石仏・金剛仏が展示されています。中国の仏像は柔和な表情をしていたのが印象的でした。解説パネルでそれぞれの仏像の成り立ちや歴史を学んでみるのも楽しそうですね。

 

・各所に置かれた知識の箱「オアシス」

2階に上がると、「オアシス」と呼ばれるパソコンが入った旅行用トランクを発見!東洋館の展示スペースの中には、至るところにこのオアシスがあり、トランクによって違ったコンテンツが楽しめるのです。遊びながら東京国立博物館や美術の知識を学べるので、オアシスを見つけたら気分転換も兼ねてぜひ触れてみてください。

 

・西アジアとエジプトの美術に浸る「インド・ガンダーラの彫刻」

東洋館2室「インド・ガンダーラの彫刻」では、2〜5世紀のパキスタン北西部のガンダーラと、インド北中部のマトゥラーの仏像を中心に紹介。ガンダーラの仏像はギリシャ彫刻の影響を受けているため、堀が深く写実的です。青年の顔を模したような顔つきは、どこか親しみやすさを感じさせてくれます。

「西アジア2 イラン高原の作品群」のコーナーでは、古代イランの作品を紹介。イラン西部のザグロス山脈の周辺には「ルリスタン青銅器」と呼ばれる青銅器をともなう古代文化が存在していたそうです。作品はどれも個性的で、ずっと観ていても飽きないものばかりでした。

 

・本物のミイラを間近で見られる「西アジア・エジプトの美術」

東洋館3室「西アジア・エジプトの美術」ではミイラが展示されていました。

これほど間近でミイラを見たのははじめてなので大興奮。この「パシェリエンプタハのミイラ」(エジプト、テーベ出土 第3中間期(第22王朝)・前945~前730年頃 エジプト考古庁寄贈)は、1904(明治37)年に、当時のエジプト考古庁長官から東京国立博物館の前身である帝室博物館に寄贈されたものです。

容器の表面には神聖文字の銘文が記されており、そこには「死んでオシリスになったアンクムウトの息子パシェリエンプタハという青年に供物と食料が与えられるように」という祈願文が書かれていたそうです。

 

・1万年以上前の歴史を振り返る「中国文明のはじまり」

中国では今から1万年以上前の時代に土器の存在が確認されています。その頃の土器の形と模様はあまり装飾のないものでしたが、紀元前5000年頃になると彩色を施した土器「彩陶」が登場しました。ここでは多種多様な形状の彩陶が展示されています。

展示の中には、フライパンのような形状の土器もあります。こちらは「熨斗(うっと)」(中国 後漢時代・1~3世紀)と呼ばれるもので、この上に熱した炭を盛って衣服のしわを伸ばす、いわゆるアイロンのような役割をしていたそうです。当時の生活様式を垣間見られるのも魅力のひとつです。

 

・神や祖先を祀る祭礼品「中国の青銅器」「中国 墳墓の世界」

中国の殷時代から漢時代の青銅器を中心に紹介するコーナー。神や祖先の祭礼時に使用したものだけではなく、武器・馬具・銅鏡なども展示されています。さまざまな形をした青銅器には、よく見ると絵柄が描かれているものもあり、とても精巧に作られていました。

見どころはかわいい形をした馬具。鑑賞しているだけで明るい気持ちになります。さらに奥へ進むとある東洋館5室「中国 墳墓の世界」では、主に紀元前200年から紀元後800年頃の墓に調葬された品々が展示されています。

当時は祖先が生前以上に豊かに過ごせるようにと、さまざまなものを墓に入れたのだとか。「三彩駱駝」(中国 唐時代・7~8世紀 横河民輔氏寄贈)もそのひとつ。奥のショーケースに入っている左右の珍獣2体は「三彩鎮墓獣」(中国 唐時代・7~8世紀 横河民輔氏寄贈)で、墓門を守る獣のことです。

中央の人間の形をしているのは「三彩官人」(中国 唐時代・7~8世紀 横河民輔氏寄贈)で、こちらも墓を守る存在として墓に入れられたそうです。

 

・美しい壺が並ぶ「中国の陶磁」「中国の染織」

フロアの奥には、東洋館5室「中国の陶磁」「中国の染織」のコーナーがありました。中国の陶磁には、中国唐時代から清時代の間に作られた陶磁器が展示されています。

 

・歴史が刻まれた石のアート「中国の石刻画芸術」

4階には中国の石刻画が展示されています。後漢時代(1〜2世紀)の中国山東省や河南省南部では、石で墓の上の祠や墓室を作り、その壁や柱、梁などには彫刻が施されました。こちらでは山東省の作品が集められています。

石に彫られた絵に対してイラストを交えた解説文が掲載されており、基礎知識がなくても十分楽しめます。太鼓を叩いたり、ジャグリングをしたりと、賑やかな様子の絵が彫られている石は必見です。じっくりと鑑賞することで、さまざまな価値観に触れられる展示でした。

 

・貴重な書の成り立ちがわかる「中国の書跡」

さらに進むと東洋館8室「中国の書跡」のコーナーがあります。現在も書道で使われている篆書、隷書、草書、行書、楷書などの書体は、時代の流れとともに考案され変化し、新たな書体へと進化して現在の形になりました。「中国の書跡」では、多彩な書体や中国の書画芸術から生まれた「文人の書斎」を復元した空間が楽しめます。

 

・確かな品格を感じさせる高級装飾「中国の漆工」

5階に進むと東洋館9室「中国の漆工」コーナーがあります。新石器時代から続く中国の漆工にはさまざまな装飾技法があり、描かれる文様も多種多様です。

 

・王朝文化の調度品が並ぶ「朝鮮時代の美術」

朝鮮時代の支配階級である「両班」の男性は、書斎を社交の場としていたそうです。一方、女性の部屋には華やかな装飾が施された調度品が置かれていたといいます。東洋館10室「朝鮮時代の美術」では、そんな王朝文化の調度品や服飾、装身具などを紹介しています。

奥には東洋館10室「朝鮮の仏教美術」のコーナーがあります。ここには瓦・仏像・金工品などが展示され、朝鮮半島の仏教美術の特徴とともに解説されています。

 

・原三国時代から朝鮮時代の焼き物が集結「朝鮮の陶磁」

東洋館10室「朝鮮の陶磁」のコーナーでは、原三国時代から統一新羅時代までの土器のほか、高麗時代以降の陶磁器である青磁、粉青沙器、白磁の歴史の流れが学べます。

朝鮮時代になると、「両班」と呼ばれる朝鮮の上流階級を中心に愛された白磁の生産が主流になりました。青磁も白磁も滑らかで美しい作り。このほかにも、大小さまざまな陶磁が並びます。

 

・クメール族の独特な彫刻を見られる「クメールの彫刻」

次は地下階の東洋館11室「クメールの彫刻」を観てみましょう。

9世紀初頭から600年余り続いたカンボジアのアンコール王朝時代。この頃に完成したクメール族による個性豊かな美術様式は、日本にはない独特の世界観を感じられます。

ここでは10〜13世紀にアンコールの寺院を飾った仏教およびヒンドゥー教の彫像や石造彫刻を展示。いずれも第2次世界大戦中に行われた、フランス極東学院との交換品なのだそうです。中でも象の頭に人間の体を持つ「ガネーシャ坐像」(カンボジア、ブッダのテラス北側フランス極東学院交換品 アンコール時代・12~13世紀)は、今にも動き出しそうな生々しさがあって存在感がありました。

 

・仏像やヒンドゥー神像が並ぶ「東南アジアの金銅像」

さらに進むと東洋館12室「東南アジアの金銅像」のコーナーがあります。インドやスリランカの影響を受け、仏教やヒンドゥー教の彫像が多く制作された東南アジア諸国。ここでは東南アジアの国々で作られた金銅像を中心に展示しています。同じ仏像、ヒンドゥー神像でも、よく観るとそれぞれ表情が異なっているのが特徴です。

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